冠動脈用薬剤溶出性ステントの比較
個人的にまとめた冠動脈用の薬剤溶出性ステントの比較です.
私見も含みますので悪しからず.
①第一世代DES:耐久性ポリマーdurable polymer
‣ポリマーの生体適合性が低い
‣薬剤搭載量が過剰で内皮修復がなかなか起きない
⇒VLSTのrisk高く1年以上の長期間のDAPTも検討される
‣strutが厚く,追従性も低い.Stent fractureも起こしやすい
i)Cypher(C-sirolimusES) 第一世代DESの代表
-strut厚140μmと厚く,過剰といえる量のsirolimusを搭載
-Late loss0.1mm
-closed cell構造で,cellは最大3mmしか広がらない
-1年以降のlate TLR発生率は年率2.2% J-Cypher Registryの5年追跡結果
∟VLSTと同様に減衰することなく5 年までその発生が持続
ii)TAXUS(paclitaxelES)
-strut厚:TAXUS-Express 132μm, TAXUS-Liberte 96μm
-追従性でC-SESに勝るがRadial forceで劣る,といった印象
-基本的にevidenceは全てCypherと同等かそれ以下
iii)Endeavor(zotarolimusES) “mild DES”, “strong BMS”
-cobalt chronium/strut厚91μm
-薬剤が早期に溶出 ⇒内皮機能障害が早期(3ヶ月程度)に消失
-Late loss0.6mm (“TLR/TVRはC-SES/PESと有意差なし”と言い張る)
-VLSTは第一世代で最も少ない(らしい)
②第二世代DES:生体適合性ポリマー
‣(基本的に)strut厚薄くなった
‣ポリマーの生体適合性を高めた ⇒ST頻度が少ない
【現在,基本的に使用できなくなった第二世代DES】
i)Xienceシリーズ(CoCr-EES) 第二世代DESの代表
-strut厚81μm -Late loss0.16mm
-cobalt clomium合金で作られている
-現在のPCIの有効性を確立した革命的DES “安定のXience”
-第1世代DES・BMS に比して2年以内のST頻度が少ない
ii-①)Resolute Integlity(zotarolimusES)
-Endeavorのポリマーを改善:生体適合性up, 薬剤溶出長期間
-Late loss0.22mm ☜少し多い?
-XienceVと,有効性安全性STなど非劣性,らしい
-cellの目が細かくprotrusionが少ない,と言う人もいる
-Delivery性能と視認性はやや悪い
ii-②)Resolute Onyx
-Integlityにプラチナ,イリジウムの合金の芯を入れて鍛造した.
⇒strut厚薄く,Profileも小さくなった.
-プラチナを含むことで視認性も改善.
-プラチナの芯と鍛造の効果でradial forceも落ちていない,らしい
iii)Nobori(biolimusES)
- Abluminal coating:内皮細胞が再生する内腔側には薬剤なし
-生分解性ポリマー(biodegradable polymer) ☜第三世代に近い
-Late loss 0.1mm
-stainless steel製:radial force強いが,追従性は期待できないか
-strutが良く開くので,大きな側枝に使うこと多い
③第三世代DES:生体吸収性ポリマー
‣生分解性ポリマーbioabsorbable polymer: BP
‣第3世代DESの生分解性ポリマーは,ポリマーの分解と薬剤溶出がリンクして動態
⇒以前のDES でみられた initial burst が緩和
i)SYNERGY(PrCr-BP-EES)
-strut厚の薄いDES
-手前2strutは4Link(4.0mm以上は5link)となっており,Deformation耐性を上げている
-その代わり,手前に分枝が被る際は好ましくない
ii)Ultimaster(U-SES)
-曲がった血管にも圧着しやすい・柔軟なplatform
- Abluminal gradient coating
∟abluminal coatingよりさらに被覆化が早い?
-曲がりの部分はあえてcoatingせず,過拡張時も薬剤分布を保つ
-Noboriのstainless steelより高強度のcobalt clonium合金を使用
⇒必要十分なRadial forceと柔軟な血管追従性
その他)BioFreedom:Drug Coated Stent: DCS
-polymerなし -1ヶ月でdrugなくなる
-Late loss 1.7mm
-Noboriのcomformabiltyを向上させたようなデザイン
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