校内防災さんぽ@曙小学校

曙小学校 校内防災さんぽ 2020年11月6日実施
09:30〜10:30 事前学習(図書室)
10:30〜11:45 防災さんぽ
11:45〜12:30 ふりかえり
【参加者】
・大嶺教頭先生
・曙小学校区まちづくり協議会メンバー:3人
(民生委員や児童クラブスタッフなど。平日の午前なのでお仕事のある方は来れず) ・那覇市社会福祉協議会:1人(曙地域で支援が必要な人の避難など関わっている) 
・DMPO:4人

11月6日、曙小学校にて校内の防災さんぽを開催しました。津波リスクが高いこの地域では、災害時に避難所となる曙小学校の役割が重要です。今回は、災害発生時に想定すべき対応や規模などについて、具体的にイメージするため、災害対応の視点をもって、校内を改めて歩いてみました。

1.事前学習

まず、今回の防災さんぽの目的について、改めて図書室で事前学習を行ないました。

1.ねらいの確認/共有 ...なぜ、校舎内をチェックするのか。
2.曙小学校に避難する可能性のある住民・就業者の母数の共有。
3.避難室を想定した「区画整理」のイメージづくり。

 感染症拡大リスクのある中では、家族と家族の間に空間か仕切りを作る「区画整理」をする必要があります。 区画整理には、少なくとも3つの方法があります。

仕切るものが何もない場合
 曙地区の家族人数平均は 2.4 人なので、居住空間を畳2畳分よりやや大きい 2×2mとし、家族同士が通路を兼ねて2mの間が取れるよう、四方に1mの空間を設ける。 1家族4×4mを1区画とする。(もう少し詰めて収容する場合は、四方の空間を 0.75mとする)

避難室に1家族1テントとした場合
 那覇市が導入を予定している 2.1×2.1mのテントを基準に考える。 テントの場合は家族と家族の間に空間は不要だが、どの面かに1mの通路分のスペースを入れて計算する。 1家族 2.1×3.1m=6.5 平方メートルを1区画とする。

家族と家族の間にパーテーションを入れた場合
 パーテーション設置部分として左右どちらかに1m、 通路部分として上下どちらかに1mの空間を設ける。1家族3×3mを1区画とする

 現実的には、テントやパーテーションがただちに揃うとは考えにくいので、1の4×4mの区画がどれくらい 確保できるかを考えながら、教室や体育館、多目的室などを見てまわりました。

2.校舎内さんぽでのチェック項目

校内さんぽの主なポイントは以下の通りです。
 ①コロナリスク下で、ひとつの教室をどう区画できるか
 ②教室によって機能をどう変えるか(ゾーニング)

 避難者がいたとしても、同時に学校も再開しなければならない状況になることも考えられます。その場合、災害によっては使える部屋が限られますが、 今回はかなりの人が避難する事態になったとして、どの教室にどういう人を誘導するかを考えました。以下の2パターンが想定できます。
 [状況別]体調不良の人、高齢者、妊婦さん、乳幼児連れ、ペットが家族のお一員である人に分けるパターン
 [居住地別]あらかじめ「曙1丁目」「2丁目」「ボランティア」「観光客」などに分けておくパターン

③教室以外の資源にはどのようなものがあり、どう活用できるか

今回の防災さんぽは、大嶺教頭先生の案内で、校舎内をくまなく歩かせていただきました。この日、1〜4年生は校外学習で、5・6年生が在校している状態だったため、1〜4年生の教室の中なども見てまわりました。

3.場所別のポイント

教室・バルコニー
・ひとつの教室はだいたい 60 平方メートル(8.4×7m)。とれるのは4区画。つまり、8〜9人分。
・ほとんどの教室は廊下側の壁がなく、廊下も同じ大きさ。教室の対面の廊下で4区画、8〜9人分。
 ・教頭先生は「いつも子どもがイスに座る姿を通して教室を見てきて、たくさんの方が入るだろうと思っていた が、実際に4m×4mを巻き尺で図りながら区画すると意外に入れないとわかり、驚いた」とのコメント。
・特別教室はろうかとの間に透明アクリル板を入れた壁。畳を敷いた3畳のベッドも。ここは体調不良者? ・各教室には手洗い場があり、水道の蛇口が3つついている。水道が出れば、コロナ下で大きな強み。
・各教室にはバルコニー。水道の蛇口もひとつ。外階段とつながっている。
・廊下の奥には、消火器の横に内線電話。児童が緊急時に使えるようになっている。
・エアコンは、一部を除いて集中制御になっている。

各種専門教室
 ・家庭科室・図工室にはたくさんのタップ(コンセント)。天井からも。通電していたら大きな強み。
・家庭室にはもちろんコンロと流し。都市ガスなので、ガス復旧しないと使えない。食器もたくさんある。
包丁は鍵付きの棚に。ミシンもたくさんある。
・音楽室や英語室は防音
・「上級生への入口」の掲示

地域連携室 
・日常的に地域の方が使える。この日も、高齢者施設からバスでおじいおばあが来て、体操を行っていた。
・子どもの居場所もここで開催。役員会では、ここで防災キャンプをするのもアリ、という話になった。


体育館(2階)
・24.9m×29.65m。6×7〜8=42 区画〜48 区画。115 人。
・ステージは10.5×4.45m 区画としては2区画程度。緞帳で仕切って物資など置く? ・裏に楽屋のような部屋で、隠し部屋のようになっている。旧音楽教室で、物資倉庫に使える? ・1階から階段で直接上がれる。地域スポーツクラブが鍵の管理をしながら放課後などに使用するなど、開放。
・体育館入口も6段の階段。
・民生委員の玉寄さん、「ブルーシート 50 枚は置ける。まち協の費用で持っておくのもいいかも」。
「避難所になったら、まち協のメンバーが入って最初からブルーシートを並べていくのがよいのでは。

プール(2階)
・手前に低学年用、奥に 25×10m。
・体育館を入ってすぐ左、短い階段を下りて上る。
・25×10mプールは 250 立法メートルの水が常にある。=1000 リットル×250 立方メートル=250,000L
浴槽(200L)1250 杯分の水がある。ポリタンクに治すと、約 13,900 個分。
・通常の水洗トイレ回数(8L)に換算すると、31,250 回分。
・更衣室もある。
*学校のプール水は塩素が入っているので、コロナリスク下でも手洗いなどに使える。 学校のプールを、地域のダムといえる。そういう位置づけにできないか? 学校での貯水を徹底し、教職員と地域住民とで運ぶ訓練なども。 先日、沖縄市中央公民館で災害時の水の話をしたときも、そんな話が受講生から。 コロナ下では、これまでの災害とは比較できないほど、生活用水が必要になる。

フリースペース
・ペット同伴者、テント持ち込み者。
・「校区内で 100 世帯にアンケートしたら、3割がペットを飼っている」とのこと
・食事場所として活用できるかも。

トイレ
・和式がメインで、洋式は少なめ(1階にはある)。
・多目的トイレも少ない。

外階段
・通常は鍵がかかっている

【ふりかえり】

・初めて校舎内の各教室をじっくり見てまわったことで、発見が多かった。
・オープンで、全部の部屋に窓があるので明るいことや、どこも外からの階段がつながっていてどこからでも出 入りができるが、それは防犯上の課題もある。誰が警備するか。
・ペットの避難場所は難しいが、これだけ外とつながっているところがあると、すぐ外には出しやすい。防犯対 策として活用できないか。
・非常時を考えた場合、平時からやっておけることはやっておくべきという意見。 ・特に、地域でできること。学校に先生がいない時間帯に災害発生した場合、行政もあてにできない。
...体育館にすぐブルーシートをおいて区画整理できるよう、防災倉庫の鍵は壊して使うことの周知、など。
・学校の状況を公にするのが難しいが、ある程度考える必要。
・ゾーニングはどこまで細かく分けるか、分けない法がいいケースもありそう。
・トイレと階段がきびしいが、どうするか。体育館手前のワークスペース活用も必要。 
・掲示物に「あけぼのモデル」として 10 のルール。コロナ下での児童生徒の行動洋式。たとえば「登校したら担 任に健康シートを提出」。そのなかで「移動教室(理科・音楽・体育・英語)は整列しないで準備できた人から」。 これまでクラス全員がそろうまで待っていたが、これからは各自で移動。

課題
・エレベーターと階段などのバリアがある。
・外階段のカギ。
・学校は、授業再開をしなければならない。その教室を確保しておく必要がある。 ・内線電話と校内放送が使えない時どうするか?
・教室には、以前より高価なものが多くなった。
・靴置き場の問題。靴が感染源になりうる。管理方法を考えておく必要。

田場校長から
・避難室として開放できる部分とそうでないところを明確にする必要。やはり体育館が中心になるのではないか。
・学校内には大切な書類がたくさんあり、市の所有である書類もある。どう守るかも考える必要。
・父母会で係を置くこともいいかも。地域との協働をしなければ(大嶺教頭も同意見)。

活動に賛同していただける方、会員にならないまでも活動を応援したいという方、ぜひサポートいただけると嬉しいです!