ビズリーチで転職は不毛

「ならどうすればいいのさ」と言われたら、自分で企業を探して直接応募に尽きる。たとえ時間が掛かったとしても、自分で企業を厳選して応募するほうが、トータルでは結局短く済むと考えている。自身の経歴を公開して待っていれば、誰かが自分を探し出してくれるなどという美味い話はない。

タイトルではビズリーチを槍玉に挙げたが、他のダイレクトリクルーティングサービスでも同じことである。

誰もが名前を知っている大企業からもスカウトが送られてくるので、最初のうちは気分が良い。だが、何度かスカウトを受け取ったり選考に進んだりするうちに、「この人ら、書類をろくに読んでないな…」と疑念を抱く。

求人する側・される側両方の立場を経験して理解したが、企業のリクルーターにせよ、人材会社のヘッドハンターにせよ、彼らの多くは手持ちの求人に合致するキーワードで候補者を検索し、ヒットした者にスカウトをスパムさながらに送信しているに過ぎない。一見ラブレターのように見えるスカウト文面も、よく読めば自分が受け手でなくても成り立つ文章になっていることに気づく。彼らの目的は候補者を1人でも多く選考におびき寄せることであって、特定の誰かを射止めることではない。そもそも、どんな人を射止めるのか理解していない。

ダイレクトリクルーティングサービスはたちが悪いと思う。募集者は送信したスカウト件数を数えるだけで仕事をしたような錯覚を覚え、候補者はスカウトを受信するだけで研鑽を積んだような錯覚に陥る。そして時折、採用に至ってしまう。

私も当初は受け身でできる転職活動を歓迎した。サービスに会員登録して職務経歴を載せただけにもかかわらず、多様な機会を追求している気になり、気分だけは積極的にキャリアデザインに取り組むハイクラス人材だった。だが、結局のところ、受け身では碌に結実することはなかった。


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