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1/24開催【ドコモベンチャーズピッチ】災害への備えは出来ていますか!?”もしもの時”を想定した新たなビジネスチャンス

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年1月24日(火)に行ったイベント、

【ドコモベンチャーズピッチ】災害への備えは出来ていますか!?
- ”もしもの時”を想定した新たなビジネスチャンス -

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、災害テック領域で新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップ5社をお招きしピッチをしていただきました。

・災害関連のサービスや課題に興味のある方
・災害テック関連の投資をご検討されている方
・現業務で災害対策関連のお仕事をされている方
・新規事業、オープンイノベーション等をご検討されている方
・最新のサービストレンド、テクノロジートレンドに興味のある方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

以下、各スタートアップにピッチをしていただいた内容をご紹介します!

■1社目:RapidSOS, Inc.

1社目は、NTTドコモ・ベンチャーズ(RapidSOSへ出資) 下城 様にご登壇いただきました!

<株式会社NTTドコモベンチャーズ Manager 下城 拓也 様>

株式会社NTTドコモベンチャーズ Manager 下城 拓也 様

https://rapidsos.com/


 ・RapidSOS社の事業内容


RapidSOS社は、あらゆるデバイスからデータを緊急通報機関へ転送するプラットフォームを提供している企業です。このサービスは、すでに全米の95%以上の自治体で採用されています。

・緊急通報DXの必要性
皆様は緊急通報をしたことはあるでしょうか。緊急通報をする場面は以下のようなものが挙げられます。

・強盗との対峙
・見知らぬ場所での交通事故
・テロ・パニック
・ブラックアウト

このような状況では、通話先のオペレータに周囲の状況などを正確に伝えることは困難です。そもそも、通話をすることができない状態に置かれる場合もあります。

さらに、音声ベースの意思疎通は当事者だけでなく、緊急通報オペレータにも負担がかかります。短い時間で正確に多くの情報を取得しなければなりません。そのため、大規模な事故などが起こった際には、オペレータの対応が間に合わず、現地での救助活動などが遅れてしまうこともあります。

こういった背景からRapidSOSが生まれました。

・RapidSOSプラットフォーム
RapidSOSは、スマートフォンやスマートウォッチなど様々なデバイスからあらゆるデータを、オペレータや現場の隊員に転送するプラットフォームを開発しました。これまで、緊急通報は音声データのみでしたが、このプラットフォームを用いることで高精度な位置情報・バイタルデータ・センサーデータなどを送ることができるようになりました。このサービスは自治体に無償で提供されており、オペレータと当事者の密なコミュニケーションに役立っています。


911オペレーター向けダッシュボード

例えば、911のオペレータに通報が入ると、その電話番号と紐づいた通報者の医療データベースが表示されます。ダッシュボード上では、通報者の高精度位置情報・移動履歴などがストリートビューや航空写真で確認できます。これによって、拉致された場合でも追跡が可能になります。高精度な位置情報の取得・転送は、Google(Google Emergency Location Service)・Apple(Apple Enhanced Emergency Data)と連携しています。また、事故や転倒をデバイスが検知し、自動で通報する仕組みも一部デバイスで使用可能です。
このサービスは、以下のような実績があります。

・全米95%以上の自治体が導入
・約2年で90%以上の自治体へ展開
・5億台以上のデバイスが接続
・1.6億件以上の911コールを処理

・ユースケース 
このサービスでは以下のような用途が考えられます。

1.ギグエコノミー
見知らぬ人との対面のやりとりが多いため、ユーザー/サービス提供者双方の安心安全を満たすニーズがある。
・ボタン1つで通報(Uber)
・事故/事件発生個所をアップデート(Instacart)
2.スマートビルディング
建物内の避難経路の確保や敷地内の不審者を通報し、安全を確保する。
・ビルマップ確認・遠隔操作(911 Inform)
・不審者を自動検知してリアルタイム映像を911に展開(Zeroeyes)
3.医療デバイス
・バイタルデータの送信(Masimo)
・AEDを近くにいる人に運んでもらう(Avive)

このサービスは、アメリカ・カナダ・メキシコ・イギリス等で展開されており、現在日本での展開を準備しています。

■2社目:株式会社タヌキテック

2社目は、タヌキテック 市川 様にご登壇いただきました!

<株式会社タヌキテック 代表取締役 市川 浩也 様>


株式会社タヌキテック 代表取締役 市川 浩也 様

https://tanuki-tech.co.jp/

  

・タヌキテック社の事業内容


タヌキテック社は、「誰もが安心安全に暮らせる社会の実現」をミッションに掲げ、消防DXシステム「FireChief」及びSociety5.0に対応した「スマート消防」の実現を目指している企業です。

・消防業界の現状
現在、国内に100万人の消防従事者、海外に3000万人の消防従事者が存在しています。
業界での課題は以下のようなものが挙げられます。

1.消防団庶務の課題
・団員側
出勤報告書の記入と事務局への提出、スケジュール管理や分団員への調整などの負担が大きい。
・事務局側
出勤報告書が申告制であり処理が膨大。個人支給・源泉徴収への対応が急務。手当の不透明性など管理に限界がある。
2.災害時の課題
・団員側
緊急伝達手段がメールや防災無線なので、夜中など参集に気づかない。現場情報・水利情報が判らない
・事務局側
団員の参集状況が不明で指揮が遅れる。現場での活動状況・部署位置が不明。活動人員など出勤団員の記録が曖昧。

これらの消防業界の災害時の課題と業務管理の課題を解決するツールが「FireChief」です。

・FireChief
消防活動支援システム「FireChief」は災害時の情報伝達及び事務処理のデジタル化を目的とした消防職員と消防団員が利用できる消防団デジタル化を可能とした消防団グループウェアシステムです。

災害発生時には自動で職団員のスマートフォンに通知を行います。
災害現場では現場からの動画像配信、地図への延焼区域・浸水区域が登録可能で入力された情報はシステム上の地図にマッピングします。アプリ上で消防活動に必要な全ての情報を取得、共有が可能です。

さらに、災害時における下記の事務作業の自動化も実現しています。

・職団員の出動可否管理
・資機材・車両管理
・スケジュール管理
・資料を添付した業務連絡
・出動報告
→消防団の個人支給、課税計算、出動の証憑を全て自動化


消防活動支援システム「FireChief」

また、このFireCiefは各業界への水平展開が可能で以下のような業界に展開を考えています。

・医療業界
ドクターカーへの出勤司令など。
・国土交通省
風水害時の指揮統制、被害状況の可視化など。
・民間企業
民間警備会社での警備員への司令など。

・タヌキテック社が目指す社会
「誰もが安心安全に暮らせる社会」の実現へ向けて、以下のようなフェーズでサービスを展開していく予定です。

1.消防・危機管理DX「FireChief」
消防の他、医療・国交省・民間警備会社向けのソリューションの水平展開
2.通報しない社会の実現「サブスク119」
小規模中規模自治体向け消防指令システムのクラウド化
3.スマート消防(AIによる安全管理、消防テック事業)
Society5.0に対応した消防、あらゆるデバイスのIoT化

これらにより、災害時のリソースを最適化し、職団員の殉職を防ぎます。

これらのフェーズを通して、日本の産業の創出、新しいメイドインジャパンとしての消防インフラが脆弱な国・地域へ輸出されることを目指します。

■3社目:株式会社Gaia Vision

3社目は、Gaia Vision 北 様にご登壇いただきました!

<株式会社Gaia Vision 代表取締役 北 祐樹 様>


株式会社Gaia Vision 代表取締役 北 祐樹 様

https://www.gaia-vision.co.jp/

 

・Gaia Vision社の事業内容


Gaia Vision社は、「地球と社会を科学で見通し人の持続可能な幸せを実現する」をミッションに掲げ、洪水予測・気候データ分析技術を用いて、気候物理リスク分析アプリ「Climate Vision」を提供している企業です。

・気候災害に対する課題
気候変動関連災害による損害が世界中で増加しています。
このような中、上場企業にとって、気候災害のリスク管理と情報開示の必要性が課題となっています。

1.気候関連災害への対応
・気候変動による自然災害リスクが増加
・サプライチェーンの複雑化、拠点の気候関連災害リスクが正確に把握できず、対策が困難
2.気候変動の情報開示
・様々なサステナビリティ情報開示への対応が必要だが、データアクセスが難しく、リスク評価が困難
・専門性が高く、理解や情報整理に手間がかかる

そこでGaia Vision社は、気候リスク分析SaaSソリューションや気候変動コンサルティング/開発支援サービスを展開しています。

・気候リスク分析Webアプリケーション:Climate Vision
「Climate Vision」は、気候変動により激甚化する洪水リスクを分析・管理できるWebプラットフォームです。東京大学の高い技術力から生まれたデータとサービスが信頼と顧客獲得に繋がっています。

気候リスク分析Webアプリケーション:Climate Vision

・グローバル・高精度・高解像度
高効率な河川氾濫シミュレーション技術を用いて、世界中の洪水リスクが高解像度で分析できる。日本国内・世界中のハザードマップを作成しており、国内は30m、海外は90mという非常に高い解像度でデータ提供が可能。
高精度な洪水シミュレーション
過去から現在、将来まで、世界中の洪水が予測可能。防災対策からリスクマネジメントまで、顧客の需要に応じた柔軟なデータ提供が可能。

現在は、気候シナリオ分析・財務影響評価の機能を開発中です。拠点の場所・資産額・売上情報を入力することで、シナリオ分析・財務影響評価を実施可能になります。

・リアルタイム洪水予測AI「FASPAI」
新技術として、FASPAI(Flood Assessment System using Physics-based AI)を開発しました。洪水物理シミュレーションデータと人工衛星による観測データを用いてAIモデルを事前学習させることで、災害発生リスクのある地域で降水量データを入力として浸水エリアの予測を実現します。LTSと共同開発しており、「NEDO Supply Chain Challenge」の災害部門で2位を受賞しています。

リアルタイム洪水予測AI「FASPAI」

■4社目:株式会社Laspy

4社目は、Laspy 藪原 様にご登壇いただきました!

<株式会社Laspy 代表取締役社長 藪原 拓人 様>

株式会社Laspy 代表取締役社長 藪原 拓人 様

https://laspy.net/

 

・Laspy社の事業内容


Laspy社は、「すべての人に安心と備えを」を理念に掲げ、オフィスやマンション等のスペース不足や管理の観点から防災備蓄保有が難しいという悩みを解決している企業です。

・災害時の対策と企業の課題
東日本大震災後から、「東京都帰宅困難者対策条例」が制定されました。この内容は、

1.無事な従業員を3日間は事業所に留まらせること
2.食料と水、その他必要物資を全従業員3日分備蓄すること

というものです。
しかしながら、大量の水や食料のために貴重で高額なオフィススペースの一部を使うことは、なるべく避けたいことです。

そこで、Laspy社は

1.エリア単位で備蓄機能の共同保有
2.建物単位で備蓄機能の共同保有

というソリューションを考えました。

これにより災害発生後は、備蓄品の取得の連絡をし、徒歩で保管場所に向かうだけで、備蓄品の取得をすることができます。

Laspy社のサービス

このソリューションの意義としては、コストとリスクを抑えることができることにあります。災害時に備えて常に最大人数分の備蓄を用意していても、実際に災害時に最大人数がいることは少なく、管理に過剰なマージンがかかってしまいます。だからといって、備蓄量を減らしてしまうと、不足のリスクが高まります。エリア単位で実装するソリューションには、これらを解消することができるというメリットがあります。

・あんしんストック
「あんしんストック®」は、防災備蓄の保管・管理・提供を一括で行う新しいカタチの防災備蓄サービスです。企業・法人のお客様やマンション住民の方の

1.置く場所がない
2.管理が面倒
3.気づいたら賞味期限が切れている

といった備蓄の悩みを解決します。さらに自社で購入するよりも大幅なコストダウンが実現できます。備蓄購入費用も設備投資費用も必要ありません。

参考動画はこちら:㈱Laspy あんしんストック® サービスのご説明

このサービスは、

1.メーカー直の仕入れによる原価低減
2.備蓄品や設備の完全自社開発
3.不動産デベロッパーとの共同開発

などのLaspy社の取り組みが実現させているものです。

備蓄情報は、備蓄管理システム「AEGIS」で確認可能です。災害時は、システムを通じて備蓄品の取得要否の確認通知を送信します。2023年中には、安否確認機能・避難帰宅経路サービスなどの機能が追加される予定です。

今後は、様々な都市インフラを防災用・備蓄用スポットに転換させていく予定です。

■5社目:WOTA株式会社

5社目は、WOTA 越智 様にご登壇いただきました!

<WOTA株式会社 執行役員 兼 渉外統括バイスプレジデント 越智 浩樹 様>


WOTA株式会社 執行役員 兼 渉外統括バイスプレジデント 越智 浩樹 様

https://wota.co.jp/


・WOTA社の事業内容


WOTA社は、「水問題を構造からとらえ、解決に挑む」を存在意義に掲げ、小規模分散水循環システム及び水処理自律制御システムの開発をしている企業です。

・水問題の現状
人類の水問題は「既存の上下水道システム」では解決しきれない構造にあります。

1.水需給Gapの構造課題
人口の急増、生活様式の変化によって、多くの人が水不足に陥ることが予測される
2.人口減少期の財政の構造課題
日本においては、老朽化水道配管の回収費用や人口減少による料金収入減によって、赤字財政の深刻化が進む

そこでWOTA社は、既存の大規模集中型システムから小規模分散型循環システムへの移行というソリューションを提案しています。これが実現すれば、コストや供給速度・環境面の優位性だけでなく、配管がなくても水が循環するため、リスクに対して強靭になります。

・WOTA社のプロダクト
現在、「WOTA BOX」「WOSH」という2種類のプロダクトを提供しています。

「WOTA BOX」と「WOSH」

1.WOTA BOX
WOTA BOXは、水道のない場所での水利用を実現する、ポータブル水再生プラントです。災害時でも、大自然の中でも、シャワーや手洗い、洗濯機などにつなげて、排水の98%以上を再利用可能にすることでいつでもどこでも、安心安全の水を使えます。
2.WOSH
WOSHは、水道のない場所に設置できる、まったく新しい水循環型手洗いスタンドです。カフェに、レストランに、オフィスに、街に。いつでもどこでも、リフレッシュできます。すべての人に、綺麗と安心を提供できます。

さらに2022年6月には、生活雑水全般の処理が可能な、住宅1世帯単位での水循環処理システム(住宅接続型システム)の実装に成功しています。

現在は、給水&排水処理単価で日本の上下水道よりも安く提供できるように改善を重ねています。ロードマップとしては、WOTA単価<上下水道単価となり、以下のように給水原価が高い地域から導入を進め、徐々に拡大していくことを想定しています。

1.島嶼地域、中山間地域
2.乾燥地域 × 先進国
3.乾燥地域 × 新興国

2023年はすでに2自治体での導入が決定しており、さらに、カリブ海の代表的な島嶼国であるアンティグア・バーブーダ国と水問題解決に向け基本合意締結が完了しています。

・災害時の水問題
災害時のライフライン復旧までには3〜6週間ほどかかり、その間水を不自由なく使うことができません。不衛生な環境の健康リスクとして

・集団的な衛生環境の悪化
・集団的な感染症の蔓延リスク
・特に、乳幼児・高齢者・妊産婦等の重篤化リスク大

などがあります。
WOTA社は、台風などによる災害時にWOTA BOXを活用したシャワー施設の設置などを行い、避難生活の衛生的な安全性を守ることに貢献してきました。

WOTA BOXを活用したシャワー施設の設置

まとめ

今回は、災害テック関連の代表的な5社のお話をお聞きしました。

災害テックが普及した、人々が安心できる世界の実現が非常に楽しみですね!

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!

引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!

>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら

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