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第1回② 中山俊先生 

「医師100人カイギ」について

【毎月第2土曜日 20時~開催中!】(一部第3土曜日に開催)
「様々な場所で活動する、医師の『想い』を伝える」をテーマに、医師100人のトーク・ディスカッションを通じ、「これからの医師キャリア」を考える継続イベント。
本連載では登壇者の「想い」「活動」を、医学生などがインタビューし、伝えていきます。是非イベントの参加もお待ちしております!
申込みはこちら:https://100ninkaigi.com/area/doctor

発起人:やまと診療所武蔵小杉 木村一貴
記事編集責任者:産業医/産婦人科医/医療ライター 平野翔大

起業家の道を歩んでこられた中山先生。
最初に、今日のテーマを3つ提示してくださいました。
① 最初からゴールは見えない
② 常に様々な選択と意思決定がある
③ 人との出会いがすべて
 
これらについて、中山先生のこれまでと共にご案内くださいました。

中山俊先生
アンター株式会社
鹿児島大学医学部を卒業後、2011年東京医療センター初期研修医。成田赤十字病院整形外科、翠明会山王病院整形外科を経て2016年アンター株式会社を設立。医師同士のオンラインサービスAntaaQA、Antaa Slide等を提供している。2021年JMDCグループ参画。

中山先生は鹿児島県奄美大島出身。鹿児島大学を卒業し、整形外科医を経て2016年に株式会社Antaaを創業、もう少しで6年になります。2021年には東京医科歯科大学の客員准教授として、更に活動の幅を広げました。
 
離島で生まれ育った中山先生にとって、地元に残るかどうかは大きな意思決定でした。故郷に貢献するため、総合診療科も考えましたが、外傷など見れた方が地元に役に立つかもしれない、と考え整形外科を選びました。
しかし、「ブラックジャックによろしく」のワンシーンにあるように、当直で交通事故の多発外傷など、自分の力ではどうしようもない患者に向き合った時、「1人の医師でできる仕事の総量と、患者の需要にアンマッチがある」ということに気付かされたと言います。
この気付きを機に、医師4-5年目の時に、病院で働きながら自分でまとめサイトを作り、数ヶ月やってみたものの、「永遠に書いてても人に見られなくては意味がない」と気付き、方針転換をします。
 
中山先生がヒントを得たのは、多くの医師が開催している勉強会。ウェビナーも発達する前の時代、東京で勉強会に参加しないと、資料も見ることはできません。この資料だけでも集められたら、多くの医師の役に立つのでは?と思い、サービスを作ろうと考えます。まさに今「Antaa Slide」として多くの医師がお世話になっているサービスです。
 
しかし、その考想を他の医師に話したところ、「こんなのできるのか?」「他にも集まったら出してあげるよ」「セキュリティは?許可は?責任は?」と言われ相手にされず。更には「医者として、内科の勉強とかちゃんとやれば?」と言われてしまう始末でした。
 
そこで諦める中山先生ではありませんでした。
「色々な先生に『ください』とtakeしているだけではだめだ。自分がgiveしなくては。」と考え、LINEで整形外科の疑問に24時間265日対応する取り組みを始めました。続けるうちに地方の開業医などから沢山の質問が来るようになりました。
「答えが返ってきたことに感動した」「整形外科の知識を得られて学べた」「他の医師の意見が聞けて安心した」という声と共に、「自分も応えられる範囲で回答したい」という人も現れ、これが今のAntaaのサービスの一つ、「Antaa QA」として成り立っていきました。
 
AntaaはQA・Slideのサービスに加え、channelなども通して発展し、今では多くの医師に多彩な学びの機会を提供しています。
 
整形外科医としての困りごとから着想したサービス、アンター株式会社を創業して事業提供し、2021年にはJMDCグループへのM&Aまで成し遂げましたが、当初会社をやるのも、お金を集めるのも初めての経験でした。
そんな状況を、中山先生は「何もわからない。自分が失敗しているのかすらもわからない。」と語ります。
起業してから様々な企業・ファンドと相談し、志や夢を一緒に応援してほしいと声掛けする中で、スタートアップなどを支援するシステムが実はたくさんあることを教えてくださいました。

 
様々なスタートアッププログラムに参加する中で、大きかったのは「同じ様に悩む起業家と知り合えた」ことだといいます。そしてその中で、様々な経験・出会いや別れを経験してきました。
 
最初は勉強会を共有したいと始まったサービス。色々な疑問が形となり、様々な選択・迷いを経て、起業家として一つのゴールであるM&Aを迎えましたが、「最初からゴールは見えなかった」といいます。創業メンバーとずっと一緒のわけでもなく、時には次のステップに向かう仲間を見送った事もあるといいます。様々な人と出会うことで今の形にたどり着いた中山先生は、「人との出会いがすべて」だと思ったといいます。
 
そんな「人との出会い」や「より良い選択をするための学び」を得る場として、今では第4期を迎えた「Antaa Academia」というサービスでは、様々なセクタの医師が「学び合う場」も提供しています。
 
今の中山先生は、自分の想いや起業という課程を経て、こんどは周りの人たちにそれを提供する立場へとステップアップしておられるように感じました。
 
そんな中山先生、そして最初に話した山田先生に、「メディアに出て変わったことは何か?」という質問がありました。
中山先生は「2018年に1回テレビに出たことにより、『この間に~に出まして』と自己紹介できるようになり、他の人の印象が変わった」と、
山田先生も「自分が繋がりようもなかった人と繋がったり、病院の外の繋がりが作りやすくなったのは大きなメリットだった。たしかに悪い言葉を投げかけられる事もあったが、いい面もあれば悪い面もあり、全体では良かったと思う。」と回答してくださいました。

取材・文:平野翔大(産業医/産婦人科医/医療ライター)

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