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GCコンの後期型,クラブニンテンドーコン神話などについての考察

この記事は寝椅子さん主催のスマブラAdvent Calendar 2023で作成した記事です。

前日の記事はかとんさんのファイター作字ができるまで です。

はじめに

初めましての方ははじめまして。どべんと申します。
普段からGCコンをはじめとして、コントローラーのカスタムなどを楽しんでいる一般スマブラーです。

今年は特にPhobコンを何十台も様々な方に実装させていただいたり、オフ大会のコントローラーブーススタッフをやったりと色々な方々と関わらせてもらい楽しい1年でした。

さて 皆さんは“GCコン”、使っていますか?

最近作ったカスタムGCコン
GCコンは塗装をはじめとして、カスタム文化もかなり発展している。


発売から20年以上経った今でも需要が衰えないGCコンは、現在でも特にスマブラで多く使われています。

過去多くのスマブラーが勝利を求め、コントローラーについて多くの理論や説を独自に唱えてきました。

今回はそんな先人たちに敬意を払いつつもそんな数多ある説をそれぞれ考察し、間違っているものはぶった斬っていきたいと思います。

それでは以下より始まります。


そもそも型番ごとの違いって?

そもそも、よく聞く後期型や新規型〜などは何を表しているのでしょうか?

※今回のテーマにおいてスティック周りのことなど、絶対的に性能の良し悪しが変わる部分を後述の評価基軸としています。
そのため、好みが分かれる部分や、性能の変わらない部分(例:ラバーの柔らかさやその他パーツの素材や色など)は記述しません。
それらの個体差においては今後、全てを網羅した各GCコンの差ガイドでも作ろうかと思います。

・初期型

名前の通り、ゲームキューブ発売の最初期に生産されていたものです。
スティックボックスというスティックの駆動部中心にあるパーツは、T1スティックボックスと呼ばれ、後述の全Ver.の中で最も消耗しやすいです。
すぐにグラグラしてしまい、耐久性は最悪です。

初期型のT1スティックボックス
金属のハウジングが特徴
他にも4パターンほど中心軸のカラーバリエーションがある。

コントローラー裏のCステ裏面には、以降のものに比べるとシンプルな刻印がされています。(背面がクリアなものを青に染めてしまっていますが純正品です)

・中期型

初期型の次に生産されたのがこのタイプです。
初期型と同じく、スティックボックスは金属ハウジングを採用しつつも、内部構造の耐久性を高めたT2スティックボックスが採用されています。

内部構造は現在のものに近い。

コントローラー裏面には、このような刻印がなされています。

初期型のものから“CE”マークが追加されている
ただし、CEマークがついていても中身は初期型なことも稀にあるので注意。

・後期型

生産元?がミツミ電機から三洋電機に変わり、生産されたがこのタイプです。
従来のものを使えなかったのか、三洋電機はスティックボックスを刷新し全てのパーツが樹脂製となりました。

そんな高品質なT3スティックボックスは今に至るまで継続して採用されています。

基板とはネジで固定され、樹脂製になった

コントローラー裏面にはこのような刻印がなされています。

中期型と一見同じに見えて、CEマーク右上に“・”(ドット)が追加されているのが見分けるポイントである。

・新規型

スティックボックスは後期型と同じくT3スティックボックスを継続、現在生産されているSPのスマブラブラックまで生産されています。
ケーブルは今までの2mから3mへと変更されました。
また、スティックバネとボタンラバーパッドは押し心地が硬く、位置も高くなった傾向にあります。

ケーブルは1m伸びて3mに、T3スティックボックスは継続

新規型としてはSPのスマブラブラック、Forのスマブラブラック,スマブラホワイト、Xの白コンが“主に”属しています。(白コンは刻印的に後期型だろ!となるかもですが、理由は後述)

コントローラー裏面の刻印はこのようになっています。

日本,ヨーロッパ,オーストラリアにおいて電子機器に義務付けられる表示がずらりと並んでいる。


どのような基準で各GCコンは評価されているのか

では、いったいどのような評価基準でもってスマブラーはコントローラーのランク付けなどをしてきたのでしょうか?
これらは主に3つあると思います

・スティックボックスの耐久性
・スティックの精度
・八角の精度
・跳ね戻りの有無

・スティックボックスの耐久性

こちらについては前述の通りT3スティックボックスが最も優れているため、必然的に後期型以降のものが用いられれと思います。
その他にもT3スティックボックスはネジを外すだけで取り外しがで、きるためバネを交換したり消耗した軸を交換したりといった運用ができるのでそこも優れています。

・スティックの精度

一体何をもってスティックの精度としているのかは謎ですが、後ほど考察します。

・八角の精度

主にDX勢が気にしていることだと思います。
DXではフォックスの上Bの角度や絶が非常に重要らしく、Xの白コン以降のものでは後期型のものに比べて座標値にズレがあるのか精度が悪くなってしまうそうです。
これについては後ほどいくつか仮説を立ててみたいと思います。

完璧な入力のために、ノッチを直接彫り込んだものも用いられている
(画像元:Sage Customs)

・跳ね戻りの有無

これについては、残念ながら新品で跳ね戻りが無いGCコンなんてありません。
詳しくは後述しますが、跳ね戻りがしないのはただ使い込んでセンサーが劣化したからです。


受け継がれてきた様々な見解や謬説

では早速様々な説について考察と解説をしていきたいと思います。

・後期コンは跳ね戻りしない!?

前述の通り、これは間違いです。そもそも跳ね戻りの原因のうちほとんどはポテンショメーターという部品により起きています。(他の要因はバネの硬さやスティックの重量など)

スティックを弾き中心に戻る時に勢い余って反対側に倒れ、その際の動きを検知してしまうことが跳ね戻り。
ポテンショメーター(可変抵抗器)は右の黒い2つ(X軸,Y軸)のパーツ

このポテンショメーターは使っていくうちに摩擦で消耗してしまい、スティックの動きを安定して読み取れなくなっていきます。(この現象は略してPODEと呼ばれています)

跳ね戻りが消えたということは、跳ね戻った際の小さな動きを検知できないくらいに劣化してしまったということです。

逆に言えば、新品時はどんなGCコンであろうと跳ね戻りするということです。

これらの説が形成されたのは、後期型がほとんど中古でしか手に入らなかったからだと思われます。
インターネットが発達して徐々に跳ね戻りという現象が顕になっていく頃には、既にゲームキューブの時代は終わっておりリサイクルショップやフリマサイトでしか手に入れることができなかったためです。
当然中古ですので、多少は使い込んである可能性が高く跳ね戻りが消えている個体が多くあったのだと思われます。

・エメラルドコンは買っておけ

何故か評価も値段も高いエメラルドコン

エメラルド色のGCコンは当たりだから買っておけという風潮があると思います。実際そのせいか、中古市場は他のカラーに比べて割とお高めです。

これ、実はあながち間違いでもないのです。
というのも、
エメラルドブルーのGCコンは中期型と後期型のみ
という風になっているのです。

エメラルドブルーのカラーは通常のカラーラインナップに含まれていますが、発売が遅かったのか中身は中期型と後期型に限定されています。
つまりエメラルドコンな時点で最悪のスティックである初期型を避けることができる訳です。

先人スマブラーがこのことを知ってか知らずかは分かりませんが、早くからこの結論に辿り着いてるのには恐れ入ります………。
(裏側見れば分かるけど)

・クラブニンテンドーコンは神

ソフトを買うともらえるポイントを集めて引き換えできたそうだ。
バチクソに高い。メルカリでは4セット新品27万円のものがある

正確な噂の出所は不明ですが、クラブニンテンドーのGCコンは至上の逸品という風潮があるかと思います。

前項のエメラルドコンの話と多少被りますが、結論として中身は普通のGCコンです。

これらの中身は後期型に限定されます。

他にも後期型に限定されるカラーは
クリア,スターライトゴールド,パールホワイト,クリスタルホワイト,バイオ4モデル,阪神タイガースモデル,シャア専用
となります。限定カラーばっかりや…

また、入手難易度が高い限定品で、流通数も少ないためコレクターアイテムという側面も持っているかと思われます。そのため必然的に状態が相対的に良いものが多くなるのかと思います。

また、当然跳ね戻りが起きるものは起きますが
中古のものも比較的状態がいいのか、跳ね戻りしないかつ劣化で操作感が悪化していないというものも多かったのかもしれません。

状態も良く、後期型となればある程度操作感は保証されたようなものです。そのため、クラブニンテンドーコンは神という説が形成されていったのだと考えられます。

相対的に見れば神かもしれませんが、中身は普通のGCコンなためこの風潮は間違いということになります。

また、高いお金を出してこれを買うくらいなら、Phobコンを買った方が圧倒的に費用対効果は高いです。

(普通に色で欲しいから相場下がって欲しい)

・白コンは後期型であり神

刻印だけ見れば確かに後期型


これに関してはただシェル裏側の刻印が後期型(CE')なだけで、中身に関しては完全に新規型になるかと思います。

では、中身の基板を基準にして考えてみましょう。
例えば現在も販売されているスマブラSPのスマブラブラックでは、2つの型番のメイン基板が搭載されています。

①CFS8280-500020-00 E4
②CFS8280-500030-00 E4

X白コンとスマ4黒コン
メイン基板の型番は一緒

そして、白コンに搭載されているメイン基板には全て、現在の型番と全く同じものが搭載されています。
また、ケーブルも現在まで続く3mのものです。


そのため、X白コンは新規型といえるでしょう。

ちなみに②の基板は今年の下半期から搭載され始めた、より青みがかった基板のことです。色以外の違いは感じられません。

従来の緑に比べてだいぶ青っぽい

この現在も採用されている、新規型の基板をとりあえずE4基板と仮称します。

さて、ここまで読んでとてつもないGCコンフリークスなら気付いたかと思われます。
「E4基板、本当に新規型だけか……?」

その通りです……後期型のものに、新規型の基板が搭載されていることが稀にあります。

エメラルドの後期型にE4基板

もはやこうなるとわけがわからなくなってきますね。

可能性としては、Wiiが発売される直前辺りに生産されたもので、その時点で既に出る予定だったX白コンの基板に置き換わっていたのだと考えられます。

ただ、新規型の特徴である硬いスティックバネとボタンのラバーパッドという特徴をE4基板持ち後期型が持っているかは確認し忘れたため不明です。情報求む…

E4基板ではそれより前の基板とは違い、鉛フリーのハンダが使われている。
そのため「後期型だから鉛入りハンダだろう」とたかを括らず、ハンダ付け作業をする際にはしっかりと目視でハンダの種類を確認する必要がある。

後期型は良いけど、新規型はゴミ?

出所は分かりませんが、後期型が良いという風潮が出回るにつれて新規型の地位も下がっていったと思います。

ここで明確な違いを挙げておくと、
・スティックが硬い
・ボタンが硬い,高い
・ケーブルが長い
といったのが新規型が後期型と明確に違う点です。

他によく挙げれる点は
・スティック精度が悪い?
・八角ガイドの精度が悪い?

といった辺りでしょうか。

特に八角精度はDX勢にとって重要な点であるように感じます。では以下より考察していきましょう。

・スティック精度は悪いのか

よく言われていることですが、正直言って何を指し示して言っているのかは不明です。
とりあえず、スティック精度に影響しそうな要素を並べてみましょう。

・メイン基板
基板はE4基板になったX白コンの間に、従来の三洋電機からEPCに基板の生産が切り替わっていきました。
とはいっても、同じ工場で生産しているのかというくらい、違いが分かりません。

左上:三洋電機製の後期型基板
右上:三洋電機製のE4(新規型)基板
中央下:EPC製のE4(新規型)基板

本当に同じようにしか見えない。

・ポテンショメーター(可変抵抗器)
ポテンショメーターについても、かなり初期の頃にPanasonic(松下電器)製のものがあったそうですが、それ以降はずっとNoble(帝国通信工業)製のものが継続して使用されています。
また問い合わせたところ、Nobleのものは過去大きな仕様変更などは無かったそうです。

左:Panasonic製のポテンショメーター
右:Noble製のポテンショメーター


ぱっと見の回路やパーツ類は全て同じとなると、あとはもうマイクロコンピュータ内のファームウェアの違いくらいしか挙げられません。
ただし、内部のプログラムについては現状調べようがありません。また、それが大きく変わることもあまり考えにくいという側面もあります。

したがって大きな要因などは見当たらず、今のところの真相は不明です。もしくはただの思い込みということになります。
こちらの問題を実感したりした方や有識者を無限に求めます。
(プラシーボに思えちゃう)

・八角の精度

八角の精度とは、スティックガイドの頂点などにスティックを押し当てた際の座標値のことを示しているのかと思われます。
例えばSmahScopeというツールで言うと、八角の頂点にスティックを押し付けた際の完璧なスティック座標値は、北(θ=90°)で(0,100),北西(θ=135°)で(-74,74)という風になります。

SmashScopeで南東(θ=315°)に倒した際のもの
Phobコンならこういった精度を完璧に出せる。

確かにかなり新品に近い後期型で試してみたところ、なるほど。ほぼ完璧な座標値が出ます。

そして新規型(スマブラブラック)で試してみたところ……
普通にほぼ完璧でした あれ?

しかしながらスティック軸だって使用していくうちに削れていき座標値は変化していきますし、ポテンショメーターが劣化すると咄嗟に完璧な座標値を取れなくなっている可能性があります。また、SmashScopeによる計測も完璧で無い可能性があります。

また、この問題はシェル由来なのか基板由来かでも問題が分かれます。基板の場合は前項の同じように見える後期新規問題につながりますし、シェルの場合はどの色のどの時期のものがダメなのか といった問題に繋がっていきます。

つまり、先ほどと同様にこちらも真相は不明です。もしくは気のせいという結論になります。
(こちらの問題も実感した方がいらっしゃったら教えてください……)


おわりに

ここまで読んでいただいた方はありがとうございます。

コントローラーカスタムにハマったころから、何かとフワフワしがちだった理論や説をある程度詳しくなった今ようやく記事にまとめられたので達成感があります。

この記事を読んで、間違った風潮によって損することなどが無くなれば本望です。
(特にクラブニンテンドーコンなど…笑)

大好きなGCコンと、先人スマブラー達が築き上げてきたコントローラーに関する理論に敬意を表してこの記事を締め括りたいと思います。
また、間違ってるところやご意見などがある場合は、Twitterの方でアクションしてくださると幸いです。

どべん

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