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どすけべプレー|季節感ダイレクト

脊髄くんの描いた奴。私の経験談+α。

 ドクターペッパーが好きで、近所にあった量販店に毎日の様に買いに行っていた。一日に摂取する糖分なんぞドクぺぐらいなもんだ、と胸を張って飲むのが習慣だった。少し口の中に入れた時の、一瞬の不快感が良い。一気に飲んだ時の不快感も良い。

 口の中に少量貯めて、舌表面でドクぺの味を楽しんでいると、じわじわと味がなくなっていく。揮発しているのだろうか。もしかすれば、私の舌が死んでいっているのかも知れない。

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 ダイレクトマーケティングをしようと思う。ユニクロのエアリズムがすげぇという話です。

 私には季節感がないらしい。「らしい」なので、これは伝聞情報であり、私には自覚があまりない。だが、確かに夏に入った最近の格好を思い出して見て、少しであるが思い当たる節がある。

 私は黒が好きだ(後、紫も好きだ)。服を占める色は大凡黒である。この時点で、季節感なしポイントがピコンと加算されるらしい。理屈は理解出来る。黒は熱を吸収しやすいので、太陽が激しく私達を見下す夏場には適した色合いではない。確かに、この季節に外を歩く人を見ると、白を基調とした服装が多い様な気がする。とは言え、布団は黒だし、カーテンも黒だし、自転車は黒だし、Macも黒だし、鞄も黒(と紫)だし、下着だって黒(と紫)が多い私にとって、いざ何かを身に付けようとすれば確率的に黒が選択されることが多いのは自然な話であり、「おい! お前は馬鹿みたいに光と熱を吸収しおってからに!」と言われても、「仕方ないじゃんね」と石蹴り不貞腐れるしかない。そもそも、夏場によりエネルギーを吸収することは季節感を阻害するだろうか? 外に余りあるエネルギーを吸収出来ているのだから、寧ろ夏的である。それに、白って汚れが目立つじゃんか。

 この黒の服、特にシャツに関してはそれなりに数が多いので、籠の中に畳んで片付けられた様子を見るとその種類の区別を付けることが難しい。なので、朝着替える時にはその漆黒の塊に手を突っ込み、どれかを手に取り身に付けて出かけている。「黒い」という様子以上の区別を付けるには幾分か悩まないといけないくらいにはどれも似たものばかりなので、例えば、手に取ったものがヒートテックだったりする。このヒートテック、冬場は私の命を守る重厚な鎧である。どこへでも自転車に乗って出かける私にとって冬の冷たい空気は身体を切り裂くナイフであり、ヒートテックがない日には研究室に到着する前に呼吸は薄くなり、肌は紫色に、手足は震え、歯は小刻みに音を鳴らし、視野は朦朧とする始末だ。すなわち、ヒートテックとは私にとってなくてはならない存在であり、友とも言える存在である。人間の友人さえいないので、彼(あるいは彼女。もしくはその他)の存在は酷く貴重だ。

 しかしながら、この季節、夏となると、彼らは急に反旗を翻し、私の心臓を殴打する。呼吸は乱れ、発汗が著しく促進され、やはり視野は朦朧とする。生命の危機だ。けれど、「ヒート」テックという自己紹介は、朝着替えをする知能の下がった私には理解出来るものではなく、何も違和感を憶えないままそれを着て、化粧をし、タイツとサルエルを穿き、カーディガンを羽織って自転車に跨がって仕舞う。すると、研究室に着く頃には全身から汗を流した無能が出来上がるのだ。これは涙ではない。

 私にとって夏に酷く汗をかくことの一番の不快感は、シャツの背面が濡れることにより背中に張り付く密着感だ。神経過敏気味な短気にとって、過ごしているだけで不快感を纏うことは集中力を削ぎ落とす致命傷である。額に青筋を浮かべながら、タイピングをする音はどんどんと大きくなっていく。この間、その姿を見た知人に「ブルドーザーみたいだね」と言われた。独特な表現だ。恐らく、ブルドーザーを誤解している。

 「これでは仕事にならないぞ」と思い続けて十年ほどが経った気がする。すると、ふと、ヒートテックの存在から「夏を快適に過ごすことが出来る商品がユニクロから出ているのでは?」という思い付きが出た。なにせ、あのサイコーでクールなヒートテックを並べているユニクロだ。なんか、着るだけで涼しくなる感じのシャツを売っているに違いない。思い付いてすぐ、途中だった実験を放置して、近くのユニクロへ走った。身体に纏わり付くヒートテックのことは気にならなかった。すぐそこに天国があるのだ。鎧に対し、ビキニアーマーである。

 そうして手に入れたのがこのビキニアーマーだ。凄い。汗をかいてもすぐに乾く。肌触りも柔らかく、着心地が良い。肌を焼くのが嫌いなので、夏場でもカーディガンやコートを欠かせない私だが、上に何かを羽織っていても違和感がなく、もちろん汗もさっさと乾いていく。汗が乾くことに感動する日が来るとは思わなかったな。ヒートテックとは大違いだ。お前はなんなんだ、ヒートテック。冬まで大人しくしていろ。

 また凄い凄いと感動したのが、汗が乾燥した後に臭いがほとんどしないことだ。こればかりは体質的な問題もあるかも知れないが、ヒートテックを毎回芳しくしていた身としては、帰宅して脱いだものから何も臭いがしないことに大変混乱した。鼻がイカれたと思いナザールを延々とキメたものの、無臭という結果は変わらなかった。ヒートテックとは大違いだ。お前はなんなんだ、ヒートテック。冬まで大人しくしていろ。

 皆さんも、買うといいと思います。エアリズム。私は四着買いました。全部黒。先ほど、一つにドクペを溢したので臭いがします。

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