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各種データ等の継続的な収集・分析

DMOでは"M"がmarketing(マーケティング)とmanagement(マネジメント)の略語となっています。今回はこの辺について綴って行きたいと思います。

まずは各種データが何を指すかから始めたいと思います。参照にするのは「日本版DMO」形成・確立に係る手引き(第3版)です。

■ 収集データの項目について

Ⅰ.少なくとも、①延べ宿泊者数、②旅行消費額、③来訪者満足度、④リピーター率、⑤WEBサイトのアクセス状況。以上①~⑤のデータを原則として全て収集していること。

いきなりなかなかのハードルになっているのがお分かりでしょうか?⑤以外を収集する方法がかなり難しいのです。①は宿泊施設に協力してもらわなければ数字を取ることができません。さらに言うと延べの宿泊数を取るだけではマーケティング手法に当て込むことが難しいのは一目瞭然ではないでしょうか。

②の旅行消費額や③の来訪者満足度、④リピーター率については、アンケートが必要になります。記入者の漏れを防ぐために対面式が良いと言う話も聞きましたが、やはり本音を書いてもらうには返信用封筒と共にお渡しし、帰ってから記入いただく方が良いのではないかと思うのです。なかなかのハードルを感じざるを得ません。さらに突っ込んてしまうとアンケートが書ける、書きたい方は良いとしても、書きたくない、書けないような方のサンプルが取れないため、集計結果に偏りが発生しているのではないかと気になっています。つまりはどのような手段を行えば、日本中から偏りのない一定のサンプルが取得できるのか?が見えません。

完全にこじらせているようにも思えるのですが笑。私が感じるのは、DMO自体がどこまでを把握する必要があるのか?ということを予め決める必要があると感じています。観光庁に言われているから取るのではなくて、どのデータが必要でどのように使っていくのか?ということをちゃんと考えることが必要なのです。

例えば、プロモーションを行政から予算を預かり実施している場合であれば、必要なデータは変わってきます。個人的な話ですが、一人一人のデータを収集する必要があると思えるのです。ざっと例をあげてもこのくらいは欲しいところです。実施しているプロモーションが届いているのか、効果があるのかを検証する前提と考えていただければと思います。1.都道府県(市町村があると尚良い)2.年齢 3.男女 4.閲覧媒体 5.予約方法(OTAなのか旅行会社)6.交通手段

となると、一番重要なのは4の媒体なのかもしれません。現状とすると様々な媒体に予算を投入していてもなかなか検証が取れないのが実態なのです。アンケート項目に雑誌、WEB、SNS、ラジオ等と書かれているケースが多いと思いますが、具体的な媒体名がなくては検証が取りにくいのではないでしょうか?例えば、SNSで言えば、DMOが実施したものの他に事業者様が行なっているものもあり、何が来訪のキーになったかを検証するのは非常に難しいと感じます。

"使えるデータ"を収集することは非常に難しい問題です。一定数を指標として見る程度であれば、行政に相談するのが第一だと思います。もしくは、観光予報プラットフォームRESASといったツールを参考にして見るのも一つの手かもしれません。

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【参照:観光予報プラットフォーム】

■ データに基づいたターゲット設定

Ⅱ.収集したデータに基づいたターゲット設定を行っていること。

データもないのに、ターゲット設定せよというのがなかなか無理があるようにも思えます。設定自体も収集したデータというよりも、こういう人たちに来てもらいたいという"希望"を設定しているケースも見受けられます。好例で雪国観光圏のペルソナ設計がありますが、データから基づいたとなれば、こういった例は生まれないのではないかと思うのです。

つまりは収集したデータからはターゲット設定すること自体が難しく、次に出てくるコンセプトを定め、ペルソナ設計を行い、こういった人たちに来て欲しいというプロモーションを展開するのが良いのではないかと思います。結果、届いているか、届いていないのかのPDCAサイクルが実施できるのです。

■ コンセプト設定

Ⅲ.設定するコンセプトが地域の強みや魅力を端的かつ分かりやすく表現していること。

簡単に書いてありますが、そのDMOが網羅するエリアのコンセプトを設定するというのは、合意形成をはじめ、エリア全体への浸透が必要になって来ます。

日本全体を見回して尖ったコンテンツを持つエリアであればコンセプトが決まりやすいものですが、そうではないエリアがほとんどではないかと思います。地域には様々な人たちがいて、その人たちにとって愛着のあるものは違うわけです。そういった人たち多数が納得するものであれば、今までと何ら変わりはないのです。

地域がDMOに取り組むということは、今までと違った切り口で何とか地域を活性化させたいという使命があるのです。となると、その違ったコンセプトを決めること、また地域の事業者様をはじめ関係する人たちに事業に活用してもらうようにする必要もあります。こういった動きが生まれなければコンセプトは名ばかりの化石になってしまいます。どう活用してもらうかを考えるのもDMOの役割だと感じます。

■ KPIについて

Ⅳ.上記Ⅰ~Ⅲを踏まえた適切な項目及び目標数値のKPIが設定されていること。(※延べ宿泊者数・旅行消費額、来訪者満足度、リピーター率の 4項目は必須とし、地域の実情に応じた適切な年次、目標数値、伸び率等が設定されていること。)
Ⅴ.KPIの達成状況について毎年評価・分析した上で関係者と共有していること。
Ⅵ.Ⅴの評価・分析に基づき、必要に応じて計画の見直しを行っていること。

データ収集の項目については、観光庁に提出するためのものであり、エリア比較のために必要なのかもしれませんが、そのDMOが何がしたいのか?すべきなのか?によってKPIの項目自体をしっかりと作る必要があると思います。

ここを見誤ると一体何を行なっている組織なのかが分からなくなります。宿泊者数・旅行消費額、来訪者満足度、リピーター率は事業者様の努力があってこそなのです。その中でDMOが出来ることは何なのかを考える必要があります。海外の事例としてスイス政府観光局のKPIは現実的だと思いますので参考に掲載いたします。

1)e-マーケティング:ウェブサイトのアクセス数 2)プロモーション:プロモーション&マーケティングのコンタクト数、政府観光局パンフレット配布数、高質なレスポンス数 3)重要顧客管理(Key Account Management):重要顧客管理によって創出された宿泊数・観光収入 4)重要メディア対応(Key Media Management):メディアのコンタクト数、掲載記事数、メディア関係者のスイス旅行参加者数、TV番組チーム数

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日本版DMOの開始発表と共に観光協会へ転職。民間企業から初めて団体職員に。そこには見たことも経験したこともない世界が広がっていた。DMOって何?からはじまり様々な経験を経て、いまだにもがき続ける。答えのない世界で見てきたこと経験したことから綴っていきます。

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