好きな芸人が好きじゃない

　自分には好きな芸人が数組いる。その中のコンビの一人の考え方やしてほしい方向性が全然違う。
　ただのファンが考え方や方向性を自分と一致して欲しいからどうにかしろなんてことは思っていない。また、そんなこと思って嫌になっているなら見ない方が楽なのも百も承知である。
　しかし、その芸人の漫才はとても好きだ。DVDも持っている、何ならファンクラブのようなものにも入っている。でも、その人がしたい事に自分は興味を持てない。どちらかというと嫌いである。最近その人はあまり生身での活動を見ない。たまにライブを行ったりしている様子はあるが、ほとんどバーチャルで活躍をしている。

　自分がそのコンビを好きになったのはバーチャルで漫才をしているのをたまたま見てからだった。そこから興味を持ち出して動画を何度も見たり、出しているDVDもCDも全部買った。生配信をしていると知ってからは見れる限りは毎回見ていた。ファンクラブを始めると知った時にはすぐに入った。今まで、アップルカードなど買ったことなかったが初めて買った。
　その人は段々とバーチャルで活躍する方が多くなってきた。Twitterで絡んだりするのも芸人ではなくバーチャルの人たちばかりだった。自分はそのバーチャルの人たちが苦手だった。
　できることなら、芸人ともっと絡んでほしい。ライブをしてほしい、もっと漫才をしてほしいと思っていた。しかし、その人がしたい事は違うようだった。ファンクラブでちょくちょくその人が自分の考えをつぶやくときがある。ほかのファンは賛同している。自分は賛同できそうにない。
　その人のいつまでも新しいことにチャレンジする姿勢や様々なアイデアをポンポン出したりする頭の回転などは尊敬していた。いくつになっても、子どものように好きなことをして楽しんでいる姿は素晴らしいと思っていた。

　だが、その人についていける気がしない。自分が好きなのはお笑いをしているその人だから。漫才でボケている姿が好きだから。ゲームを楽しくしている姿は見ていて楽しいが、それは生身だから。バーチャルの姿でゲームをしているのを見たいわけじゃない。バーチャルの子たちじゃなく相方ともっと絡んでくれ、他の芸人ともっと絡んでくれ。漫才が見たい、コントでもいい。とがったネタなんてしなくていいから、アニメのネタでもゲームのネタでも何でもいいから。何回も何回もこすったネタで全然いいから、コンビで赤と青のスーツを着てマイクの前に立って漫才をしている生身のおじさんたちが見たい。

言う事なすこと全てに肯定はできない。

しかし、今していることが失敗すればいいのにとは決して思わない。

肯定はできない。けれども、これからも応援はする。