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沢田研二 正月LIVE 2024「甲辰 静かなる岩」ライブ評

去年のさいたまスーパーアリーナのライブに参戦し、いつでも一生懸命パート2のツアーにも参加し、沢田研二の凄みを存分に体感した。そして今年は沢田研二と同年代のビリー・ジョエル日本公演を堪能した後だけに、同年代の沢田のライブを楽しみにしてしまうのも人情だろう。70代のミュージシャンで日本とアメリカの両横綱な様なものだからだ。
 一月の間にレジェンドを2人も鑑賞できる歓びに胸は震えていた。そして東京国際フォーラムに足を運んだ。
 会場は満員で否応なしにも、コンサートへの期待は高まる。岸辺一徳や、森本太郎等、ザ・タイガースの仲間も見守っていたらしい。2024年の幕開けに相応しい環境である。そしていつも通り定刻にライブは始まった。
 沢田研二はアイスホッケーの選手の様な出たち。オープニングは「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」である。観客は総立ち。いつもよりスローな感じである。そして否応無しに盛り上がる「TOKIO」。そしてジュリー祭りに参戦しなかった私にとっては初めて生で聴く「あなたに今夜はワインをふりかけ」。ジュリー祭りでコーラス隊とオーディエンスの熱烈な歌唱で一つのハイライトとなった曲。マンズワインのコマーシャルにも使われて無敵なB面曲だが、感動もひとしおである。そして何度もライブで演奏されている「カサブランカ・ダンディ」。歌詞を忘れたり、音が取りづらいのか、バンドの演奏から遅れたりしたが、名曲は色褪せないのである。そして「追憶」。今回のツアーは前のセットリストから漏れた名曲を更に洗い出して組み込んだ心憎い曲目である。今回は政治的な曲も復活したし、2曲に抑えたところもファンへの思いやりであろうか。以前の正月公演でも歌った「恋のバッドチューニング」。前回のツアーでも歌った「おまえにチェックイン」など、新発売となったBlu-rayを意識してか、バースデーライブの残り香を感じた。沢田研二には数多のヒット曲があるが、今回のツアーでは「時の過ぎゆくままに」、「勝手にしやがれ」をセットリストから外したのは沢田なりの矜持かもしれない。そしてリバイバル上映で話題になった「ヤマトより愛をこめて」をしっとりと歌い上げる。アンコールでは「そのキスが欲しい」を高らかに歌い上げる。やはりさいたまスーパーアリーナを思い出してしまう。そして70年代のロックサイドの沢田研二を象徴する「気になるお前」。そして、紅白でトリをつとめた時にファンの心の中で印象に残り、未だに支持されている名曲「LOVE(抱きしめたい)」。ラストは新曲「LUCKY/一生懸命」であった。余程この曲が気に入っているのだと私は思ったのであった。
 アンコール時のMCで沢田はこれまでライブでステージに掲げていた旗を纏いながら、自身が難聴であること等の体調不安と共に秋に向けて新しい出し物を考えているなど不安と未来が交差した内容のことをファンに語りかけた。今回のライブは一部週刊誌は色々書き立てたことは、私も知っている。無論人間は体調が悪い時もある。ライブを生業にするならば体の管理は必須であろう。75歳になれば思い通りにいかない時もあろう。体調が万全で無い中、17曲を歌い上げた沢田研二に拍手を送りたいし、ファンも沢田研二の貴重な一面を垣間見れたということで納得するのではなかろうか。まだツアーは続くが沢田にはご自愛いただきながら、更に完走して欲しいものである。

沢田研二 正月LIVE 2024「甲辰 静かなる岩」

1/31 東京国際フォーラム セットリスト▼

  1. ス・ト・リ・ッ・パ・ー
    2.TOKIO

  2. あなたに今夜はワインをふりかけ

  3. カサブランカ・ダンディ

  4. 追憶

  5. 根腐れpolitician

  6. ISONOMIA

  7. 恋のバッドチューニング

  8. おまえにチェックイン

  9. A・C・B

  10. マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!

  11. THE VANITY FACTORY

  12. ヤマトより愛をこめて

~アンコール~

  1. そのキスが欲しい

  2. 気になるお前

  3. LOVE(抱きしめたい)

  4. LUCKY/一生懸命


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