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家探し、はじめました

スイスには、家具付き (furnished) の物件などそうそうありません。
ジュネーブに着いたら当面はサービスアパートメントに住みます。
香港からの船便が届くまで、ベッドもソファもありませんからね。

1ヵ月ほどサービスアパートメントに住みながら、その間にゆっくり家探し (house-hunting) をする予定です。

ジュネーブは以前 6年住んでいたまちなので、土地勘があります。
ジュネーブへの帰任を妻に伝えてまもなく、今度はどの辺りに住もうかな、と妻はエリアイメージをもっていたようです。

物件選びは妻の専権事項です。100% 妻に決定権があります。
私は家のことをしない夫でして。発言権など 1グラムもありません。

ジュネーブでの家探しは、日本でのそれと基本的に同じです。
興味のある物件をいくつか選び、エージェントのアレンジで内見することになります。

先日、エージェントと最初の打ち合わせ(オンライン)をしましてね。
内見する物件をサーチするため、エリア、タイプ、部屋数、家賃の予算等を伝えます。
パソコン画面のエージェントと話すのは私ですが、隣に妻を座らせています。

不動産屋のエージェントって、けっこう細かいことを訊いてきますよね。
バスタブは必須か?
車庫に屋根は必要か?
キッチンはオープンがいいか?

私も妻も、ほぼすべての質問に “doesn’t matter” と答えていきます。

そんなことよりも・・・
「絶対にゆずれない条件は 1つだけ」と妻が言いました。

ヨーロッパの住宅における最大の弱点ってなんだと思われますか?

それは、部屋に洗濯機が設置できないこと。(だそうです)
ヨーロッパのたいていのアパートには地下室があって、そこに洗濯機が置かれているタイプが多いのです。しかも洗濯機は共同だったりします。

それだけは無理!!
なんだそうです。男どもにはイマイチわからない感覚ですが。

なぜ洗濯機を部屋の中に置けないのか?
ヨーロッパ人は生活音に敏感だからです。
午後 6時以降に掃除機をかけると、隣人に通報されるお国柄ですからね。

「洗濯機が部屋内に設置できる仕様になっていること」
と伝えると、エージェントは苦笑いして言いました。
「ジャパニーズの定番リクエストですね」

洗濯機の設置場所にこだわるのは日本人特有なのか。

エージェント「アパートでその条件だと一気に厳しくなります。一戸建てやセミ・デタッチタイプも候補に入れましょうか?」

妻に視線を移すと、「洗濯機が置ければいいよ」と言います。
オマエはどんだけ洗濯機がトラウマなんや。

エージェント「こんな物件はどうでしょうか?」

え?
悲願の・・・犬が飼える家ですか?

エージェント「バスルームに洗濯機が付いてますし」

「合格!」と妻が言う。

エージェント「下の階はこんな感じです」

階段は娘たちが喜びそうやな。

エージェント「お庭のメンテがたいへんですが、そこは大丈夫ですか?」

妻のほうを見た。
妻の顔が「アンタの仕事だよ」と言っている。

そのとき私は、映画『グラン・トリノ』のクリント・イーストウッドの暮らしを思い浮かべた。
毎日、庭に芝刈り機をかける。
テラスでビールを呑み、新聞を読む。
隣の家には、ラオスあたりの少数民族が大家族で引っ越してくるのだろう。
私はそこの少年と友達になり、DIY と女の子の誘い方を教えるんだろうか。