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名古屋から東京に自転車で行ったはなし(経緯-熱田神宮)

「しょうくん、残業消化して4月とれなかった有休もちゃんととってね。」
いつも私を振り回してばかりの困った職場が、5月も半ばに入ってから今月中に最低3日休めとまた勝手なことを言ってきた。そうかそれなら全部休みを繋げて出かけてやろう、春先に買った新しい自転車にも乗れていなかったので、いっそのこと東京まで自転車で行こうと思い立ちました。

3月に買ったEmonda SL6 Disc

 

先代クロスバイクと現行ロードバイク どちらもtrek

 自転車の話をすこし。(全然少しじゃないので読み飛ばして結構です)
 名古屋に引っ越したらまた自転車に乗ろうと意気込んで、引っ越す前の3月に新しいtrekのロードバイクを買って一緒に名古屋に移ってきました。新車の挿し色の赤はtrek伝統カラーの赤であり、先代のtrekクロスバイクから引き継いだ赤でもあります。
 先代のクロスバイクは学生時代に出町柳のサイクルショップで買ったものでした。当時は生活の足として自転車が必要で、別にいい自転車なんて買うつもり全然なかったのに、お店に入ってスタンドの最上段で輝くロードバイクを見て心惹かれてしまいました。でも日常の足にするには高い乗り物なんですよね。最初はママチャリ買おうかなと思ってたのに、ロードバイク見てモヤモヤしながら、その日は決めかねて家に帰って、悩んだ末に翌日気づけば折衷案でクロスバイクを買っていました。学生時代はずっと相棒でした。
 ツーリングにも結構出かけましたが、やはり峠越えの坂がしんどい。学生時代で金もないので、装備を減らして現地調達するという考え方もなくて、ごつい荷台にかばんをぶら下げて真っ青な顔で自転車を押して登ったものでした。
 いつかロードバイクを買って快適にツーリングしたいなと思い続けつつ、なかなか買うタイミングを見つけられないまま20代が終わりを迎えるころ、名古屋に引っ越して自転車が使いやすい環境に変わるので、生活の足と趣味用でようやく思い切って購入できました。
 急に休みが舞い込んで始まった今回の旅は、学生時代に越えられなかった峠にもう一度アタックする試みです。

 ということで出発2日前から急ぎで旅の用意をするけど、全然出かける準備ができていない。まずカバンがない。ツーリング用の自転車に直接取り付けできるカバンを持っていないので、このままだとリュックを背負って走ることになる。Amazonで安いカバンを買ってしのぐか、出発を遅らせて星が丘のtrekショップに行って純正を買ってきて取り付けるか、悩む。結局悩んでいるうちにAmazonも間に合わなくなって、でも出発も遅らせたくなくて、間に合わせで括り付けて後で悲劇を生みました。
 あとはビンディング慣れしていない技術的な問題もありました。通常、自転車のペダルと靴は固定されないものですが、新しい自転車にはペダリング効率を上げるために固定する機構がついていて、乗るのに少しコツがいる。ほとんど乗ってないまま出発したので、これも後で悲惨な結果を招きました。
 こういう旅の準備は昔から全然だめです。いつも出たとこ勝負で、問題が起こらないことがないです。

 そんなこんなでろくに準備もできないまま5/19金曜夜を迎えます。予定では金夜に出発して24時間走って土夜に東京入りする突貫スケジュールでした。が、日中でやむ予報だった雨がしとしと夜まで降り続いて道路も濡れていてなかなか出発させてくれません。
 これ想像つくかわからないですが、電車で出かけるくらいなら心の整理の必要がないけど、今から24時間自転車に乗ると思うと出発に強い気持ちがいるんです。悪天候で出発できないのがかなりストレスになる。
 散々迷って、なんなら東京行き止めようか弱気になっちゃって、最後は気力がなくなって翌日の自分に判断を委ねることにして、その日は倒れるようにして布団にはいりました。

 気が張っていたからか、翌日は5時半ごろに目が覚めました。天気は晴れ、路面コンディションもよし、もう行くしかない。無心で家を出る、自転車にまたがる、ペダルを踏む。長い旅路なのに驚くほど無感動な出発。
 そういえばなんの写真も撮ってないなと気づき、早朝の名古屋駅前で静かに一枚撮って再出発。

5/20 6:00 名古屋駅前出発


名古屋市街から熱田神宮に抜ける伏見通

 (名古屋都心は東海道新幹線の名古屋駅があるように、今でこそ東海道の人流の要衝になってますが、元々の東海道は少し離れた熱田神宮の目の前を通っていました。いわゆる国道1号線です。今回の東海道の旅はこの国道1号線をひたすら走って東京に向かうことになります。
 ちなみに熱田神宮は宮宿として東海道宿場町になっていたと同時に、名古屋城・都心方面に伸びる伏見通(現国道22号線)と交差していて東海道名古屋の玄関口にもなっていました。
 だからわたしもちゃんとこのルートで東海道に出ないといけないなと笑。こだわりが深すぎると思うかもしれないけど、これぐらいこだわって楽しんでいかないと、この先がしんどくてたまらないわけです。)

 そんな早朝の走り出しですが、すぐにグーっとおなかが痛くなって、コンビニを探しの旅に変わります。金山手前でトイレに入って、でもまた腹が鳴って、いちいち止まってたら進まないので熱田神宮に出るまで我慢して、変な汗をかきながら国道1号線に出たばかりのところのファミマに飛び込みました。

 ここまで自転車をこいでる感想がないのだけど、まさにそんな船出でした。このあとお腹の具合が落ち着いて、ようやく自転車に乗っていることを思い出すようにして、東海道を一路、東京に向けて走っていきます。

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