自動販売機紀行
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自動販売機紀行

藤井大地

島根県に住む友人とYouTubeを観ていた。

ある人気のユーチューバーが、日本各地の面白い場所を紹介していく番組だった。

そこで、茨城県にある焼肉弁当の自動販売機が紹介されていた。

普通、自動販売機は飲料を販売するものが多い。大きな駅や高速道路のサービスエリアには軽食の自動販売機もある。軽食は焼きおにぎりやポテト、たこ焼き等で、冷凍食品を内蔵された電子レンジで温めて提供しているようだ。

ところが、焼肉弁当の自動販売機は冷凍食品ではない。近所に住む経営者の手作りである。自動販売機も電子レンジ付きのようなものではなく、簡単な装置である。おそらく日本でここにしか無いのだろう。

筆者は、こういうモノが大好きである。

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面白いモノを見つけたら、すぐ体験するのが筆者のポリシーである。百聞は一見に如かず。

その焼肉弁当の自動販売機は、茨城県稲敷市にある。霞ヶ浦が近い、田園風景の広がる平野。国道沿いに大きな看板が出ているが、予備知識が無ければ通り過ぎてしまうだろう。「オートコーナー」というネーミングからして、あまり聞き慣れない。つまり自動販売機の集合体である。

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プレハブのような古ぼけた小屋の中に、これまた古ぼけたマシーン。左から2つ目の自動販売機が、全国で2台しかないという弁当の自動販売機。まるで粗大ゴミにも見えるが、立派に稼動している。

販売されているのは、焼肉弁当とヒレカツ弁当。それに鶏唐揚げ弁当が販売されている日もあるようだ。定番は焼肉とヒレカツである。

焼肉は特製のタレに漬けた豚肉、ご飯、漬物。シンプルなお弁当だけど、たまらなく美味しい。シンプルなだけに特製タレの染み込んだお肉が実に贅沢に感じる。筆者は、どんな高級焼肉店の焼肉よりも、このお弁当がいちばん美味しい焼肉だと思っている。

平日だが、次々にお客さんがくる。作業服姿の近所の人らしい男性、軽自動車でやってきたやはり近所の人らしい女性、遠方のナンバープレートをつけたバイクでやってきたツーリング中らしい男性。写真を撮っている人もいる。大盛況である。

お弁当はなくなり次第終了だから、どうしても食べたいなら早めに行く方が良いだろう。午前中なら団体客が来ない限りは確実に買えるはずだ。

もうひとつ紹介したいのが、島根県浜田市の「ドライブイン日本海」。

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店名の通り、日本海を望む国道沿いにある。

ここにはお馴染み、うどん蕎麦の自動販売機がある。

店の裏に調理場があり、たまに店員さんが補充している。

やはり自動販売機マニアの間では有名なお店。このタイプの自動販売機も、数少ないだろう。実は、筆者はまだ食べたことがない(写真を撮ったときは時間がなかった)ので、近いうちに挑戦したいと願っている。

自動販売機には、お祭りの露店に似たワクワク感がある。決してコスパは良くない。お店で食べた方が、それほど変わらない値段でもっと美味しい出来たてを食べられるだろう。そんな合理的常識的な理性など、この個性的な自動販売機を前にしたら吹き飛んでしまう。

自動販売機自体は、合理性の極みなのかもしれない。しかし、この合理性ばかりを求めて古き良きものが切り捨てられていく社会にあって、かえって自動販売機が無骨に愚直に頑張る町工場の職人のような、素っ気ない中に温もりを感じさせる象徴になっているようにも思う。不思議なもんだ。

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藤井大地
立ち止まらなければ見えない場所。寄り道しなければ気が付かない場所。そんな場所を探して巡ります。重刑攻撃に晒されている獄中政治犯・刑事犯支援も行っているところです。