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「環境」
環境について考えろと唐突に言われても、それほどまでに私から遠いテーマもないのですが、たまたま季節柄ちょうどいいものを思い出したので紹介します。
私が小学校の2年か3年くらいのころから、実家では夏至の夜には電気を使わず、蝋燭の灯りだけで過ごしています。テレビで見ていた野球のナイター中継も、その日はラジオで聴いていました。普段とは違う過ごし方にワクワクしましたが、同時に不思議にも思っていました。クラスの友達に聞いてまわっても同じようにしているご家庭はなく、そもそも実家でもある年から唐突に始まったものだからです。
大学進学で実家を出て10年近くたち、ふとこの不思議な習慣を思い出して調べてみました。「環境」への感度が高い方なら既に心当たりがあるかもしれません。これは2001年、アメリカのエネルギー政策に反対してカナダで始まった、キャンドルナイトという運動でした。日本では2003年の夏至から各地で様々なイベントが催されています。
さて、今年も夏至が気付けば過ぎていきました。業務があるので、子供の頃と同じように蝋燭とラジオで過ごすことはできませんでした。港区増上寺で催されていたイベントにも顔を出しましたが、なんとなく居心地が悪くてすぐに帰ってしまいました。
子供の頃の不思議な習慣の意味を知ったとき、米澤穂信「氷菓」で描かれていた日常の謎解きというテーマに少し近付けたと思います。そしてこれがとても貴重でかけがえのないものだと気付きました。新たなものや考え方を知り、世界の見方が変わることで初めて起こることだからです。エネルギーに対する意識や環境に対する配慮はもちろん大切ですが、それよりもきっと私たちが人間らしく生きていくためには、こういった類の出会いこそ大切なのかもしれません。私には、なんとなくそう思えてならないのです。
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