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Privacy by Design Conference 2024での補足説明(1)

Privacy by Design Conference 2024 での概要レポートを公表いただきました。

登壇させていただいたセッションは、『これからのデジタル社会で必要なリテラシーとは』です。投影スライドは、概要レポートの28ページ目にあります。https://drive.google.com/file/d/1z8Y0rN1_wSDzD89IaPN4iCXJWk6aINNC/view

ここでは、私がお話した内容(お話したかった内容)を補足をふくめてお伝えします。
第一の要点は、デジタルスキルの意味合いが日本と海外では異なりますよということです。
違いを例えると、日本の場合は自動車をデザインしたり生産したりする技術と知識に重点が置かれ、海外では自動車をいかにスマートに運転するかに重点が置かれています。

UNESCOやOECDなどの国際機関を含めデジタルスキル【Digital Skills】と言えば電子機器を使用する知識とスキルが主な視点となります。

基礎スキル(Basic skills)
基本的なデジタルスキルは、私たちが社会で最低限の機能を果たすことを可能にします。基本的なデジタルスキルは、基本的なタスクを実行するための基礎的なスキルであり、伝統的な読み書き能力、計算能力と並ぶ基礎的なリテラシーに相当するという認識が広まっています(下記の21世紀型スキルの図を参照)。基本的なスキルには、ハードウェア(キーボードの使用やタッチスクリーンの操作など)、ソフトウェア(ワープロ、ノートパソコンのファイル管理、携帯電話のプライバシー設定など)、基本的なオンライン操作(電子メール、検索、オンラインフォームの入力など)が含まれます。基本的なスキルは私たちの生活を豊かにし、他者との交流や政府、商業、金融サービスへのアクセスを可能にします。

P.6, Digital Skills Toolkit by ITU 2018をDeepLにて翻訳  

中級スキル(Intermediate skills)
中級スキルは、技術を批判的に評価する能力やコンテンツを作成する能力など、デジタル技術をさらに有意義かつ有益な方法で使用することを可能にします。これらのスキルは、デスクトップパブリッシング、デジタルグラフィックデザイン、デジタルマーケティングなど、仕事に関連する機能を実行するために必要なスキルを包含するため、実質的に即戦力となるスキルです。ほとんどの場合、これらのスキルは汎用的なものです。つまり、これらのスキルを習得することで、熱心な市民や生産的な労働者として参加するために必要な幅広いデジタル業務に対応できるようになります。しかし、このようなスキルは定石ではありません。実際、特に中間的なスキルの特徴の1つは、テクノロジーの変化に合わせて拡大することです。例えば、データ革命がさらに勢いを増し、大量のデータを作成、分析、解釈、視覚化するために必要なスキルが求められるようになると、データスキルがより重要な位置を占めるようになります。

P.6, Digital Skills Toolkit by ITU 2018をDeepLにて翻訳

日本国内でいうデジタルスキルは、DX人材育成に関連付けられるスキル、言わばシステムなどを開発する知識とスキルを指しています。この分野については、i コンピテンシ ディクショナリ(iCD)ITスキル標準(ITSS)など、フレームワークが用意されていてその分野で必要な知識とスキルが体系化されています。(大元の参照はどれ?という疑問が個人的にはあります。)その最初のステップとしてITパスポートが位置付けられていると私自身は理解しています。

IPAのサイトより

日本で使われているデジタルスキルの意味合いはDigital Skillsに含まれてはいますが、ICT profession (ICTのプロ/専門職)向けのものとして説明されていることが多い印象です。

高度なスキル
高度なスキルとは、コンピューター・プログラミングやネットワーク管理などのICT専門職に必要なスキルです。世界全体では、今後数年間で高度なデジタル・スキルを必要とする仕事が数千万件に上ると予想されています。これには、人工知能(AI)、ビッグデータ、コーディング、サイバーセキュリティ、モノのインターネット(IoT)、モバイルアプリ開発などが含まれ、高度なデジタルスキルを持つ労働者の人材不足を予測する経済圏もあれば、ICTスペシャリストを最も急成長する職務に挙げる経済圏もあります。また、高度なデジタル・スキルを必要とする仕事は、基本的なデジタル・スキルを必要とする仕事、またはまったく必要としない仕事よりも、一般的に給与がはるかに高くなります。

P.6, Digital Skills Toolkit by ITU 2018をDeepLにて翻訳

先ずは、一言でデジタルスキルと言っても対象者と指し示す範囲が日本とその他の国で微妙にズレている、ということを認識いただければ幸いです。
(なので、国際的な「デジタルスキル」に関するアンケートで日本においてデジタルスキルについての自己評価が低いのも当然のハナシ、というわけです)
(2)に続きます。