セルフサービスBIの導入がうまくいかない理由

前回の記事でビジネスインテリジェンスについて再考し、分析のセルフサービス化がなぜ必要なのかについて考えてみました。

「セルフサービスBIの重要性はわかっている。けどうまく現場に浸透しない」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身もセルフサービスBIに様々な狙いを持って導入したにもかかわらず、うまく浸透しないという話をよく耳にします。

そこで今回は「セルフサービスBIの効果がうまく出ない原因」について考えてみます。

私の経験上それには大きく3つの原因があると考えられます。

1. ツールの使い方がわからない
これは、よくあるケースです。Excel のように使えると言われていますが、それでも Excelよりか難しく、ハードルが高い製品が多いです。
実はBIツール独自の概念(SQLやキューブやスタースキーマなど)をある程度心得ていないと、セルフサービスBIを使いこなすには大きな壁があるのです。

2. データがどこにあるかわからない
セルフサービスBIツールは基本的にリレーショナル・データベースに接続することを前提としています。そのためデータを分析するには目的に応じてデータベースにアクセスする必要があります。業務部門は「どのシステムにデータがありそうだ」まではわかっても「どこのデータベースになんのデータがどう格納されている」までを理解するのは難しいと思います。
加えて、データのセキュリティの観点から「データがあっても見ることができない」というのもよくあるケースです。じゃあシステム部に聞けば、といってもそのハードルが高いことはみなさんもご承知のことではないでしょうか(どこの企業でも情報システム部の方々は忙しくて、なかなか問い合わせには億劫になってしまうものです...)

3. データの意味がわからない
一般的にリレーショナル・データベースにあるメタデータ(テーブルの名前やカラム名など)はシステム開発向けに作られている場合が多く、業務の人から見ると意味が読み取ることが難しい場合が多いです。
本来ではDWH(データウェアハウス)やDM(データマート)などで、
人がわかりやすい形で分析に特化したデータ環境を用意するのが一般的です。しかしながら、すべての会社でそのようなデータ環境の用意があるわけではありません。もしデータ環境があったとしても、テーブルを見て自分が欲しいデータを引き出すことまでセルフで行うことはほぼ不可能でしょう。

このような原因に対して、教育コンテンツを整備し、トレーニングを行っているという話をよく聞きます。ツールの使い方については(ベンダーもコンテンツを持っているので)トレーニングをすることができますが
企業にあるデータについての教育はなかなか難しいのではないでしょうか。

企業はデータに関する情報としてドキュメント(要件定義書や設計書など)はあるものの、それを業務部門の方が理解できる形で整備するのは一苦労です。
そこで 2 と 3 の課題を解決するために、データカタログが注目を浴び始めています。製品も日本市場に少しづつ入ってきているので、チェックするのもいいかもしれません。



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