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【出版あれこれ】高知の潮江菜(潮江カブ)と「らんまん」モデルの牧野富太郎、そして竹田功氏のこと

NHKの朝の連ドラ「らんまん」のモデルである牧野富太郎。当会の書籍にも牧野先生ゆかりのあるものがありました。



年取りと正月料理

土佐の雑煮は「角もちすまし汁」が基本。高知城下に近いところでは、コンブとかつお節でだしを取り、里芋と「潮江菜」をいれるのが定番でした。(四国では珍しく雑煮が角もちなのはお殿様の山内一豊の郷里、尾張に由来したもの)
「潮江菜」は高知市の潮江近辺で作られていた青菜でしたが、昭和21年の昭和南海地震で地区が海水を被り塩害で絶滅してしまったそうです。以来、しばらくの間、潮江菜は市場からも消えてしまうのですが、実は牧野富太郎の弟子であり、博士から「高知の在来野菜の調査と保存」を命じられていた竹田功氏が潮江菜を含む高知の在来野菜の種を保存していたという奇跡があり、さらに竹田氏のご長男がタネを受け継ぎ、その栽培を託された地元農家の熱意もあり、潮江菜(ウシオエカブ)が復活を遂げることになるのです。


伝え継ぐ日本の家庭料理「年取りと正月の料理」から
潮江菜いりの雑煮


潮江菜入りの高知の雑煮

まさか「雑煮」が牧野富太郎とつながるとは思わなかったのですが、高知で昔ながらの雑煮を食べることができるのも、牧野先生と竹田功氏のおかげです。その竹田氏は、幡多農業高校の先生をしながら、クリの栽培・加工の研究では第一人者となります。(農文協の「新特産シリーズ クリ」という書籍にまとめられます。)また、竹田先生の教え子たちも農業分野で指導員になられた方もおられるそうです。
牧野富太郎の思い(蒔いたタネ)は何代もの、そして何人もの高知の人々にこのようにして引き継がれているのですね。



新特産シリーズ クリ

全集 伝え継ぐ 日本の家庭料理 年取りと正月の料理
雑煮はもちが主役のシンプルなものから、山海の幸を入れた豪華版まで、約50種が集合。正月のために何カ月も仕込むなれずしや、地域で違う煮しめや昆布巻き、煮豆、なますなど1年で一番のごちそうが揃います。

新特産シリーズ クリ 栽培から加工・売り方まで
季節や野趣を強く感じさせ、省力・低コストで他果樹にない魅力をもつクリ。その特徴的な生理・生態をふまえ、安定400キロどり、高値販売、加工による特産品づくりの方法を詳述。自家苗育成によるわい化栽培も紹介。
お求めはお近くの書店、または「田舎の本屋さん」


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