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免疫のはなし(7)。 - 組み合わせ。

多様性を獲得することが必須の免疫細胞ですが大きく分けてB細胞、T細胞があります。生まれは骨髄でそこから移動する中で免疫として、成熟していきます。

B細胞は骨髄で生まれそこで成熟してリンパ器官、リンパ節、脾臓などに移動します。B細胞が持っているのはMHCクラス2。あと大事な抗体となるB細胞受容体(BCR)があります。

骨髄で多様性を獲得しますが、多様性ということは自分自身のものにも反応してしまうということになります。それを防止するためにネガティブセレクション、自己に反応するものを排除します。自身に害のないものだけ生き残る仕組みですね。失敗してしまうと自分を攻撃してしまいます。自己免疫疾患ということです。

ここでB細胞は多様性を持ったわけですが、これはB細胞一つ一つ違った細胞、違ったものを認識するB細胞となります。B細胞は微細な部位を認識する小さな防衛隊です。そしてMHCクラス2を持つ抗原提示できる細胞でもあります。CD4T細胞がこのMHCを認識してB細胞の活性化をすることにもなります。

T細胞は骨髄で生まれ胸腺に運ばれてそこで成熟していきます。ここでネガティブセレクションを受けて自分に都合の良いもののみ残ります。B細胞と同じで遺伝子再構成により多様性を獲得します。T細胞の場合はTCR、T細胞レセプターが認識部位となります。T細胞はMHCクラス1を認識して免疫反応を起こします。具体的には自分以外のタンパク質を作っている細胞を破壊します。

B細胞、T細胞共に遺伝子再構成により多様性を獲得してMHCを標的に免疫反応を起こし自分の体を守ことになります。いろんなものに対応すべくたくさん用意されているわけですが、本番で活躍するものはほんの一部です。認識された"敵"を見つけたらそのほんの一部の細胞が一気に増えてその病原体を排除するように働きます。

無駄とも思えるような多様なものを用意してまだ見ぬ敵を待っている。ということになります。

B細胞、T細胞共に遺伝子再構成により多様性を獲得して敵をやっつけるわけですが、これだけではやっつけることはできません。他の作用、いろんなものの協力を得て力を倍増させます。

B細胞は形質細胞という抗体産生細胞へと変化して、抗体産生に特価した細胞になります。そのB細胞を助けるのが特殊なT細胞、CD4というタンパク質を持つT細胞です。一般にヘルパーT細胞と呼ばれます。このCD4T細胞もMHCとの結合によって活性化されて、サイトカインという細胞を活性化させる物質も産生します。

T細胞には免疫を活性化させる機能、敵をやっつける機能と持ち合わせています。B細胞より広い機能を持っています。T細胞は自ら敵を見つけやっつける。B細胞の抗体のような武器はありませんが直接感染細胞を壊してしまう機能を持っています。

免疫の活躍の場、敵が進入しやすい場所といえば、食べ物を食べる口、息をする鼻、消化吸収器官である腸が挙げられまます。ここには最前線の免疫細胞が待機しています。特にγδT細胞と呼ばれ腸管にたくさんあり、感染防御を担っています。

今大流行しているコロナウイルス も本来は口から入ってくるウイルスなので、口粘膜に活性化した免疫細胞があるとやっつけてくれます。粘膜ワクチンは直接粘膜の免疫細胞を活性化できるので効率的でもあります。

mRNAワクチンが世間では話題ですが、実際ののところどうでしょうか?少し長い期間みてみないとわからないと思いますが、今のところ世間一般では効いているとの評判です。細胞質内に入り込み効果を発揮する仕組みのようなので、細胞内でタンパク質を作り抗原とし、認識させて細胞性免疫を活性化するには良いと思います。抗体産生はこれだけでは不利なような気がしますが成果としてはしっかりと抗体も作られている結果が出ているようです。何はともあれ、結局は自分の免疫便りになっていますすので、自分をコントロールして感染しないようにする、普段からバランスの良い生活することが一番の特効薬です。自分次第ですね。

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