真夜中の太陽と、空とソロ

小さな接地面しかないぼくの小さな社会から頂戴しグサグサに突き刺さった言葉や態度の棘のひとつひとつを粟立って肌荒れした心臓からブスブスと抜き取って丁寧に点検してみると、その全てが考えていたほど脅威めいたものではなくて、ぼくは真夜中の太陽の下で黒いため息を吐く。身体の弱いぼくの恋人とその恋人は、いつも力強く手を繋ぐのに、涙をたくさん溢す。ぼくはそれを凍えた声で励ましている。いちばん遠くから。傍観者のリスクと、マネジメント。大事な時に姿を見せないのが最大のポイント。近所の家からエレピの音色が聴こえる。舞い踊るソロ。真夜中の空とソロ。感情はひとつじゃない。裏表のふたつでもない。時間だけが六等分のケーキみたいに平等だ。や、残時間から逆算すると全く平等ではないかも。それなら逃げ切れるかな。たまには「間違えてない」ってアナタに言って欲しい。でも、たまにでいいし、言われたところで本当は何も感じない。真夜中の動物園では、みんな穏やかに眠ってほしい。真夜中の東京では、バターのようにまろやかに解け合ってほしい。真夜中の太陽と、空とソロ。粟立つぼくの心臓と、汚れた綿菓子みたいな夜の雲。


#詩

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