【映画感想#2】エターナルズ

先日MCUの新作映画、エターナルズを見てきました。MCUフェーズ4にして新たな次元のヒーロー(?)の誕生物語。これまでのアベンジャーズを中心とする人助けヒーローものとは一線と画す、高次元の戦いとエターナルズ達の葛藤が今回の見どころです。

あらすじ。エターナルズ達は太古より、人を喰らう異形の怪物「ディヴィアンツ」から人類を守ってきた。彼らは人類を守るだけでなく、進歩の手助けも行ってきた。不自然にならない範囲で。晴れて7000年前にディヴィアンツは全滅し、無職となったエターナルズ達は人間社会に溶け込んで暮らしていたが、突然ロンドン市中にディヴィアンツが現れ…!?

以下の記事はネタバレを含む可能性がありますので、ご注意ください。▼

感想を一言でいえば、宇宙という壮大なテーマを冠した人間ドラマだと思いました。エターナルズは互いに家族のように思いやりながらも、複雑に感情が絡み合う関係性です。本作は他のMCU作品と比較してもキャラクターの内面性が深く掘り下げられた内容になっていました。

エターナルズの名前は神話に由来しています。作品の世界観でいえば、彼らを主人公に神話が作られたというべきか。予想では以下の通り。

○セルシ(物質を変形させる)⇒キルケー(ギリシャ神話・魔女)

○イカリス(目からビーム、飛べる)⇒イカロス(ギリシャ神話・飛翔)

○キンゴ(指からビーム)⇒キングー(バビロニア神話・ティアマトの息子)

○ギルガメッシュ(怪力)⇒ギルガメシュ(ギルガメシュ叙事詩)    

○ファルトス(創造)⇒ヘーパイストス(ギリシャ神話、炎と鍛冶の神)

○エイジャック(治癒)⇒アイアース(ギリシャ神話、闘将)

○スプライト(幻影を作り出す)⇒プーカやスプリガン(ケルト神話、妖精)

○セナ(イメージした武器を作り出す)⇒アテーナー(ギリシャ神話、知恵・芸術・工芸・戦略をつかさどる女神)            

○マッカリ(俊足)⇒マーキュリー(ギリシャ神話、商人や旅人の守護神)

○ドルイグ(心を操る)⇒ 神話との因果関係は不明 

※ティアマト(エターナルズではありません)⇒ティアマト(メソポタミア神話、原初の海の女神)      

本作ではセレスティアルズ、エターナルズ、ディヴィアンツという3つの種族が新たに誕生しました。セレスティアルズは宇宙全体の変化と進化をコントロールする神に近い存在。彼らは地球の頂点捕食者を淘汰するディヴィアンツと、それに対抗するエターナルズを創造しました。物語中盤では、地球は新たなセレスティアルズを生み出すための苗床(※ティアマト)であり、人々のエネルギーが十分に溜まると、地球は滅び新たなセレスティアルズが生まれるという新事実が発覚します。セレスティアルズの真の目的は地球を滅ぼして新たなセレスティアルズを誕生させることでした。

本作の主役、エターナルズはダイバーシティの象徴たる存在です。LGBT、PTSD、叶わぬ恋、失恋、孤独、責任、障害、皆抱えている問題があります。例えば星が滅ぶ記憶のPTSDに苦しむセナ。強い戦士ですが記憶が蘇る度に仲間に刃を向けてしまいます。彼女を側で支えてくれたギルガメッシュの温かい愛情を「忘れない」ことが記憶を受け入れ強くなるきっかけとなります。物語序盤、エターナルズは解散し別々の場所で人間社会に紛れて暮らしています。それでも、戦いを経て互いの違いを受け入れて家族のように一つになることができました。

そして復活したディヴィアンツ。彼らもまた人間社会の発展によって、新たに生まれたdiciants(逸脱)なのです。ディヴィアンツはエターナルズの能力を吸収し、どんどん強くなります。そして人間のような形になっていくのです。ディヴィアンツは「逸脱」を恐れる私達の恐怖心、そして「逸脱」を糾弾する邪悪な心を現しているのかもしれません。逸脱を恐れず受け入れて一つになろうというメッセージ性を、私はこの映画から受け取りました。

主演のセルシ役の女優さんが良い演技をされてました。腑に落ちないながらも自分を納得させるように頷く演技とか(細かい)。「ヒューマンズ」というイギリスのドラマの主演もなさっていたようなので、見てみようとおもいました。

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