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小数から見る無限級数 #1

皆さんこんにちは、どっかのだれかです。
今回は

$$
\frac{1}{99}=0.????????\cdots\\
\space\\
\frac{1}{9801}=0.????????\cdots
$$

について見ていきます。
画面をスクロールする前にぜひ一度計算してみてください。















それぞれの小数表示は?

上の二つの分数を小数で表すと次のようになります。

$$
\frac{1}{99}=0.0101010101\cdots\\
\space\\
\frac{1}{9801}=0.0001020304\cdots
$$

$${\cfrac{1}{99}}$$は$${0./01/01/\cdots}$$と二桁づつに区切ると$${01}$$がずっと続きます。

一方で$${\cfrac{1}{9801}}$$は$${0./00/01/02/03/\cdots}$$と二桁づつに区切ると途中までは非負整数が続いていきます。

しかし、$${\cfrac{1}{9801}}$$を計算していくと途中でおかしなことが起こります。

$$
\frac{1}{9801}=0./\cdots/96/97/99/00/01/\cdots
$$

なんと$${98}$$だけ抜けているのです。
(実際に$${\cfrac{1}{9801}}$$をここまで計算するのは大変なので、確かめたい人は$${\cfrac{1}{81}}$$を計算してみると似たようなことが確認できてよいと思います。)

どうしてこのような現象が起こるのかというと「繰り上がり」が原因になっています。
次の足し算を見てみましょう。

$$
\begin{aligned}
0&.\cdots097\\
0&.\cdots00098\\
0&.\cdots0000099\\
0&.\cdots000000100\\
+)\space0&.\cdots00000000101\\
\hline0&.\cdots09799000101
\end{aligned}
$$

実際は順番に五つの数を足しているのに繰り上がりのせいで$${98}$$が抜けたように見えます。
ここでは$${98}$$付近の五つの数を取り出して足しましたがこれを0から始めて無限に続けると次のような結果になります。

$$
0.00+0.0001+0.000002+\cdots\\
=0./\underbrace{00/01/02/\cdots/97/99}_{この部分が繰り返される}/00/01/\cdots\\
\space
$$

つまり$${\cfrac{1}{9801}}$$の小数表示は非負整数を並べた数というよりは無限個の数を足し算した数といった方が適切でしょう。
$${\cfrac{1}{99}}$$についてはどちらでも結果は同じですが、$${\cfrac{1}{9801}}$$と同じことをしていることを考えるとやはりこちらも無限個の数の足し算で説明がつくと思います。

本当にずっと続く?

では$${\cfrac{1}{99}}$$や$${\cfrac{1}{9801}}$$の小数表示は本当にそのままの規則でずっと続くのでしょうか。
先程の計算では途中まで割り算をして、きっとこのまま続くだろうと予想しただけです。
なので実際に「ずっと続く」ことを確かめたことにはなりません。
今回は同じ規則でずっと続いた小数を計算して分数表示と一致することを確かめます。
(多少厳密でない部分がありますが、感覚的に理解することが目標なのでご了承ください。)

$$
\begin{aligned}
x=0.0101010101010&1\cdots\\
&と置くと、
\end{aligned}\\
\space\\
\begin{aligned}
100x&=1.01010101010101\cdots\\
-)\hspace{6mm}x&=0.01010101010101\cdots\\
\hline99x&=1.\bcancel{\cancel{00000000000000\cdots}}
\end{aligned}\\
\space\\
99x=1\\
x=\cfrac{1}{99}\\
\space\\
\begin{aligned}
よって&、\\
\cfrac{1}{99}&=0.01010101010101\cdots
\end{aligned}
$$

$$
\space\\
\begin{aligned}
y=0.0001020304050&6\cdots\\
&と置くと、
\end{aligned}\\
\space\\
\begin{aligned}
100y&=0.01020304050607\cdots\\
-)\hspace{6mm}y&=0.00010203040506\cdots\\
\hline99y&=0.01010101010101\cdots
\end{aligned}\\
\space\\
99y=x\\
y=\cfrac{1}{99}\times x\\
y=\cfrac{1}{9801}\\
\space\\
\begin{aligned}
よって&、\\
\cfrac{1}{9801}&=0.00010203040506\cdots
\end{aligned}
$$

これで実際にずっと続くことを確かめられました。

二つの数の関係

上の計算式の途中で$${\cfrac{1}{99}×\cfrac{1}{99}=\cfrac{1}{9801}}$$という計算をしました。
ここで両辺の分数を小数に直すと、
$${0.0101010101\cdots\times0.0101010101\cdots\\=0.0001020304\cdots}$$
となります。
実際にこれを確かめてみましょう。
(目が疲れないように$${0}$$を一部$${■}$$に差し替えています。)

$$
\begin{aligned}
&0.0101010101010101\cdots\\
\times)\space&0.0101010101010101\cdots\\
\hline&0.00■1010101010101\cdots\\
&0.0000■10101010101\cdots\\
&0.000000■101010101\cdots\\
&0.00000000■1010101\cdots\\
&0.0000000000■10101\cdots\\
&0.000000000000■101\cdots\\
&0.00000000000000■1\cdots\\
+)\space&\hspace{15mm}\vdots\\
\hline&0.0001020304050607\cdots
\end{aligned}
$$

となり、実際に成り立っていることがわかります。

終わりに

いかがだったでしょうか。
今回は$${\cfrac{1}{99}}$$と$${\cfrac{1}{9801}}$$という二つの分数を見てきました。
次回のこのシリーズではこれを一般化したものを見ていきます。
ぜひお楽しみに!

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