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『業務マニュアル』の観点で話すビッグモーターの自動車保険の不正請求問題について

こんにちは、ドキュメントハウスの本間です。

2023年7月24日、ビッグモーターの自動車保険の不正請求問題について、同社が会見を行いました。ユーザーの信頼を裏切る行為に、多くの人が心を痛めたこの事件。記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。

「いったいビッグモーターのマニュアルはどうなっているんだ?」というような声が、私の耳にも入ってきています。そこで今回は、マニュアル制作を生業にする私がビッグモーターの自動車保険の不正請求問題について、『業務マニュアル』の観点からお話しさせていただければと思います。

業務マニュアルの有無と責任回避について


私はビッグモーターの関係者ではないので、正直に言うと、業務マニュアルがあるのかないのかわかりません。もし業務マニュアルがあったとしても、それは本当に社内に浸透し、活用されていたのか疑問が残ります。

ビッグモーター事件の焦点は、今後、ビッグモーターが存続できるかというところですよね。すでに相当数のお客様が離れてしまっているみたいですから。常識的に考えてありえないことが起きているので、お客様が離れてしまうことは避けられないでしょう。

どういった業務マニュアルの導入が必要か

では、ビッグモーターにしっかりとしたマニュアルがなく、この事件を引き起こさないためにどういった業務マニュアルが必要なのかを考えてみましょう。

最初に言わせていただきますが、仮に業務マニュアルがしっかり作られていたとしても、今回の問題は起きていた可能性が高いです。しっかりとした業務マニュアルやOJTなどの研修制度があれば、社員全員のスキルの上昇が見込め、自然とガバナンスの向上につながる可能性があります。

ただ、マニュアルの導入効果を無視する過酷なノルマを課せられてしまうと、いくら優秀なマニュアルがあったとしても防げるわけがありません。

業務マニュアルを作成する際は、実際に行われている業務をフローチャートに落とすところからのスタートとなります。フローチャートに落とした各プロセスは、具体的な指示や手順の内容になりますが、プロセスごとにその実効性を担保するには、第三者によるチェックリストを使用したチェックが必須です。

今回のケースでは、そのあたりのプロセスが存在していたとしても、上層部からのトップダウンのノルマや指示・命令のため、業務マニュアルではどうにもならなかった可能性が高いです。

それよりも、外部の専門家(弁護士事務所等)による内部通報窓口のようなガバナンスの仕組みが必要だったと考えます。

この前提があり、あえてどのような業務マニュアルを導入するかと考えると、私の場合、業務に対する基本的な考え方やワークフローを共有するためのマニュアル作成をおすすめします。

このマニュアルを作成するには、4つのポイントが重要です。

業務に対する基本的な考え方やワークフローを共有するために
・読み手を常に意識する
・フローチャートを用いる
・チェック項目の作成
・運用しながら改善する


とくに、フローチャートを用いることは大切です。

フローチャートで流れを視覚化することで、作業の流れを俯瞰的に見られるからです。事象に対しての対応も視覚的に捉えられるので、流れが複雑な時はとくに活用できるでしょう。

今回の事件を鑑みるに、業務が属人化していることが考えられるため、ベテラン社員と経験の浅い社員のスキルや経験の差を埋めるように、標準的な業務の流れや進め方などの共有できる内容を実務に沿って具体的に記載してみてください。

SNSの必要性とリスクについて


今回のビッグモーターの事件は、SNSでの拡散から始まりました。いい意味でも悪い意味でも、SNSの登場でいろいろなことが明るみになっています。

私の会社でもTwitterを始めたのですが、SNSを使うようになって、SNSの必要性や企業が使用するリスクなどを改めて感じるようになりました。

情報開示のツールとしてSNSは非常に有益なものだと思うのですが、何か問題が起きたときの風評被害や風評リスクというのは、かなり早いと痛感しています。問題が起きてしまった場合に備えて、対処するためのマニュアルは必要になってくるかと思います。

リスクに晒されたとしたら


今後、同様のことが起きたと仮定しましょう。

まずは、他人事のように受け止めないことが重要です。ビッグモーターの社長の会見を聞いて、「自分は関係ない」「知らなかったんだからしょうがない」という風に、社長自身が思っている印象を受けた人が多かったはずです。

会見を聞いている人が他人事だと受け取らないように意識し、問題の内容を理解することに努め、分析してから会見に臨むことが最善でしょう。

今回の会見を見て、いくら部下から報告がなくても、社長が他人事のように話をしてはいけないということを改めて認識しました。

次にやることは、しっかりと謝罪をすること。謝罪をしたあとに、問題に対してどういう対応を取っていくのかを説明し、実行することが大事です。

まとめ


今回は、ビッグモーターの自動車保険の不正請求問題について、『業務マニュアル』の観点からお話しさせていただきました。

今回の事件を防ぐには、全社的なガバナンス強化が不可欠で、それを前提とした業務に対する基本的な考え方やワークフローを共有するためのマニュアル作成が必要だったかと思います。

ただ、いくら精巧な業務マニュアルがあったとしても、それを使う人間側が真摯でないといけないということはお伝えしたいです。使う側の人間の資質によるということですね。

みなさんも何かリスクに晒された際は、真摯でいることを心がけてみてください。


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