内閣支持率急落で国会は&特措法・感染症法 罰則は必要か(2021年1月23日放送)

*以下の原稿は、生放送中に聞き取った内容を一部整理しつつ書き起こしたものです。文責はデモクラTVにあります。

【今週の出演者】(敬称略)
司会:
川崎隆章(放送研究家)

コメンテーター:
水野誠一(株式会社IMA代表取締役、元西武百貨店社長、元参議院議員)
孫崎享(評論家・元外務省国際情報局局長)
明珍美紀(ジャーナリスト)孫崎享(評論家・元外務省国際情報局局長)

(2)第204通常国会が召集され、菅義偉首相は衆参両院の本会議で施政方針演説を行いました。新型コロナウイルスの感染拡大に関し、昨秋の臨時国会の所信表明演説で触れた「新型コロナ対策と経済の両立」の表現が消えて「当面は感染症対策に全力を尽くす」としましたが「Go To キャンペーン」などの「方針転換」の説明はありませんでした。「医療崩壊」の懸念も強まる中での施政方針演説でしたが、いつまでの宣言解除を目指し、収束への道筋をどう描いているのかという展望を、口にすることはありませんでした。一方で「経済の成長」や「観光立国」など、収束を前提にした政策に力点を置いた印象が強く、国民の疑問に答えたとは言い難い内容です。各社調査で内閣支持率が急落する中、国会はどのような展開を見せるのでしょうか。(東京新聞19日朝刊2面ほか)

(3)自民、公明両党は18日、新型コロナウイルス感染症対策の関連会合をそれぞれ開き、政府が通常国会に提出する新型コロナ特別措置法や感染症法の改正案を了承しました。国や地方自治体は事業者に対する支援を「講ずるものとする」と明記し、先に概要で示した努力規定から義務規定に修正し、緊急事態宣言の前段階の対策は「予防的措置」から「まん延防止等重点措置」へ名称を変更します。また営業時間の短縮や休業の命令を拒否した事業者、入院を拒否した患者らへの罰則を導入する内容となっていますが、野党や専門家などから疑問の声も上がっています。一方、ワクチンは2月15日に特例承認される見込みで、2月のうちにも医療従事者への接種が始まる可能性があります。(東京新聞13日朝刊特報面ほか)

水野
力が抜けちゃうような演説でした。これほど重要な問題…アメリカの大統領が変わるとか、コロナ、オリンピックをどうするのか…やりたいという意志だけでは問題は解決しない。それから経済も。すべてなんとなく羅列はされているんだけど、内容のない、力のない所信表明だった。これで大丈夫なのという不安感から、それをやったことによって支持率が急落するという逆効果になってしまったということだと思います。

孫崎
政治家が重要なのは羅列じゃないんですね、いまの日本が何を最重要とするか、順番をつけることが大事。私は指導者としてこれが一番重要なんだ、したがってこれに対してこう臨むと。それがまったくないのが菅首相の問題だと思う。今世界の最重要時はコロナ、今よりも薄い時点の緊急事態宣言が今よりも濃いというのは何なのか。説明できない。感染度が低いのにより厳しいことをやっていたのに。国民の命、健康を最重要なものとして認識しているのか、それとも観光産業のために頑張るのか。国民はみんな観光産業のためにやってると思いますよ。平時ならあるかもしれないけど、いまコロナにどう対応するか、それは人間の命・健康を第一に考えてやるしかない。コロナが収束しなければ経済の復興はないんです。経済は重視するけれど、そのためにコロナが収束してもらわないと困ると経済界にも言ってほしい。

明珍
今回は飲食店がターゲットにされました。別に20時以降の飲食が感染を増やしている証拠はないのに。何かをターゲットにしてそこに目を向けさせるやり方。一番なのは検査を徹底する。なぜそれができないのか。財政面といっても配分の問題、いくらでもできるはず。まずやってもらいたいと思う。


<感染症法、特措法、ワクチン>

明珍
罰則規定。ますます委縮して万が一感染しても報告しないことにつながる恐れがある。罰則というより呼びかけをするほうがいい。おかみに背いたら罰する、という形ではなくやっていかなければ。また医療従事者への手厚い助成も必要だし、感染者の保護、療養を重点施策に置いた改正をすべきだった。

水野
罰則を設ける以前に、現在の病院なり病床の体制がどうなっているかが重要。指定医療機関や感染症病床が激減してる。97年に9700が2019年には1800.8割減以上。集中治療室もデータを見ると、ヨーロッパではドイツの死亡率1.1.イタリア11.7.これは集中治療室の違いといわれる。イタリアはドイツの3分の1.日本はイタリアの半分。この体制で発症してるけど入院できない人が増えている。この状態の中で病院に行かないと罰則というのは何を考えているのか不明。日本の最大の問題はコロナがはやって初めて露呈したことだが、安倍時代にも医療費削減をずいぶんやってきている。これが病床削減、医療体制の脆弱化につながっている。責任をはっきりしないでいうこと聞かなきゃ罰則というのは矛盾しているような気がするんですけどね。

川崎
東南アジアとか台湾の規制を守らなきゃ罰金というニュースのいいところだけかっぱらってきたようにしか見えない。

孫崎
日本は警察国家になっていってる。一般の国民を動かすのが罰則、警察、おいこらですよ。官房副長官が警察出身。動かすには今日権力ということですよね。でもコロナの問題は症状の出てない人が動き回って感染する。この人たちが自制することが大事だというメッセージを政府が出さなきゃいけない。前の緊急事態と比較すると、発令のあとラグビーの選手権とか。そうじゃない。これだけ厳しいんだから、チケット売ったけど政府の責任で払い戻す、それくらい真剣な問題だと大学生に発信しなきゃ。それをしないで罰則で乗り切ろうとする、これが菅、安倍政権のもつ人を動かすのに論理性をもつのではなく、金、あるいは罰で動かす発想。政権の怖さを感じる。

川崎
首相から閣僚も言葉足らず。

明珍
バイデン政権の科学顧問の話をしたが、日本にはきちんとしたそういう顧問がいない。感染症対策に対してきちんとリードして的確な指示をするための補佐、アドバイザーをきちんともっていないことも大きな原因だと思う。

孫崎
日本はアドバイザーというのはそれぞれの分野の最高の人がなるわけじゃない。自分たちの政権を擁護するような人を使う。最高の人たちがいるわけだから、政府が活用できないなら政府以外のところが活用して日本社会に発信できるシステムができないかな。マスコミには可能性があるが、マスコミも政権側にいってるからそういった人たちの意見が届かないという状況だと思う。

水野
日本医師会の会長が出てきて発言しているが、ほとんどクリニックの人たち。今回のコロナ受け入れとは無縁な人たちが多い。使いやすいメッセンジャーとして発言してもらってることは否めないんじゃないか。もう一つ、ワクチンができればすべて解決みたいな免罪符みたいにいっているが、今回のワクチンは感染防止ではない。感染はする。IgA抗体は粘膜に抗体を作るがIgGは血中にできる。今回はIgG、血液に入って重症化を防ぐもの。感染はする。そうすると感染した人たちが打っていない高齢者に感染させる可能性がある。医療従事者と高齢社に受けさせるというのはそういう意味。世の中に誤解してる人たちがすごく多い。それと問題点は治験を十分にやらない、動物治験をやらない中でいきなり人間に投与。しかも今回は今までのようにウイルスを弱毒化して入れるのではなく遺伝子組み換え。モデルなとかファイザーとか。メッセンジャーRNAを入れて、体内にウイルスのスパイクと同じようなものを作らせて免疫が反応する仕掛け。遺伝子組み換えを使っているということは、その後体内に残ったものがどんな副反応をするかわからない。数年後にがんの発症につながるかもしれない。アメリカでは医療従事者の25%が打たないということで問題になっているが日本でも打たないという専門家がいる。このあたり明確にしてやらないと、わずか130例の治験で何も起きなかった、大丈夫ですというのはものすごい欺瞞です。政府はもっとちゃんとしたアナウンスメントをして、受ける人たちに判断してもらってやらないと、一斉にワクチンすれば解決するという誤解は避けないといけない。

川崎
地上波は伝えない話。

明珍
ワクチンの承認見通しは出ても収束できるか確証はない、ということをきちんと報道していく必要がある。外国のメディアでは伝えているところもある。

孫崎
ウイルスが変異しているのと、ワクチンの効用の関係は?

水野
無責任なことはいえないが、英国で変異種ができたということは、英国は早くからワクチンを使っている。抗生物質を使いすぎると効かなくなるのと同じような反応がワクチンにも起きているのかもしれない。ワクチンに負けないようにウイルス自体が変容していくことは十分に考えられる。ワクチン万能という思い込みだけは避けないと、かえって感染者が増えることはありうる。もう一つ、ワクチンを打って陽性化する人と実際の陽性の人をどう区別するかという問題もある。

川崎
不安だらけ。打ちましょうと言われたときにどうすればいいのか。


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