佐々木潤

ボストンこども病院で働く小児循環器集中治療の医師、そしてハーバード大学医学部助教授です…

佐々木潤

ボストンこども病院で働く小児循環器集中治療の医師、そしてハーバード大学医学部助教授です。世界各地で子育て奮闘中のお母さん・お父さんから同業の小児科医の先生方、医療、育児、教育分野の方々と繋がれたらいいなと思っています。働く場所は米国でも、日本の子供達の幸せに想いを馳せています。

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幸せな子育て

日本で少子化が叫ばれて久しいです。歴史的に少子化は日本だけの問題ではなく、いずれの先進国も1960年代以降いろいろな要因があり低下し続け、合計特殊出生率は2を切っています。内閣府:世界各国の出生率  公的、民間レベルでいろいろな対策も講じられており、メディアもいろいろな話題を報じています。合計特殊出生率が改善することも大事ですが、私は子育てを夫婦、パートナー2人で楽しむ幸せな家庭がもっと増えてほしいと思います。 私自身、娘と息子を持つ父親です。夫婦ともに共働きであり、私は

    • なぜ日本の男性医師は家事、子育て、介護に参加できないのか?

      #COMEMO #仕事のポリシー 突然ですが、皆さんがパッと思いつく理想の医師はどんな人ですか? いつも病院にいる働き者の先生? 何かあれば駆けつけてくれる患者思いの優しい先生? つまり、長時間労働が良い医師の条件になっています。裏を返せば、家庭があった場合に家事、育児、介護に参加してないということになります。 医師に限った話ではないですが、OECD(経済協力開発機構)が2020年にまとめた生活時間の国際比較データ(15~64歳の男女を対象)によると,市場で労働力を提

      • 我が子を亡くす親の絶望に思いを寄せる

        #子どもに教えられたこと #PICU  #小児集中治療室 私は米国ボストンで小児集中治療医として働いています。フジテレビ系でドラマ化された PICU 小児集中治療室 が僕の職場です。この題材を取り上げていただき嬉しく思いました。病気、怪我の子供を救うとてもやりがいがある仕事です。しかし、一方でたくさんのこどもを看取ります。たくさんです。そんな日常の中で私が一番辛いのは、こどもを失ってしまった親の絶望に自分の心が同調する時です。 私自身、2人の子供を持つ父親です。親にとって

        • 日本の医学生の半分は女性になるべきーそれが世界標準です

          日本では医学部合格者数で男子学生が多数です。この事実に疑問を抱かないのは問題です。 2021年度入試の医学科の女性の受験者数は約4万3千人で、約6万2千人の男性より3割少なく、合格者割合は女性:男性=4:6です。個別の大学を見てみると女性合格者数が5割を超えているのは、東京女子医科大学を除いて、滋賀医科大学、愛媛大学、聖マリアンナ大学しかありません。逆に男性の割合が、80%を超えているのは、東京大学、京都大学、大阪大学、九州大学です。まさに旧帝大ですね。 一方、米国では2

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        幸せな子育て

          東大を卒業するよりも生涯収入が高くなる方法!?

          東大を卒業するよりも生涯収入が高くなる方法、それは夫婦ともに正規雇用で働き続けることです。難しい計算なんていらないです。二人で合わせた生涯収入の方が一人で稼ぐより高くなる簡単な論理です。極論だなんて言われてしまいそうが、僕が強く主張したいのは、男性が家庭での家事、介護・看護、育児を主体的に負担することで、女性が仕事をやめたりパートタイムにならずに、合計での生涯家庭収入は絶対に高くなるんです。そういう当たり前の事実を高校、大学の経済の授業、新入社員研修でもっと教えるべきです。

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          ナタリアの死に思うー小児脳死の診断と臓器移植の現実

          #創作大賞2023 #エッセイ部門 わたしは、米国で働く小児集中治療の専門医です。小児脳死の症例に日々接する中で学んだこと、考えたことを、1人の少女の物語と共に紹介したいと思います。 ■「ナタリア、命の贈り物」 ナタリアは、生まれた時から家族の光でした。いつも楽しそうで元気な女の子。彼女はまさに特別な存在でした。フロリダの太陽がさんさんと降り注いでいた8月のごく普通の日に、わたしたちは家族での休暇を楽しんでいました。 しかしその日、わたしたちの人生は一変してしまったので

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