糖尿病外来でよく測定されている検査について説明していきます。

糖尿病外来でよく測定されている検査について説明していきます。

糖尿病外来でよく測定されている検査項目一覧

糖尿病の診断・治療の目標を設定するのに行う検査
血糖値
HbA1c
GA

より正確に糖尿病を診断するために行う検査
75gOGTT

糖尿病の病型や状態を診るために行う検査
抗GAD抗体
インスリン(IRI)
Cペプチド

腎臓の合併症を判断するために行う検査
クレアチニン eGFR
シスタチンC
尿検査
尿中アルブミン

糖尿病で併存が多い脂質異常症・脂肪肝・高尿酸血症を評価するために行う検査
コレステロール
AST/ALT/gGTP
尿酸値


糖尿病の診断・治療の状況を評価するのに行う検査
:血糖値・HbA1c・GA

血糖値

糖尿病の診断・治療の状況を評価するのに行う検査

一般的に血糖値は空腹時には低くなり、食後は高くなります。 そのため空腹時の血糖値が正常の人でも食後の血糖値が高い場合があります。

また自己血糖測定器を用いた血糖値はあくまで参考であり厳密な測定ではないので、診断には使えません。

HbA1c

糖尿病の診断・治療の状況を評価するのに行う検査

血液の成分であるヘモグロビン(Hb)に糖がくっつく程度をみています。 血糖値が高い状態が長く続けば糖がたくさん結合しますが、 血糖値が高くても短時間だと結合が少なくHbA1cに反映されにくいです。

過去1〜2ヶ月間の血糖値の平均を反映します。

GA グリコアルブミン

糖尿病の治療の状況を評価するのに行う検査

血液の成分であるアルブミン(Hb)に糖がくっつく程度をみています。 アルブミンはヘモグロビンよりも糖が結合しやすいため、一過性の高血糖をHbA1cよりも鋭敏に反映します。 しかし院内での機器では測定できないので、 結果が分かるまでに少し時間がかかります。

過去2週間の血糖値の平均を反映します。

より正確に糖尿病を診断するために行う検査
:75gOGTT

75gOGTT

より正確に糖尿病を診断するために行う検査

75gのブドウ糖が溶けた炭酸水を飲んで、血糖値の変動を調べます。 また、ブドウ糖の負荷でどれくらいインスリンが分泌されるかも測定することで、インスリンの分泌能力やインスリンの効きやすさも評価します。

妊娠中など厳密な評価が必要な状況で行うことが多いです。

糖尿病の病型や状態を診るために行う検査
:抗GAD抗体・インスリン・Cペプチド

抗GAD抗体

糖尿病の病型を判断するのに行う検査

1型糖尿病と2型糖尿病の判断には「膵島関連自己抗体」と「インスリンの分泌能」で判断します。 抗GAD抗体は膵島関連自己抗体のなかでよく使用されています。

抗GAD抗体が陽性では1型糖尿病を強く疑いますが、 陰性であっても1型糖尿病の可能性はありえます。


インスリン

糖尿病の病型や状態を診るために行う検査

血中のインスリン濃度を調べることで、インスリン分泌能やインスリンの効きやすさを評価します。

血糖値とセットで判断します。
例えば、インスリン値が正常であっても、血糖値が高かった場合にはインスリンの分泌は不十分と判断したりします。

Cペプチド

糖尿病の病型や状態を診るために行う検査

血中のCペプチドを調べることで、インスリン分泌能やインスリンの効きやすさを評価します。

インスリンの使用者では血中インスリン濃度はインスリン分泌能の参考にならないので、Cペプチドで評価します。

こちらも血糖値とセットで判断します。

腎臓の合併症を判断するために行う検査

クレアチニン eGFR

腎臓の合併症を判断するために行う検査

腎臓の合併症は採血と尿で評価します。
採血で評価する腎臓の検査項目はクレアチニンです。 評価しやすいように、クレアチニンを特殊な計算をしてeGFRで評価することが多いです。

eGFRが60未満になってくると、腎臓が弱ってきたぞと判断することが多いです。

シスタチンC

腎臓の合併症を判断するために行う検査

クレアチニンは筋肉量に影響を受けるので、 標準体型よりも筋肉量が多かったり、少なかったりする場合には、シスタチンCで腎臓機能を再評価することがあります。 シスタチンCをもとにしたeGFRはeGFRcysと表記します。

尿検査

腎臓の合併症は採血と尿で評価します。
尿で評価する腎臓の主な検査項目は尿蛋白です。

通常は尿に蛋白質は含まれないのですが、糖尿病などで腎臓が障害されると蛋白質が混ざります。

健康人でも状況次第で尿蛋白が陽性になったり、糖尿病以外の病気でも尿蛋白質が出現することがあります。


尿中アルブミン

腎臓の合併症を判断するために行う検査です。

尿中アルブミンは尿で評価する腎臓の検査項目です。アルブミンは蛋白より小さいため尿蛋白の検査よりも早く合併症を評価することができます。

健康人でも状況次第で陽性になることがあるので、複数回検査をして判断する必要があります。

糖尿病で併存が多い脂質異常症・脂肪肝・高尿酸血症を評価する検査
:コレステロール、AST/ALT/gGTP、尿酸値

コレステロール

糖尿病で併存が多い脂質異常症を評価するために行う検査

動脈硬化による合併症を防ぐためには、糖尿病の治療だけでは不十分です。
コレステロールを治療することにより、心筋梗塞などの動脈硬化による合併症を減らすことができます。

糖尿病がない方よりも、厳しい目標になっています。

AST/ALT/gGTP

肝臓を評価するために行う検査

糖尿病では肝臓を定期的に評価する必要があります。
特に、脂肪肝やアルコール性肝障害の合併は多く、また薬で肝臓に悪影響を起こしていないかも定期的に評価する必要があります。

異常があった場合には、他の採血項目を追加したり、腹部超音波検査などを行います。

尿酸値

糖尿病で併存が多い高尿酸血症を評価するために行う検査

尿酸値が7mg/dL以上で高尿酸血症です。

高尿酸血症があると関節が痛くなることがあります(痛風発作)。 高尿酸血症に対して薬を使うかどうかは、痛風発作や他の状況で決めています。 薬の使い方は医師の間でも意見が分かれます。

名古屋糖尿病内科クリニック
糖尿病専門医 平井博之

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