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ファイター作字ができるまで


この記事は寝椅子さん主催のスマブラAdventCalendar2023の15日目の記事です。
 昨日の記事はかめらてさんの、「スコアボード制作の薦め」でした。スマブラの大会を彩るスコアボードについてたくさんの事例をご紹介されており、非常に読み応えのある記事でした!こちらもよろしければぜひチェックください!


 こんにちは、かとんです。本記事の冒頭に掲載している「ファイター作字」を制作しています。
 「ファイター作字」はその名の通り、スマブラに登場するファイターの名前(文字)を、そのファイターの特徴や雰囲気をつかって形取る作品です。
各ファイターごとのポストはこちらのモーメントから途中まで(ウルフまで)はたどれます。それ以降のファイターもXで「ファイター作字+(ファイター名)」で検索いただければ見ることができますので、ぜひご覧ください。

 このファイター作字は2022年3月11日にマリオからはじまり、ファイター番号順に制作を続け、2023年12月3日にソラで無事に終えることができました。

 本記事ではファイター作字がどのようなプロセスで出来上がったのかを、ラフスケッチなどもお見せしながら紹介していきたいと思います。
 具体的には、

  1. 作字制作プロセスの大枠をご紹介し、

  2. 具体的な作品を例に挙げ、そのプロセスを追っていく

という構成になっています。少し長い記事になってしまいましたが、よければぜひお付き合いください。


作字制作プロセス


 ファイター作字は主に以下のプロセスを経て作られています。

  1. 制作対象のファイターから特徴を抽出する

  2. 制作する方針を立てる

  3. ラフスケッチを描く

  4. スケッチを元にPCで仕上げ

さっそく、順番に見ていきましょう。

制作対象のファイターから特徴を抽出する

 まずはじめにすることは、制作するファイターに対して思いを馳せます。そのキャラは一言でいうとどんな特徴があるのか、それを書き出します。公式HPを見て参戦ムービーや、スクリーンショットからもそのファイターの特徴や雰囲気が掴めると思います。例えば以下のような感じですね。

かっこいい、かわいい、力強い、繊細、元気、速い、怪しげ、恐ろしい、、

 書き出す際には、マインドマップを使うのもありです。
以下はマリオを作字した際につくったマインドマップです。ここに書いた要素全てを作品に入れ込む必要はないです。ここでの目的は、いろいろな観点でとにかくたくさんの言葉を引き出して、後述する制作方針のとっかかりをたくさん作ることです。

慣れてきたらマインドマップを使って整理しなくても大丈夫です

制作する方針を立てる

 ある程度出し切ったら、文字の方針を決めていきます。具体的には、1であげた言葉を表現するために、文字そのものはどのようなカタチをしているとよいかを考えます。
 例えば、クールな表現をしたい場合にやたらと太い文字はちょっとイメージとは合わないですよね。どちらかというと線は細い方が合いそう、みたいな感じです。
 このように文字のカタチが与える印象をファイターの印象とフィットさせていきます。以下にいくつか例を上げておきます。

かわいい雰囲気を出すために丸みを持たせる
クールな雰囲気を出すために細めの線を入れる
恐ろしい雰囲気を出すために全体をガタつかせる

ラフスケッチを描く

 方針がまとまったらスケッチをしていきます(紙とペンでもよいですが、私はiPadをつかってスケッチしていました)。慣れてくると、方針を立てるのとラフスケッチを描くのを同時に行き来しながら進めることもできます。
 ここでの大まかな手順は、①文字のカタチだけ先に決める、②文字の配置を調整する、③キャラデザの要素を使って装飾をする、というのがよいです。
 特に③については、意匠(キャラデザ)や技の特徴といった装飾に相当するものを最初に施してしまうと、そのイメージが強く出過ぎてしまうので「本当にそのファイターを表す文字になっているか」という観点で印象が弱まります。具体に頼らず、抽象度高くファイターのイメージを表現することがポイントかなと思っています。
 また、これは個人的なtipsですが、そのファイターの勝利画面で流れる音楽や、ステージ楽曲を頭で流しながらスケッチをすると、ファイターの印象とフィットしているかの確認ができるのでおすすめです。

ラフスケッチを元にPCで仕上げ

 スケッチが完成したらいよいよPCで仕上げをします。これは以下の動画を見てもらった方が早いですね。ソフトはAdobe Illustratorを使用しています。

 これで完成となります。それではここからは、具体的に1つの作品が完成していくまでのプロセスを順に見ていきましょう。

実際の制作プロセス


ゲッコウガ

 どのファイターを例に出すか、かなり悩んだのですがゲッコウガにしてみました。
 みなさんは「ゲッコウガ」と聞いて、どういった言葉をイメージするでしょうか?

ゲッコウガってどんなキャラだ??

忍者、カエル、かっこいい、スタイリッシュ、長い舌、水、素早い、、、
概ねこんな感じでしょうか。
 私は「スタイリッシュ、忍者」あたりの言葉をイメージして文字に起こしてみました。「スタイリッシュ」なので、線は太くしすぎず、先端はシャープな鋭さを出しています。かっこよさも出したいので、造形としても丸みがある方向ではないですね。
 これをスケッチにするとこんな感じです。

スタイリッシュニンジャ!って感じが表現できました

 
これでも悪くはないですが、文字の細かい位置や大きさなどを微調整します。

あんまり違いが分かりにくいかもですが、けっこう試行錯誤してます

 
ある程度これだな!というところまで調整が済んだら、装飾をしていきます。先ほど挙げたゲッコウガの特徴から「カエル」の要素を持ってきましょうか。

先端に丸をつけてみた

 
…なんかちょっと違うかも。丸っぽい要素は入れてもいいけど、もうちょっと控えめにしないとスタイリッシュさと喧嘩しそうな感じですね。
 要素を付け足していく時の留意点が見えてきたところで、キャラデザの要素を足していきます。

長い舌も足してみました

 
カエルっぽい丸みは「ゲ」の濁点と「ガ」のハネのところに持ってきました。後者はゲッコウガの足のカタチにすることでより雰囲気を寄せています。
 他にも、特徴で挙げていた「長い舌」を「ッ」の要素に使ってみました。ここからちょっとずつ、さらに微調整を繰り返します。

微調整、、大変だけど作品の印象はここで決まる

 
「コ」が窮屈だったので舌の巻きつき方を調整したり、色の切り替えポイントを作ったりしています。これで下書きは終わりです!あとはPCで清書、色付けをして完成です!
 完成版はこちら↓

 基本的にはいまお見せしたようなプロセスで作字を制作してきました。キャラによってはすんなり方向性が決まったり、2〜3時間かかっても案がまとまらなかったり、いろいろありました。。。

その他ラフスケッチ

 せっかくなので、他のキャラもいくつかまとめてラフスケッチを公開します!

パックマンは最初は丸の中に収めようとしてました


ソニックは斜めのシルエット×線を伸ばして疾走感


Mii ファイターは最初からいい感じに方向性がハマった

 あげていったらキリがないので、いったんこのくらいにしておきましょう。今回の記事を書くにあたって過去のスケッチを見返したのですが、後半になるにつれて割と早い段階で最終形に近い形のものをアウトプットできていたので、慣れてきたんだなぁとしみじみ感じています。

さいごに


 ファイター作字はプライベートの空き時間を使って制作していたので更新頻度にムラがあり、1ヶ月以上間が開くこともたくさんありました…たくさんお待たせしてしまい申し訳無かったです。
 改めまして、いつも見てくださり応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。皆さんのおかげて心折れることなく、無事に全ファイターを制作し切ることができました!

 今回の記事はこれで終わりなのですが、最後にちょ〜〜〜っとだけ宣伝させてください!!!!今回ご紹介したファイター作字、ウメブラSP10のブース出展で展示をします。ぜひ会場でもご覧ください!
 「Xで見てました!」とか声をかけていただけると大喜びします。どうぞよろしくお願いします。

 また、ファイター作字以外でもいろいろとものづくりをしています。作字の経験を活かしてロゴデザインなどもやっていきたいな〜と考えているので、ご依頼お待ちしています。


 明日のアドベントカレンダーは、どべんさんによる「GCコンの後期型,クラブニンテンドー至上神話という謬説についての考察」の記事です!どんな内容か楽しみですね〜〜!

 それではまたどこかで!ご覧いただき、ありがとうございました。

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