バイオベンチャー株に対する考察
先日、お寿司の大好きなMarketMakerさん(@marketmaker7)とのやり取りで、「自前で第三相試験まで行うバイオベンチャーは失敗するのではないか?」っていう話をしていたのですが
じゃあ、実際にどうだったか調べてみました。
ところで、薬の開発過程ってご存知でしょうか
① 培養細胞や小動物を使った実験で新しい薬の候補を見つける
② ①で見つけた薬が本当に正しいか外部委託で確認する(Proof of Concept:POCの確保)
③ 薬が安全かどうか、動物を使って確認する
(ここでPMDAに行きどのように治験を進めるか相談し、大学などの研究の場合であれば今度どのように薬を製造して販売するルートを確保するか相談する)
④ 薬が安全かどうか、ヒトを使って確認する(治験:第一相試験)
⑤ 薬が本当に効果があるか小規模で確認する(治験:第二相試験)
⑥ 薬が本当に効果があるか大規模に確認する(治験:第三相試験)
⑦ PMDAに承認申請をし、④~⑥の結果をもとに審査を受ける
⑧ 無事に承認されたら、病院で薬として処方することができるようになる
※ゾコーバ(塩野義)は④から⑤の結果をもとに特例申請を出しましたが
現状の結果では既存薬より劣勢であり、承認は難しいということで⑥の結果待ちです。
①~③のステップは、いいものが見つかれば、そこから先は1000-2000万円くらいで進めます
④から先は特定健康食品でも数千万かかるので、1試験行うにも億単位の仕事になります。
最近の大手ファーマは①の開発が追い付かず、いい薬を見つけたバイオベンチャーを会社ごと購入するか、バイオベンチャーの特許を購入または特許使用料を払い、自分の会社でその薬の開発(②~⑥以降)を行うことが結構おおいです。
バイオベンチャーの適時開示で、マイルストーンに基づくライセンス収入が入りましたというのがありますが、これは大手ファーマがバイオベンチャーと契約をむずび以降の薬の開発は大手ファーマが行うが、開発がうまくいく(薬の開発の段階が進む)毎に契約に沿ったライセンス料を支払うことを指します。
ということは、有望な薬が開発されたら、大手がベンチャーを買いに行くかライセンス料を支払うため、自社で治験をしなくても済むことがあるのです
バイオベンチャーが自社で薬の治験を行うということは、大手ファーマが開発に意欲を感じられない薬であると考えたほうがいいのではないかと思うわけです。
例えば、バイオベンチャーの老舗といえば
そーせいグループ (4565)ですが
Webサイトで自社開発パイプラインを見ると、開発段階は全て③までで
製薬メーカーと組んでるパイプラインは治験のものが含まれています。
自社開発のパイプラインも治験に行くまでにどこかの製薬メーカーと組むことが予想されます(組まれなければ、中止するような気がしますが)
そこまで、手堅く経営しても毎年黒字を出せないのがこの業界なのかと思います。
さて、バイオ株を四季報で調べてみると35銘柄ありました
GNIとかアンジェス、窪田、キャンバスとかがしっかりリストに入っています。
2012年より現在までで営業利益が黒字になった企業が15社
そのうち14社は製薬メーカーからライセンス料をもらうまたは特許を売却していました。
そして、単独で治験してると3相で全滅しています。。。。
唯一独自で開発して上市し黒字の企業は2160GNIでした
中国の会社なので、市場規模やルールがわからないところもありますので
ここはちょっと特例な気がします
やっぱり、いい薬の候補は製薬メーカーが見逃さないし
金銭的に体力がないと治験を遂行できないのだと思います。
やっぱりバイオベンチャーは治験の段階で製薬メーカーにバトンを渡せてないと、2相以上治験の結果はネガティブな可能性が高く
特に3相試験結果待ちは空売りでもいいのだと思います。
(貸借になってあればですが)
注意としては、バイオベンチャーで独自で治験をしている場合
MAワラントをしているので、新株予約券を買った投資家が関与しているかはわかりませんが、ちょっといいIRが出ると仕手化しますので
そこを狙った長期保有は、宝くじ的な感じで買うならありなのかと思います。あとは需給だけで買いに行くのはありですがその場合はガチホは
自殺行為だと思います。
まとめ
結局、バイオベンチャー株の長期保有はどうなのかと聞かれると
抽選日のわからない宝くじを買ったと思えるくらいのロット以上では買ってはいけないが正解かと思います。
普通に武田製薬を買っていた方が配当もあるし絶対に長期保有では安定だと思いますよ。