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7/14開催【ドコモベンチャーズピッチ】急速に立ち上がる日本のクイックコマース~磨きこまれたオペレーションが実現する新たな購買体験~

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年7月14日(木)に行ったイベント、

【ドコモベンチャーズピッチ】急速に立ち上がる日本のクイックコマース
~磨きこまれたオペレーションが実現する新たな購買体験~

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、クイックコマースに関連する事業を展開し、新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップを3社をお招きしピッチをしていただきました。

・クイックコマースに興味のある方
・クイックコマース関連の事業連携を模索している方
・スタートアップへの投資や事業連携をご検討されている方
・コマース関連のお仕事をされている方
・スーパーのオンライン化を考えていらっしゃる事業者の方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

以下、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!

■1社目:クイックゲット株式会社

1社目は、クイックゲット 池上 様にご登壇いただきました!

<株式会社クイックゲット General Manager 池上 隆宣 様>

株式会社クイックゲット 池上 隆宣 様

  

・クイックゲット社の事業内容


クイックゲット社は、「購買体験の変革を通じて、人類の進化を進める」をミッションに掲げ、今欲しいものが10分で届くデリバリー限定の次世代コンビニ事業を行っている企業です。

クイックコマースとは?
まずは今回のイベントのテーマであるクイックコマースについて、池上様が説明してくださいました。

クイックコマースとは、食料品や日用品などの小売商品を数十分で配送するサービス・事業のことです。
そして、クイックコマースは大きく2種類に分類することができます。

  • ダークストア型
    配達専用の店舗を構えているサービスです。実際に消費者が訪れて買い物をするわけではないため、ダークストアと呼ばれています。クイックゲット社は、日本初のダークストア型のクイックコマース事業会社です。

  • 実店舗利用型
    実店舗を利用したクイックコマースです。例えば、コンビニの商品を配送するような事例が挙げられます。即配型買い物代行モデルなどがこれに該当します。

小売/購買領域のトレンド
小売/購買領域では、スーパーの登場(1953年頃)→コンビニの登場(1971年頃)→Eコマースの登場(1996年頃)と、約20年サイクルでイノベーションが起きています。クイックコマースは、10分でなんでも届き、実店舗に行かなくて良いという究極の利便性を持っており、デジタル時代の新しい小売形態であるとともに歴史的転換点であると、池上様は捉えています。

さらに池上様は、デジタル時代の小売の未来について2つの方向性があると指摘します。

  • 既存小売 + DX
    既存の小売事業におけるIT活用(EX.買い物代行サービスや無人店舗など)

  • IT前提で小売/購買をゼロから再定義
    イノベーションのメインストリーム(ex.ダークストア) 

では、現状の市場は実際どうなっているのでしょうか?

ダークストアは、フードデリバリーの次の成長市場として2020年後半から世界で注目されています。2021年は、日本の総スタートアップ投資額と同じ額が、この領域に投資されたと言われています。
また、池上様は国内のクイックコマース市場規模を約35兆円(EC市場計3兆円+小売市場計32兆円)と見積もっています。レストラン市場は、COVID-19の影響で約11兆円になっていることを踏まえると、その約3倍以上であるとても大きな市場であることがわかります。

出典:経済産業省 年報「商業動態統計」

ダークストアの海外での盛り上がり

ダークストアがこれほど注目される理由は、利便性の観点から3つ挙げられます。

  1. 圧倒的な配送時間
    一般的なECでは最短翌日配送、フードデリバリーでも30分以上かかることがほとんど。しかし、ダークストアは10分で商品を提供可能

  2. 豊富な品揃え
    コンビニ を中心とした幅広い商品を提供可能

  3. コンビニと同等の価格
    商品配送サービスが付加されているが、値段はコンビニと同等

このように、ダークストアは顧客に対して画期的な価値を提供できる新しいビジネスモデルであるため、注目されています。

クイックゲット社のサービス
クイックゲット社は、10分で届くデリバリー限定の次世代コンビニサービスを提供しています。特徴は以下の2つです。

1.今欲しいものがなんでも届く
コンビニで販売している商品ジャンルはもちろん、成城石井やドンキホーテで販売されているような付加価値の高い商品やユニークな商品、ドラッグストアを想定した日用品類などで、顧客が望む幅広い商品の品揃えをおこなっています。

2.10分程度でお届け
平均お届け時間は10〜15分。圧倒的な早さでお届け可能

取扱商品カテゴリーの一部

11種類のカテゴリー、87種類のサブカテゴリー、合計2000種類の商品を取り扱っています。現在のメイン顧客層は、20〜40代の男女となっており、幅広い属性の方が利用されています。配送エリアは、港区・渋谷区・目黒区など、東京都内の一部地域となっています(2022年7月時点)。

ビジネスモデルは、垂直統合型で全てを構築

垂直統合型のビジネスモデル

1.メーカー/卸売社から配送限定の店舗(倉庫)に商品を選定・仕入れを実施

2.配送パートナーが注文通りの商品を倉庫から顧客へお届け

3.顧客の購入データ・顧客データから品揃えの最適化・パーソナライズ

IT活用を前提としてシステムを構築しているため、配送オペレーションの最適化や購買データによるパーソナライズを行うことができます。

クイックゲット社は、顧客の期待にお応えするために、仕組みの構築を徹底的に行っています。サービスの強みは以下の3つです。

  1. 安定した配送体験
    ・平均配送時間11分、30分以内の配送率99%という実績
    ・注文数が増加してもぶれない安定した仕組みで圧倒的な配送体験を提供

  2. 豊富な品揃え
    データドリブンな品揃え
    ・2000種類の商品で、顧客が欲しいと思う/コンビニ以上の品揃えを実現
    ・Tech企業として徹底したデータドリブンな環境であり、事務スタッフや
     店舗社員もSQL(データベース言語のひとつ)を使うことが可能
    ・どのような商品が望まれているかをデータから日々考え、毎週商品の入
     れ替えを実施
    顧客との高いインタラクティブ性
    ・顧客から商品リクエストがあると、平均7日で販売開始

  3. 顧客からの高い評価
    アプリ評価は高水準の星4.3
    2022年1月から7月のBadレビューは1件のみ

今後の展望
クイックゲット社は、直近半年で売上が約3倍に成長し、1配送当たりの黒字化にも成功しています。
今後はエリアの拡大、時価総額2000億円での上場と、上場後4兆円に成長させることを目指しているそうです。

さらに、現状のクイックゲット社のサービスはそれ単体で価値を生み出すことができるものですが、さらなる展開の可能性もあると考えています。コンビニがさまざまなサービスのインフラ機能として展開していったように「コンビニが保有しているような付随機能が全てボタン1つで、動かなくても一瞬で完結するような世界の実現」と「クイックゲットの”ついで配送”で低コストラストワンマイルを実現し、物流業界にコスト、利便共に優れたサービス構築」を行うことで、将来的には次世代のインフラになることを目指しています。その他にもデータベースを活用したメーカーとのコラボレーションや独自商品の開発などの幅広い事業展開を見据えています。

■2社目:OniGO(オニゴー)株式会社

2社目は、OniGO 梅下 様にご登壇いただきました!

<株式会社OniGO 代表取締役 梅下 直也 様>

株式会社OniGO 梅下 直也 様

・OniGO社の事業内容

創業理由
人が行動変容を起こす時は、何かしらの大きな環境の変化がきっかけとなることが多いと思います。最近では、COVID-19がまさにそれであり、人々は生活する上で変化を余儀なくされました。
また、このような大きな外部環境の変化の他に、ライフイベントも行動変容に大きく関わります。梅下様も第一子の誕生という大変喜ばしいライフイベントを迎えました。妊娠・出産・産後の買い物体験がお母さんにとってどれだけ負担になるか、奥様を見ていて実感したそうです。自分が当事者となったことで改めて顧客目線で物事を考え、どうすれば負担なく行動変容を促せるかを検討し、OniGO社のサービス展開に活かしているそうです。

OniGO社のミッションとビジョン
OniGO社は、「人々の大切な時間を作り出す」をミッションに掲げています。この”人々”には、

● ”お客様”の買い物の手間や負担を減らし、ポジティブで「大切な時間」を作る
● ”事業パートナー”にとって、OniGOと協業する時間を「大切な時間」にする
● ”私たち”にとって、働く時間を「大切な時間」にする

という、3種類の意味が込められています。
そして、OniGO社のビジョンは、「日本版クイックコマースの事業モデルを確立し、広げる」となっています。

「OniGO」とクイックコマース
「OniGO」とは、生鮮食品から日用品までスマホで注文、最短10分で配達するサービスです。アプリで注文を行うと、その情報をもとにピッカーが梱包し、ライダーが商品を顧客に配達します。置き配も可能です。

サービス「OniGO」とは

クイックコマースは、1社目の池上様も説明してくれたように新しい流通形態です。海外で急拡大しており、ユニコーン・デカコーンも誕生しています。梅下様も、2022年5月に欧州の企業に視察に行き、オペレーションや経営管理を日本でどのように展開すべきか確認されたそうです。

梅下様の試算によると、日本における食料品市場規模は全体で約44兆円であり、そのうちネット経由が約4兆円、クイックコマースの市場規模が約2兆円です。つまり、将来的にはクイックコマース市場が、ネット経由での食料品市場の約50%に成長する、ということです。このような巨大な潜在市場で存在感を発揮するためには、人々の行動変容をどのように促すかが鍵となります。

日本における食料品市場規模(OniGO社調べ)

では、食料品の購買体験には現状どのような課題があるのでしょうか。

● 宅配の場合、1週間先の献立を考えて商品を注文する必要がある
● ネットスーパーの場合、注文しても届くのが翌日以降になることが多い
● 子供の送迎と仕事に時間を取られ、子供連れで買い物するのも大変
● 自炊はしたいが仕事が忙しく、帰り道の買い物は大変
● 足腰が悪く、重い食料品を持っての移動が辛い

OniGOなら、

● ”今欲しい”を逃さない
● 忙しいパパ・ママの切り札
● 仕事が忙しくても買い物に行かずに自炊ができる
● 買い物での外出が不要なので、親族含めて安心

お客様からは、配送時間・商品に加えて配達員に関しても高評価をいただいているそうです。
商品ラインナップは1900以上、冷凍食品から洗剤、チルド肉や海鮮など多岐にわたっています。配送エリアは2022年7月現在東京23区の一部地域となっていますが、年内に23区全域に拡大することを目指しています。

OniGo社の強みは以下の3点です。

  1. スーパー価格の食料品が、最短10分で届く圧倒的利便性
    →コンビニ・フードデリバリーより安く、ネットスーパーより早い

  2. 一度定着すると、半永久的に使い続けてしまう常習性
    →欠品率1%など優れたユーザー体験、だからリピーターが積み上がる

  3. データドリブンかつ高速なシステム開発体制
    →アプリから配達の仕組みまで全て自社開発

協業体制と今後の展望
OniGO社は、ローソンストア100社の「ローソンストア100」、ヨーク社の「COMFORT MARKET」との連携店舗をオープンしています。

【参考】ローソンストア100 宅配専門スーパーの倉庫役に 無店舗の「OniGO」と協業開始

2022年3月2日 食品新聞
  • 店舗を配達拠点に見立てた取り組みを実施。ダークストアとの差分を検証

  • サプライチェーン及びマーチャンダイジング面での連携を協議中

  • 今後、リテール事業者へのシステム提供による展開を計画中

また、UberEatsとの事業連携も行っています。

UberEatsとの事業連携

■3社目:ダブルフロンティア株式会社

3社目は、ダブルフロンティア 八木橋 様にご登壇いただきました!

<株式会社ダブルフロンティア 代表取締役 八木橋 裕 様>

株式会社ダブルフロンティア  八木橋 裕 様

・ダブルフロンティア社の事業内容


ダブルフロンティア社は、「地域の人々が支え合う買い物プラットフォームをテクノロジーを駆使してつくる」をミッションに掲げ、ネットスーパー・お買い物代行プラットフォーム「ツイディ(twidy)」を提供している企業です。

食料品スーパーのニーズの変化
COVID-19の影響により人々の生活様式が大きく変わった2020年は、実はスーパーマーケットの売上が大きく伸びた年でもあります。この背景には、UberEats・出前館をはじめとするデリバリーサービスの浸透、大手スーパーのネット事業の成功などがあります。スーパーの競合は、地域内のスーパーだけではなく、隣の地域の飲食店やドラッグストアなどにも広がりました。
特にネットスーパーニーズがCOVID-19が落ち着いてもなお、大きく伸長しています。

ダブルフロンティア社のサービス「ツイディ」
ツイディのビジネスモデルには、以下に示す地域の事業者や施設と、様々な思いをもつ地域の人たちの協力が欠かせません。

地域に根ざす事業者や施設
● スーパーマーケットやホームセンター、ドラッグストアをはじめとする地域に根ざした小売事業者
● ショッピングセンターや百貨店、駅ビル、商店街、道の駅のような地域商業施設
● 新聞販売店様やタクシー事業者様をはじめデリバリーを担うことができる事業者

地域に暮らす人たちの思い
● 空き時間を有効活用したい
● 地域のためになることがしたい
● 副収入がほしい

これら”地域の総力”に、”テクノロジー”を掛け合わせることで実現する、日本初の地域密着型お買い物代行サービスです。

顧客がネットで商品を注文すると、受注データが実店舗に届きます。届いたデータをもとに、ツイディクルー(もしくは協業店舗の従業員)がピッキング&デリバリー(買い物代行)を行います。クルーの担い手は、地域に暮らしている人たちです。クルーについては、マニュアルや教育制度を確立し、少数精鋭クルー運営によるオペレーショナル・エクセレンス(※)を実現しています。さらに、購買データの分析&マーケティングまでツイディがサポートします。
2022年7月時点では、東名阪中心に13ブランド17店舗にて協業展開をしています。

(※)オペレーショナル・エクセレンス:現場のオペレーションを徹底的に改革し、それ自体を競争優位性の源泉とすること

ダブルフロンティア社の提携先(2022年7月現在)

なお、メインサービスは、EC機能 + ピッキング機能 + デリバリー機能ですが、サービスの分割提供も行っています。

実際に店舗で顧客に買い物・ピッキングまでしていただいて、デリバリーだけ利用してもらうといったサービス(ツイディ当日お届け)や、顧客がネット注文し、店舗従業員がピッキングした商品を実店舗に取りに来ていただくサービス(ツイディBOPIS)も展開しています。

ネット店舗を開設するとリアル店舗の売上は減るのか?
よく言われるのが、ネットスーパーの開設によって、リアル店舗の売上が低下するのではないか、ということです。これについて、ダブルフロンティア社が独自に調査を行いました。
結果として、ネットスーパーを開設することで全体の売上(ネットスーパー+リアル店舗)は、従来(リアル店舗のみ)の1.6倍に増加するということが明らかになりました。

ネットスーパーを開設した場合の同一顧客の総売上(ツイディ社調べ)

ツイディは、今後、ネットスーパーとリアル店舗の連携をさらに高め、スーパー全体の売上を高めていく方針です。

自治体・産学連携
仙台市・浜松市・福岡市などの自治体と連携をしています。さらに、2022年から大阪府の「大阪スマートシニアライフ実証事業」に参画し、府から高齢者に貸し出されるタブレット内でツイディを提供しています。
産学連携としては、千葉大学・千葉銀行と連携を行っています。今後は、ツイディのサービスを利用することで、数年単位で健康状態や幸福度にどのような影響が出るのか、ということを調査する予定だそうです。

参考動画はこちら:大阪スマートシニアライフ イメージ動画

今後の展望
ダブルフロンティア社は今後、ネットスーパーを起点に、ユーザーが緩く繋がり、生活の利便性がアップする「狭域コミュニティプラットフォーム」の実現を下記の5ステップで目指します。

  1. ネットスーパー、BOPIS、当日お届けサービス

  2. 地域メディア(食料品に関わる情報とスーパーと街のお店の情報発信)のコンテンツ活用

  3. 地域メディアを利用したリアル店舗送客/店舗支援業務(統合アプリ)

  4. 地域メディアを利用した買い回りサービス

  5. 地域メディアを利用した交流/情報収集機能

まとめ

今回は、クイックコマース関連の代表的な3社のお話をお聞きしました。

欲しいものがわずか10分で届く利便性には、大変驚愕しました!!また、同じ「クイックコマース」というサービスでも、3社3様の思いや工夫が詰まった経営内容であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

クイックコマースサービスが利用できるエリアの拡大が待ち遠しいですね!

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!

引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!

>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら


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