DMOの資金調達について ~第2回日米ホスピタリティマネジメントウェビナーから伝えたいこと~

令和2年10月20日(火) 午前10時~11時30分、コロナ化ということもあり、オンラインで、開かれたこのイベント。昨年は東京都にて開催されたイベントに参加していたので、時代の大きな変化を感じました。 

在日米国大使館・総領事館商務部と観光庁の共催で、日本の観光・ホスピタリティ業界の回復・発展に役立つアメリカの人材育成プログラムや課題などに向き合い、貴重な話を聞ける場となっています。

登壇者を紹介します。

原忠之氏 モデレーターのセントラルフロリダ大学 ローゼン・ホスピタリティ経営学部 准教授                          ジョン・ランベス氏 CIVITAS社 社長・CEO 、             松本麻記子氏 トリップアドバイザ― シニア セールスマネージャー 、  ダグ・ワトソン氏 デザート大学 ホスピタリティ・MaaS企業担当マネージングディレクター                           ジョエル・キナモン氏 デザート大学 学長                 パム・ハンター氏 デザート大学 機構推進担当エグゼクティブディレクター 
スコット・ホワイト氏  パームスプリングス広域観光局 社長・CEO   
アフタブ・ダダ氏  パームスプリングスホスピタリティ協会 会長  
ジョン・シェイ氏 パームスプリングスホスピタリティ協会 理事 ルル・カリフォルニア COO

私は、セントラルフロリダ大学ホスピタリティ経営学部を卒業し、原忠之氏のお話を身近に聞いていました。そのころから、オーランドのDMOの話や、日本の課題について、話していたころが懐かしいです。

今回はこの中の資金調達 (TID制度)について、私も必要性をかなり感じているので紹介します。まだ日本では認知度の低い制度であるが、今後増やしていこうと考えています。

まずはセミナー開始。原忠之氏の絶対前提 ”目的” のお話。企業は当期利益の最大化、自治体、政府は住民の生活の質の維持もしくは向上を活動目的とします。企業の目的と政府の目的を明確にしてその後の話を聞くだけで、自分の立場に置き換えて考えることが出来ます。DMOの目的については?それについては別の記事を書かせていただきたいと思います。そのあとにDMOの資金調達について話をしていました。フロリダ州オレンジ郡DMOの財政状況なども紹介してくれていました。

これは私の所感ですが、日本のDMOを含め、海外の成功しきっていない、くすぶっているDMOは資金調達がうまくいっていないのです。アクションプランを考えるのは得意だと思うのですが、それを実行するための資金と、責任を負うリーダーの欠如も現状問題視されています。DMOは自治体や政府の下に入って活動していて、活動資金も予算を取ってこないといけないので、活動目的やKPIが予算獲得に向いています。活動目的にまずブレが生じています。

そのあと、資金調達の達人、ジョン・ランべス氏にバトンタッチ。177の慣行改善地区を含む300以上の地区整備の関わり、16の州で観光産業の資金調達法案の草稿を担当しています。ホスピタリティ業界において、合計1870億円以上の資金調達に貢献。資金調達には様々な方法がありますが、今回はTID(Tourism Improvement District)について多く語られていました。米国で先進的に取り入れられている制度で、日本も参考にするべき点が多くああります。システムについては観光庁の発表しているものを見てください。

米国におけるTID制度とカリフォルニア州における導入事例調査http://www.nihon-kankou.or.jp/home/userfiles/files/autoupload/H30TIDreport(HP).pdf

要約すると、資金調達をして、その資金は原則DMOの運営、経営資金とするということです。TID負担金は観光客が支払い、観光事業者は代理徴収をし、地方政府へ納付する。地方政府はTID運営主体であるDMOへ原則全額支払う、という仕組みです。DMOはそれを基に、デスティネーションマーケティングに使用し、観光客誘致を行うということです。自治体と企業の目的を今一度考えると、しっかり役割分担できていることが分かります。DMOの役割については別の投稿を後日作成します。

先ほども話しましたが、今の日本のDMO活動資金は、国からの補助金で成り立っています。それは、すべての住民が支払っている通常の税金から、予算を組んでもらい、配分しているものです。税金はその地域の人達の生活の質の維持、向上をするための資金であるはずが、観光振興に使われています。たしかに、観光客が増えると地域は活性化しますが、地域住民の負担は大きくなることは事実です。私はこの負担がオーバーツーリズムの原因の一つであると考えています。

このTIDシステムを導入すると、旅行者がしっかり旅行を愉しむためにその地域へ貢献(投資)するという流れも作れます。観光発展のための資金がregenerate (再生)されるのです。

このシステムを入れない道理はないと思います。私はこれを現在の活動地沖縄からスタートし、全国へ普及することを目指します。そして成功してきている海外DMOのスタイルや活動を日本で定着し、貢献していきます。あとは実行に移すだけです。今後私の頭の中を記事にしていきたいと思います。





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