轢過。野良猫。春の朝。
犬が死ぬその三日前に 「これは数日のうちに死ぬな」 と思った。理由は分からない。
犬が老衰のために微動だにもせず、ついに水も飲めなくなったからだろうか。あるいは子供のころからのつきあいがあるから、状態を機敏に察知することができたのだろうか。
動物の死を予見するのがわたしの無駄な才能なのかもしれない。あるいは動物を飼っていると誰でもそうなるのだろうか。
このまえ猫が死んだときもこの予見がわたしの頭に閃いて、それは見事に的中することになった。
積極的に猫をかわいがっていたのは