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羽生くん GIFT円盤を観て


GIFTの円盤を視聴させていただきました。
私は特典なしの通常版を予約していたのですが、アイスリンクの水入りキーリングやパーカーがついてきた方の喜びのコメントをSNSで見ていて、改めて羽生くんてこういうグッズのセンスも良いよねと思いましたね。

ディズニープラスでも見返したことのある本作ですが、円盤で改めてじっくり鑑賞させていただいた上での感想をつらつらと書き出していきたいなと思います。


・火の鳥の演奏が流れるとともにこれまでの羽生くんのスケート人生の振り返り

ど真ん中から火の鳥の衣装を身にまとって登場。
自ら明るく燃え上がりながら道を切り拓いていく太陽=火の鳥のイメージから目には見にくいところで沢山の傷を抱えながらも煌々と輝いている月=静かな旋律のホプレガへの移行という演出が自然で素敵でしたね。

・真っ暗な無の世界

この心象風景に関しては一ファンとしては、あのときのことだろうな…とは思うけど、まぁ本人にしか分からないことでしょうし自分はここに関しては触れません。
というか、羽生くんに限らず自分が大事にしていたものがある日突然喪くなってしまった、そんな経験は誰にだって何かしらあると思うのでこの辺りに関しては一人一人が自分自身の胸に手を当てて考えたら良いことだよなぁと思いました。
そんな中で演じる千と千尋の神隠しのメインテーマである「あの夏へ」は、この作品が一言で言うと「喪くしたものを取り戻す物語」であることを考えるとなかなか考えさせられるなと思いましたね。

・バラード1番
真っ暗な世界の中で少しだけ光が見えてきたかなといったところでのバラ1。
真央ちゃんのバラ1も私は好きなのですが、真央ちゃんバージョンは1人ひっそり練習をするバレリーナ、羽生くんバージョンはピアニストの発表会の本番演奏みたいなそれぞれ違ったイメージがあります。

・幼少時代の自分を今の羽生くん目線での振り返り
憧れのスケーター、ジョニーウィアーさんリスペクトの「オトナル」の曲が流れる中で。
必死に頑張ってきたことも悔し涙を流したことも、いろんなことがあったけどそんなことも含めて今の自分があるんだよ、とここの羽生くんの語りは本当に優しい声でしたね。

・あの忘れられない北京五輪ショートのプログラム(ちゃんと6分間練習から始まります)
今でも思うけど本当にあれは「ジャンプミス」ではなく「不運なアクシデント」としか言いようがなくて。
もともとコンディションを落としてしまっていてジャンプの精彩を欠いてしまった、ではなくああいった想定外のアクシデントは悔しいだけでなくきっと相当なトラウマになったことだろうと思います…。
コンビネーションの着氷がちょっとギリギリになってはしまったけど、それでもトラウマを払拭できる良い演技だったのではないでしょうか。

・レツクレ→レミエン
ここから一気に空気が変わります。
レツクレはシーズン当初からジャンプがなかなか最初安定しなかったり曲自体にも馴染むのに苦戦していたけど、プログラム自体は本当にワクワクするもので好きだったんですよね。
レミエンは言わずもがなテンションアゲアゲの楽しいプログラムでした。

・阿修羅ちゃん に至るまでの演出
初見時も(なんかゲームっぽいな…)と思ったけどRE_PRAY見た後だとまんま羽生くんの趣味全開ですね笑
あと黒の画面に白枠の画面に砂嵐っていうのがアンダーテールのNルートのフラウィー戦っぽい。
というか、レミエン→阿修羅ちゃんって途中勿論休憩は挟んではいますけど物凄い運動量ですよね…。

・「疲れた」←さっきまであんなノリッノリで滑って踊ってたのに!??笑笑
と初見時も思わず突っ込んでしまった。
しかしながらここの自問自答は今までの孤独や喪失感とはまた違った、そしておそらく現役の間にメディアの前では語られることはなかったであろう切実な苦しみが伝わってきますね…。

・オペラ座の怪人
初見時、ここであの「手」をこう使うのかー!と痺れた覚えが。笑
何度か呟いたことあるかもですが、このプログラム、正直現役時代に滑ってたときはまだこの年齢の羽生くんには早いかなーと思ってまして汗
20代後半ぐらいの羽生くんにもう一回演じてみてほしいなーと昔から思っていたのでこの年齢の羽生くんで再演してくれたのは本当に嬉しかったですね。
流石に体力的にキツそうではあったけど渾身のイナバウアー〜スピンでの締めは音楽の盛り上がりと合わさって本当に凄い気迫でした。

・再びの自問自答
色、というキーワードが印象的な語り。
いろんな疲労や葛藤、傷つき悩み苦しみ果ててきた自分自身を暖かく包み込むと同時にいつまでも自分は一緒にはいられないんだよ…と「自分自身」の背中を押してあげるナレーションが本当に優しかったですね。
いつまでも一緒にはいられなくても、言葉をかけてあげることはできなくなっていったとしても、きっとどこかでもう一人の自分は自分のことを見守ってくれているのではないでしょうか。

・いつか終わる夢
このプログラムももう何度も見ていますが何度見ても新たな発見がありますね。
応援や夢、希望といったポジティブなイメージの言葉がある一方で暗い、怖い、孤独もいったネガティブなワードもあり、後述しますが羽生くんというスケーターの持つ二面性を色々と感じさせられましたね。

・notte stellata

一筋の光が見えてきた、ところでのこのプログラム。
初見時、このプログラムが出てきたということはいよいよ終盤なんだろうなー…と思った覚えがあります。それぐらいこのプログラムは羽生くんの中でも特別な作品だと思うから。
衣装と曲も相まってハイドロブレーディングのところではまるで白い翼を広げているかのように見えますね…。

・春よ、来い
美しさと暖かさと、春という季節に向けて生命が輝きを増していく力強さを感じられる、
羽生くんのプログラムの中でも静謐さと暖かさが両立しているプログラム。
私的にはノリノリでカッコいいプログラムをキレッキレに滑りこなす羽生くんも好きなのですが、個人的にはやはり彼の真骨頂はこのプログラムやあの夏へ、のように「人ならざるもの」を表現するプログラムだなぁと思っています。

・SEIMEI
特典映像のドキュメントを見る限りでは本当に体力ぎりぎりという状況で最後の力を振り絞っての演技だったんですね…。
でも体力はぎりぎりでも気力的には最高潮、という感じでした。
羽生くんにとってのSEIMEIって、真央ちゃんにとってのラフ真央(正式名称はラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」なんですがファンの間ではラフ真央で定着してしまっている笑)みたいな位置づけなんでしょうかね。


特典映像として、GIFTができるまでのドキュメント映像、プログラムのマルチアングル映像が収録されていました。

特典映像では、ウィルソンさんとリモートでの振付の様子を見てリモートでの振付作業ってこんなふうにやるんだ…と思ったり。
プログラムは「あの夏へ」ですが、羽生くんにとっては災害の犠牲者への鎮魂の心を込めたプログラムなんですね。感情が昂って涙ぐんでしまうところもあって、見ているこちらも胸が熱くなってしまいました…。
マルチアングルでの映像も本当に新たな発見があってお腹いっぱいになりましたね。

GIFTを改めてじっくり鑑賞させていただいた上での感想ですが。
羽生くんという人は誰もが眩しいと思うほど沢山のものを手にして光り輝いていて、溢れんばかりの情熱を持って全力で取り組む根っからのアスリートな一面がある一方で、本当に一面真っ暗な世界でたった一人しかいない自分とどこまでも向き合っている、そんな静謐さと孤独を抱えているという、光の部分と影の部分という物凄く対照的な二面性を抱えている人だと思うんですよね。
(そして本人も自身のそうした面を認識しているからこそ、こんな風に「アイスストーリー」として昇華することができたのだろうなと)
このGIFTではそんな羽生くん自身の内面性というものにほんの少しだけ触れられたような、そんな感じがしますね。

羽生くんの好きなものがただただ沢山詰め込まれたRE_PRAYも勿論素晴らしかったけど、東京ドームでたった一日だけの公演だったこのGIFTはやっぱり羽生くんにとってもファンの人たちにとってもとりわけ特別な記憶に残るアイスストーリーだったのではないでしょうか。
私は残念ながら直接観に行くことはできなかったので、東京ドームに観に行けた方は本当に羨ましいです(苦笑)

GIFT、RE_PRAYと規模の大きな作品を立て続けに観ることができて、一ファンとしては次はどんなものを見せてくれるのかな?とついつい期待してしまいますが、まぁ創作活動というのはそんなホイホイとアイデアが浮かんだりするものではないので(苦笑)、とりあえずはこの二作品をしばらく噛み締めていたいたいなぁと思いますね。

(まだ気は早いですが、RE_PRAYの円盤も勿論楽しみにしています)

以上、GIFT円盤の感想でした。


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