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【宝の持ち腐れ】空港面探知装置による空港内(地上)の航空機の監視(衝突炎上事故@羽田空港)

International Civil Aviation Organization - ICAO(国際民間航空機関)においては Surface Movement Radar - SMR(空港面動態レーダー)という用語を用いるようですが

国内外の混雑が激しい空港では以前から空港内(地上)で停止中・走行中の航空機や車両を ASDE(Airport Surface Detection Equipment、空港面探知装置・空港面探知レーダー)で監視しているそうです。

空港監視レーダー等の概要および配置図

1月2日に日本航空516便と海上保安庁みずなぎ1号の衝突炎上事故が発生して以来、ヒューマン・エラーを機器(フェールセーフ装置)で補正することができたのではないかと繰り返し報道される中、滑走路(占有)監視支援機能が空港管制システムに装備されていることが広く知られるようになりました。(支援にとどまらず警報が発出されていれば、事故を防ぐことができたかもしれませんが...)

Trilateration is the use of distances (or "ranges") for determining the unknown position coordinates of a point of interest, often around Earth (geopositioning). When more than three distances are involved, it may be called multilateration, for emphasis.

現在は ASDE を補完する MLAT(マルチラテレーション)システムや MLAT を発展させ空港周辺を飛行する航空機も立体的に監視可能な WAM(Wide Area MLAT、広域マルチラテレーション)システムが導入されているそうです。

MLAT(マルチラテレーション)システムの概要
マルチラテレーション(MLAT)の概要
広域マルチラテレーションシステムについて

暫くこの表現を耳にすることはありませんでしたが、これこそ宝の持ち腐れではないでしょうか。羽田空港(東京国際空港)他に設置されている広域マルチラテレーション・システムは三菱電機が開発・製造・設置したようですが、非常に高価な製品です。(複数のサイトに公募調達結果(落札価格)が掲載されています。)

さて、一昨日『航空の安全・安心確保に向けた緊急対策』が発表されましたが、対策の一つは管制官による監視体制の強化(滑走路への誤進入を常時レーダー監視する人員の配置)です。

航空の安全・安心確保に向けた緊急対策

令和6年1月9日   国 土 交 通 省

1月2日に発生した羽田空港における航空機衝突事故を踏まえ、航空の安全・安心の確保に向け、以下の対策を緊急的に講じる。

1.管制機関及び航空事業者等への基本動作の徹底指示(1/3実施済)

2.管制官による監視体制の強化
滑走路への誤進入を常時レーダー監視する人員の配置(羽田空港について1/6より実施済。レーダーが設置されている成田・中部・伊丹・関西・福岡・那覇空港について順次実施予定)

3.パイロットによる外部監視の徹底、視覚支援
(1)航空事業者等への滑走路進入時及び着陸進入時における外部監視の徹底指示(1/8実施済)
(2)滑走路進入手前の停止位置標識の高輝度塗色(羽田空港C滑走路について1/6実施済。羽田空港A・B・D滑走路及び新千歳・成田・中部・伊丹・関西・福岡・那覇空港について順次実施予定)

4.滑走路進入に関するルールの徹底
(1)滑走路進入に関する管制用語のパイロットへの周知徹底(1/8実施済)
(2)滑走路進入に関する管制指示の更なる明確化
例:航空機の離陸順序を示す情報(No.1 No.2 等)の提供を当面停止(羽田空港について1/8実施済。以降、全空港で順次実施予定)
(3)滑走路周辺の走行に関する要注意事項の航空事業者等への周知徹底(羽田空港について1月中実施予定。新千歳・成田・中部・伊丹・関西・福岡・那覇空港について順次実施予定)

5.関係者間のコミュニケーションの強化
○ 管制官とパイロットの交信に関する緊急会議の開催(羽田空港について1月中実施予定。新千歳・成田・中部・伊丹・関西・福岡・那覇空港について順次実施予定)

航空の安全・安心確保に向けた緊急対策

増員されたわけではないので、管制官の皆さんには大きな負担増となりそうですが、東海道新幹線や山手線並みの過密ダイヤで稼働している空港の安全を確保するために、ご尽力いただきますよう。

航空の安全・安心確保に向けた緊急対策(2024年1月9日)国土交通省・航空局

3. 3 管制システムとの連携

羽田空港向け広域マルチラテレーション装置は統合管制情報処理システムの一つである空港管制処理システム(TAPS)に対して得られた航跡情報を提供する。このTAPSは飛行場面及び空港近傍(ターミナル)空域の管制を行う。特にこの航跡情報は羽田空港の同時並行進入運用での監視精度向上に貢献している。

統合管制情報処理システムの概要


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