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3/9開催【ドコモベンチャーズピッチ】デジタルツインの実用例を知る リアルを超再現するビジネスとは

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2023年03月09日(木)に行ったイベント、

【ドコモベンチャーズピッチ】デジタルツインの実用例を知る リアルを超再現するビジネスとは

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、デジタルツイン領域で新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップ4社をお招きしピッチをしていただきました。

  • デジタルツインに興味のある方

  • デジタルツイン関連への投資をご検討されている方

  • 新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方

  • 最新のサービストレンド、テクノロジートレンドに興味のある方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

以下、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!

■1社目:株式会社HULIX

1社目は、HULIX 守屋様にご登壇いただきました!

<株式会社HULIX 代表取締役 守屋 充雄様>


株式会社HULIX 代表取締役 守屋 充雄様


・HULIX社の事業内容

HULIX社は、3次元計測センサ「LiDAR(ライダ)」のデータを解析し、デジタルツインの力でパブリックスペースの再構築をサポートする企業です。

LiDARとは、近赤外光や可視光、紫外線などの反射光を光センサで捉えて距離を測定する、リモートセンシングです。距離や位置が正確にわかること、夜間や屋外に強いこと、プライバシーが保護されることなどの利点があります。近年では、LiDARなどの普及により、空間や人の動きを3次元データとして容易に計測できる技術が整いつつあります。しかし、3次元データの活用にはまだまだ課題があるのが現状です。

・3Dデータのリアルタイム解析技術「ひとなび」

そこで、HULIX社では、3Dデータをリアルタイムに解析可能な技術「ひとなび」を開発しました。「ひとなび」は、物体検知やトラッキング、物体種別、空間位置検知などを3Dデータ化して測定します。

「ひとなび」は、「ひとなびBOX」と「ひとなびクラウド・アプリ」で構成されており、3Dデータ解析技術による空間の再構築をサポートします。

3Dデータをリアルタイムに解析可能な技術「ひとなび」
ひとなびBOX

・ひとなびBOX
リアルタイムに3次元点群データを計測・解析するエッジサーバと解析ソフトであり、
・複数台のLiDAR設置
・ビジュアライズ・各種設定
・点群解析・データ分析
を通じてクラウド連携・サービスを提供

・ひとなびクラウド・アプリ
街や空間に関する3Dデータおよび関連ビッグデータを収集・読み解くデータプラットフォーム

・パブリックスペースのDX化

HULIX社が対象とするパブリックスペースは、駅周辺、イベント会場、フードコート、エントランス、研究室、学食、公園、広場など、多岐に渡ります。また、コロナウイルス、脱炭素運動、リモートワーク、少子高齢化などさまざまな要因を受けて、パブリックスペースを取り巻く環境が日々変化しています。そこで、HULIX社では、パブリックスペースにおける活性化・管理業務のDX化を推進しています。先ほどご紹介した「ひとなびBOX」や「ひとなびクラウド・アプリ」などによって、以下の3種類のサービスを提供しています。

1.分析・可視化サービス〜社会実験の評価・空間設計〜
目視での把握やビデオ動画解析での計測が容易でない空間において、数十メートルの範囲にわたる人の導線や滞留状況を計測・分析し、街づくりのインプットに活かす。
例:歩行者の安全性の検証

2.安全・安心サービス〜混雑・歩行空間の安全性確保〜
人数ベースではなく、空間密度まで配慮した混雑度を把握することで、人と機械の双方にとって安全・快適な空間や通路を提供する。
例:人の混雑空間の緩和

3.活性・行動変容サービス〜継続的な新たな空間づくり〜
3次元デジタルの力で変化に富んだ「にぎわい空間」や「プロモーション空間」などの実現に活かし、効果検証サイクルを回す。
例:プロジェクターによるバーチャルピアノ、バーチャルホッケー

■2社目:オングリットホールディングス株式会社

2社目は、オングリットホールディングス 森川様にご登壇いただきました!

<オングリットホールディングス株式会社  代表取締役 森川 春菜様>


オングリットホールディングス株式会社 代表取締役 森川 春菜様


・オングリットホールディングス社の事業内容

オングリットホールディングス社は、土木や建設業界に関するロボットおよびAI開発・自社開発ロボット等のレンタルおよびサービスの提供をしている企業です。打音・チョーキング、写真撮影、野帳記入、図面作成などの、インフラ業界の一連の点検業務に存在するさまざまな課題を「ロボット×AI技術×未経験者」で解決します。

オングリットホールディングス社では、主に3つの事業を展開しています。

1.構造物点検事業
橋やトンネル・道路照明等社会インフラ構造物の点検・調査
2.AI・ロボット事業
ソフト・ハード問わないAIやロボット等の自社開発
3.アウトソーシング事業
未経験者でも業務可能なシステムを活用し、雇用機会の創出に貢献

・「マルッと図面化」

「マルッと図面化」は、ドローンで空撮した画像を結合し、建物の損傷をAIが自動で抽出し、図面を作成するというドローン点検を行うサービスです。インフラ業界の点検業務における「図面作成」に当たります。

「マルッと図面化」

こちらのAIで検出可能な損傷は、ひび割れ、剥離、漏水、鉄筋露出、遊離石灰などです。AIで撮影した画像は、独自のシステムでそのまま図面化されます。今まで土木や建設業界において、手書きの野帳とそれを元にした約200㎡CAD図面の作成には、およそ240分かかっていたそうです。「マルッと図面化」では、ドローンにより撮影した写真の自動結合から、AIによる建物の損傷の自動抽出(一部の特殊損傷は人の手で追記)、そのまま提出可能なCAD図面の完成まで、およそ30分で仕上げることができるそうです。

また、未経験者でも簡単に作業ができること、一部工程を提携施設にアウトソーシングすることにより、新たな雇用機会の創出に繋がります。

・「高所点検ロボット」

道路照明を点検するロボットで、現場作業の省略化に貢献します。人の目の役割を果たすカメラと、打音検査の役割を果たす振動センサーを搭載しています。AIが道路照明のボルトの位置を認識し画像解説することで、ネジなどの緩みを検知します。人では気づきにくい箇所も、AIを活用することによってヒューマンエラーを減らすことができます。

しかし、高所点検ロボットは支柱を挟み込む形状のため、道路照明に標識や信号などの添架物がある場合は使用に適さないという課題があります。添架物のある道路照明は高所作業車が必要なため、コストがかかります。

「Aeye pole」

この課題に対応するのが、現在開発中のポール型ドローンの後継機「Aeye pole」です。すべての道路照明に対応できるよう、12mの延伸を目指しています。ポールの先端にドローンを搭載し、カメラと打音装置・振動センサーによる内部診断で点検を行います。浮力を活用することでポールの先端についたドローンの重さを感じることなく簡単に動かせます。また、操作コントローラー等なく取り扱い可能なので、誰でも利用することができます。自由飛行をしないので、ドローンの利用課題である特別な飛行許可も必要ありません。

Aeye poleは、北九州市によるプロポーザル公募「令和4年度<AIによる道路反射鏡の健全度診断プログラム作成・検証>業務委託」において、受託候補者として特定されました。今まで技術者の手で一つ一つ確認作業を行っていた膨大な数のカーブミラーの点検を、AIで簡単に行うことができるようになります。

・インフラ点検のIT化

2022年、政府は、インフラのデジタル化を推進するため、「アナログ規制」を義務付ける法令について、およそ9,000条項を改正する方針を確定しました。これにより、インフラ点検で目視を求める規制などが撤廃され、インフラ点検におけるドローンの活用がますます期待できます。

■3社目:ローカスブルー株式会社

3社目は、ローカスブルー 宮谷様にご登壇いただきました!

<ローカスブルー株式会社 代表取締役 宮谷 聡様>


ローカスブルー株式会社  代表取締役 宮谷 聡様


・ローカスブルー社の事業内容

ローカスブルー社は、建設業界向けの3Dデータ分析プラットフォームである、「ScanX(スキャン・エックス)」というソフトウェアを提供しています。

近年観察される動きとして、令和5年から全現場で3Dデータ活用が義務化されるなどの国土交通省の動きや、LiDARなどの普及により機材の値段が下がってきていることなどの動きがあります。これにより、建設業界で主流の2D図面から3Dデータが基本になるなど、建設業界の3D化が加速していくと予測されています。

しかし、収集したデータの解析のために必要な専門ソフトやハイスペックPCが高価であるということや、機材をうまく使いこなせないなどの問題が存在し、建設業界の3D化へのスムーズな移行の妨げになっているという事実も否めません。

・「ScanX」による建設業界の”クラウド化”

「ScanX」の特徴

そこで、建設業界で従来使われていたソフトウェアの役割を、クラウド化・サブスクライブ化したものがScanXです。ScanXは、Webブラウザさえあれば3Dデータの解析ができます。スマートフォンやドローン、レーザースキャナなどから得たデータをクラウド上にアップロードするだけで、ScanXがデータを自動で解析し、資料を作成します。月額3万円から安価にサブスクライブできるので、日本の建設業界の大半を占める中小企業にとっても大きな味方となります。


「ScanX」での3Dデータの解析

ScanXの技術的優位性の一つに、ディープラーニングによる3Dデータの自動分類があります。データをアップロードすると、電線、植物、建物、地面などが自動で分析されていきます。たとえば、2021年7月に発生した静岡県熱海市の土石流災害において、災害前後の特定家屋の情報などを自動かつ素早く3Dデータで抽出・分析しました。さらに、リンク一つでクラウド上の情報を関係者と共有できるということも、被害状況の迅速な把握に貢献しています。

このように、ローカスブルー社は、自社の3Dデータ技術で、建設業界だけでなく、他のさまざまな産業の3D化を目指しています。
また、世界の3Dデータの市場規模は20兆円程のポテンシャルがあり、3Dデータで世界を変えることも目指しています。

■4社目:Cellid株式会社

4社目は、Cellid 山本様にご登壇いただきました!

<Cellid株式会社  シニアアカウントマネージャー 山本 駿様>


Cellid株式会社  シニアアカウントマネージャー 山本 駿様


・Cellid社の事業内容

Cellid社は、汎用的なカメラデバイスを用いた、3Dモデルの作成・閲覧が可能な「Model Builder」を提供しています。

デジタルツインは、点群データの集合体として幅広く存在しています。

①CADデータと呼ばれる、すでに存在するデータから作成可能なもの。
工業部品、パーツ、エンジン、車など。
②写真や画像、レーザー測量などの大規模なデータを取得して作成するもの。
プラント・工場スケールや街・都市など。

特に、②のような大規模点群データの取得方法は、映像を用いた手法とセンサーを用いた手法の2種類に大きく分類されますが、各種方にはそれぞれメリットとデメリットが存在します。

1.インプット:映像
必要デバイス:カメラ搭載デバイス
メリット:安価で手頃
デメリット:要ソフトウェア開発

2.インプット:LiDAR、デプスセンサー、ToFセンサー
必要デバイス:センサー搭載デバイス
メリット:高精度、高推定技術
デメリット:高価、要専門人材・専門ソフト、データ量が大きい

「Cellid SLAM」

そこで、Cellid社は、映像を用いた点群データの取得方法のデメリットを解決するために、「Cellid SLAM」というAR技術を開発しました。汎用カメラの映像から特徴点を取得・解析することで、

1.デジタル空間情報を取得(空間認識)しサーバーに保存
2.空間内での自己位置の推定

を同時に行うことができます。

・「Model Builder」

「Model Builder」

また、Model Builderは、映像を用いて簡単に、大規模なデータから3Dモデルを作成できるシステムです。専門知識が不要かつ安価なので、誰でも簡単に建設・インフラ現場空間をデジタル化し、管理・共有することができます。撮影した動画をアップロードするだけで、写真の自動整理や資料作成、また3Dモデルの作成や全体把握が可能です。膨大なアセットを持つ現場において業務効率化を図ることができます。

1.動画を撮る
・LiDAR不要でスマホで出来る
・アプリの購入は不要
2.アップロード
・わずか3タップの簡単操作
・写真整理とモデル作成が可能
3.画像・モデルを確認
・約2時間で完了
・Webブラウザ上で確認
4.共有
・Web上で共有
・ソフトの購入は不要

まとめ

今回は、デジタルツイン関連のお話をお聞きしました。
デジタルツインによってより一層便利になった未来が楽しみですね!

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