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地域の安心を作るのは、地域住民です。

〔地域主導の避難訓練〕

去る2023年10月22日(日)午後、釧路市橋北地区のひばり旭町町内会・旭町内会合同の津波避難訓練が開催され、多くの住民が参加しました。

河口からも近い釧路川沿いにある「ひばり旭町町内会」は区域内に避難に適した高層建築が無く、津波避難の際に国道44号と旭橋という幹線道路が直交する立地で横断が困難となることが予想され、数年前から地域住民と地区の防災推進協議会が行政への要望と合わせ独自に避難場所の確保に動いてきました。私もアドバイザーとして助言を行ってきています。

昨年(2022年)、旭橋たもとにある高層マンションの自治会の協力を取り付けることができ、旭橋の下にあるトンネルをくぐって避難を行う訓練を初めて開催、今年も同じ10月に隣接する旭町内会と合同で訓練を開催する事が出来ました。

最後に到着した人でも所要時間は7分30秒。

千島海溝で巨大地震が発生した際の津波到達までの目安は約25分ですので、地震発生から10分以内に家を出られれば津波到達前に橋のトンネルをくぐって避難場所に到達できることになります。

最低避難階となる4階に集合後の講評で、『とにかく揺れが収まると同時に避難行動を開始』『持ち出し品は自分に合わせて、必需品もひとまとめにし、すぐに持ち出せるように』というポイントをお伝えしました。そして繰り返し訓練すること、年々体力が衰えていく人体の変化の為にも1年に1回は体感しておく必要があることをお知らせしたところです。

多くの場合は「なんで行政は動いてくれないの?」と行政のせいにしがちな事柄も、熱心な町内会長さんがいらっしゃることで地域の中で課題解決に至ったことは胸を張ってよいと思います(地域の防災推進協議会・消防団の支援も大きい)。そして、これは特殊な事ではなく「やる気になれば、どこでもできる事」だと思っています。

『避難場所が足りない』

そういう声はどこへ行っても聞きます。しかし、残念ながら公共施設だけでは到底足りるとは考えられず、住民や地場企業などを巻き込んだ地域での取り組みの重要性は高いと考えます。とにかく短時間で、丈夫な高い場所へ避難する事は津波からの避難の鉄則です。身近にそういった建物があれば、緊急避難先としてぜひ検討したいところです。

※行政が避難場所を指定する際は、その建物の健全性や避難者数に応じた加重に耐えられるか、転落防止対策や高層階へのアクセスなど様々な検証をしなければならない事はあまり知られていません。

ただ席に座って話を聴いて満足したり、ただ高い確率や大きな数字を並べ危機感を煽りすぎるのが現在の防災教育の欠点です。一つ一つ課題をクリアし、一人も取り残さない災害対策を地域で考えるきめの細かな対応で行政をサポートしていくのが私の仕事だと思っていますので、現場主義14年のノウハウを活かしこれからも引き続き取り組んでいきたいと思います。

釧路市内に限らず、ご相談はいつでもお待ちしています。個別にヒアリングし地域の課題解決に向けたお手伝いを致します。

2023年10月30日付け釧路新聞より。


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