おたけ
わたしがアイドルという職業の人で初めて好きになったのはKinKi Kidsの堂本剛さん。2人目は元乃木坂46の伊藤万理華さんだった。
わたしはスタンスとして「推し」をたくさん作ることをあまり良しとしないので、小学生の頃から堂本剛さん、2016年頃から伊藤万理華さんを推していて、この2人以外を「推し」と認めることはないんだろうなぁと思って過ごしてきた。
堂本剛さんと伊藤万理華さんにはなんとなく共通点がある。（※似ているから好きという訳ではない）2人とも独特のセンスを持っていて服の趣味がいい。
世の中には色んなタイプのおしゃれさんがいるが大きく分けると、流行を上手に取り入れるタイプと、流行に迎合しないタイプがいるように思う。
わたしの好きなアイドル2人は完全に後者だ。
オリジナリティ溢れる2人の私服を見るとわくわくする。柄と柄を合わせたり、強い色同士を合わせたり、変わったシルエットの服を着たり。自由度が高い。
「何着たってええんです」という感じが見ていて気持ちいい。ファッション界の土井善晴先生だ。
アイドルに限らず、わたしは好きな服を好きなように着ている人が好きだ。
堂本剛さんのInstagramに
#ファッションも心も着たい色を着ればいい
と書いてあって、まさにそれです、と膝を打った。
写真集も堂本剛さんと伊藤万理華さんのものだけ所持している。彼らはとてもフォトジェニックだ。一枚の写真を見ただけで物語性を感じることができる。
ダンスも映える。彼らが踊っているとわたしはそれしか見えなくなる。表情の作り方も、指先の動きひとつひとつも特別だ。
そんな中、2024年にわたしは突然3人目の「推し」を作る運びとなった。その名は高本彩花さん。
"日向坂46のオシャレ番長"と呼ばれる彼女のことをわたしは「シンプルに顔がいい」という理由で好いていた。生まれ変わったら高本彩花さんの顔になりたい！と今でも割と本気で思っている。文字通り顔ファンだった。
オードリーがMCを務める「日向坂で会いましょう」という日向坂46の冠番組の前身番組が2018年のスタートした時に高本彩花さんの存在を知り、かれこれ6年好いている。
でもそれは「推し」とは違うものだと思っていた。なぜなら彼女は「JJ」と「andGIRL」の専属モデルで、堂本剛さんや伊藤万理華さんとは違い、流行を上手に取り入れるタイプのおしゃれさんだからだ。何を着ても似合うし、ｻｲｺｰであることは間違いないが、わたしの好きなタイプのおしゃれさんではない。分かりやすく例えるとわたしは「装苑」的な世界観が好みなのだ。
だから、彼女を堂本剛さん伊藤万理華さんと並べて考えたことはなかった。
◇
そんな高本彩花さんが突然グループからの卒業を発表した。
予兆はあった、といえばあったが、このタイミングとは全く予想していなかった。
女性アイドルはいつかは卒業するものだし、アイドルというのは本当に大変な職業だと思うので大抵の場合は「ああ、卒業か、今までありがとねぇ…これからの人生にたくさんの幸せが溢れますように」みたいなことを考える。
しかし、高本彩花さんが卒業発表をした時わたしはとんでもなく動揺してしまった。
おかしな話だ。ただの顔ファンであれば動揺する必要など全くないのだ。グループから卒業しても高本彩花さんの美しい顔が変わるわけではない。
脳内で「日向坂で会いましょう」での名場面珍場面が走馬灯のように駆け巡り、ひな壇で口をめいっぱい開けて大笑いする高本彩花さんの顔が瞼の裏に貼り付いて剥がれない。
ようやく走馬灯が落ち着いた時、わたしは気づいた。
「わたしったら、すっかり高本彩花さんの中身ごと大好きになっているじゃないか」
おバカキャラで肩をぶん回していた面白いおたけ、空が上にあってビックリしたおたけ、ブログでの言葉選びの一つ一つ、若林さんに宛てた感謝の手紙、Jリーグを目指していたお父様とのエピソード、全てが宝物のように大切になっていた。
『顔かわいい』→『好き』→『推し』というベタなルートをわたしはどうやら人生で初めて体験したらしい。自分には起こらないことだと勝手に思っていた。
だって、アイドルってみんな顔かわいいもの。顔がかわいいという理由だけで推しを作っていたら世界は推しだらけになってしまう。
「推しは推せる時に推せ」という言葉がある。わたしは自分が「高本彩花推し」であることに気づくのがあまりにも遅かった。でも、わたしは一旦「推し」にカテゴライズしたら永遠にその人のことを推したい人間なので、高本彩花さんが今後どんな人生を歩もうともおそらくずっと応援し続けることになるだろう。
まずは彼女が日向坂46に存在する最後の日まで、しっかり見届けたい。
堂本剛、伊藤万理華、高本彩花
良き3人じゃないか。そうは思いませんか？
