見出し画像

家を買う理由

6週間の日本滞在中、私はホテルに宿泊することになります。
私は日本に家がないのです。

この歳になるまで、私は家を買おうと考えたことがなかったんだよね。
日本に住んでいた頃も、ずっと賃貸アパート暮らしでした。

海外を転々として生きてきたからでしょうけど、家を買う人たちの心理がまったく理解できませんでした。
でも、ふと気づいたんです。50歳にもなって、持ち家がなく、今後家を買う予定もない日本人って、私の知り合いにほとんどいないんですよ。

私にとって、家を買うとは、ドラマの中のおとぎ話のようなものです。
マイホームを夢見たり、住宅ローンを抱えるドラマの登場人物のお話。
そういう話をしてくれる知り合いもいましたが、私はこの話題にまったくついていけなかった。だって自分にはまったく縁のない話だと思ってたから。

気心の知れた友人に真顔で訊いたことはあります。
「家って買わなアカンもんなん? 賃貸じゃアカンの?」
すると、たいていこう返されました。
「バカ高い家賃払うのアホらしいやん」

えーと・・・。バカ高い家賃がアホらしいなら、その 100倍もする家を買うのは 100倍アホらしいんとちゃうの?

毎月家賃を払い続けるより、ローンで買ったほうがトータルファイナンス的に有利なのはわかりますよ。でもね、家を買うことで失うものについては考えないんですか?
家を買うと失うもの。それはひとことで言えば、フレキシビリティです。
まず、容易に移住できなくなる。
さらに、住む人の数が変わったときに、どうするの?って話。

私の実家は、家族が最多の 6人だったときに建てられました。
40年前のことです。
その同じ家に現在、母が 1人で住んでいます。
この不条理な現実を知れば、コストのわずかな違いなど吹き飛んでしまう。

一方、家を持たない私が失ったものはなんだろうか。
あれこれ考えてみて、1つだけありました。
ペットが飼えないこと。
私は犬が大好きでしてね。
猫も好きですが、断然犬派です。
どんな犬種も好きですが、とくに大型犬、例えばゴールデンレトリーバーと一緒に暮らすのが私の夢です。
ずーっと賃貸アパートで生きてきたことで、私はこの夢をずーっとあきらめつつ現在に至っています。


♪ もしも~私が~家を~建てたなら~ ♪

小坂明子

ときどき、昭和の名曲を聴きたくなることが人生にはあります。
オリジナルは言うまでもなく。


聖子がカバーしたパフォーマンスもかなりヤバい。


♪ 大きな~窓と~小さな~ドアと~部屋には~古い~暖炉があるのよ~ ♪

小坂明子

昭和時代の 16歳が想い描いた「家」なのでしょう。
そんな夢を描けた時代。そんな家を手に入れられた時代だったんですね。
 

♪ 子犬の横には~あなた~あなた~あなたが~いてほしい ♪

小坂明子

せつなくて泣けてきます。
  

♪ 家の外では~坊やが遊び~坊やの横には~あなた~あなた~
あなたが~いてほしい ♪

小坂明子

「坊や」を、うちの愛娘に脳内変換しています。
アパート暮らししか知らない妻と娘たちに、地についた家で庭のある暮らしをしてほしい、と思う。
 

♪ わたしの横には~わたしの横には~あなた~あなた~

ゴールデンレトリーバーがいてほしい。