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「Web3.0とDAO」を活用した日本政府の取り組み

日本政府は、デジタル社会推進本部を通じて、デジタル社会の実現に向けた重点計画を策定しました。この計画は、2023年6月9日に閣議決定されました。

この計画の目的は、デジタル技術の進歩によりデータの重要性が飛躍的に高まる中、日本で世界水準のデジタル社会を実現するために、将来の目指す姿を描き、構造改革、地方の課題解決、セキュリティ対策といった多くの取組を、関係者が一丸となって推進する必要があります。この計画は、目指すべきデジタル社会の実現に向けて、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策を明記し、各府省庁が構造改革や個別の施策に取り組み、それを世界に発信・提言する際の羅針盤となるものです。

この計画では、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を目指しています。デジタル社会で目指す6つの姿として、「デジタル化による成長戦略」、「医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化」、「デジタル化による地域の活性化」、「誰一人取り残されないデジタル社会」、「デジタル人材の育成・確保」、「DFFT※の推進をはじめとする国際戦略」が挙げられています。

詳細な情報は、デジタル庁 のウェブサイトでご確認いただけます。

また、自民党のデジタル社会推進本部は、デジタル庁の仕事ぶりについて、政策を立案する機能の強化などを求める提言案をまとめました。本部長は、デジタル庁の創設にかかわった平井卓也・初代デジタル相です。

また、デジタル社会推進本部のweb3(ウェブ・スリー)プロジェクトチーム(PT座長・平将明衆院議員)は、デジタル庁と経済産業省から、web3を巡る国内外の現状や、今後の国家戦略へ組み込むための方針等を取りまとめた報告書について説明を受け、議論しました。web3は、次世代インターネットの概念で、テクノロジー等の変化のスピードが速いことや、活動領域が国境を越える等の特徴があります。

会議では、自民党としても、あらゆる政策に関連するweb3のさらなる活用方法の検討と周知徹底をはじめ、web3の分野において、日本が世界の先頭に立てるよう取り組みを進めていくことを確認しました。

平井卓也氏は「経済は限界が来ており、データを利益に変えていくところに収益ポイントを置かなければならない」と発言しています。

私の意見では、平井卓也氏の発言は一定の根拠があると考えます。現代のデジタル時代において、データは非常に重要な資産となりつつあります。企業や組織は膨大な量のデータを生成し、それを分析・活用することで新たなビジネスチャンスや効率化の可能性を追求することができます。

従来の経済モデルでは、物理的な製品やサービスの販売が主な収益源でした。しかし、平井氏が指摘するように、そのモデルには限界が存在します。競争の激化や環境問題などが影響し、新たなビジネスチャンスを見いだすのが難しくなっています。

一方、データは新たな可能性を切り開くことができます。企業が蓄積したデータを分析し、顧客の嗜好や行動パターンを理解することで、よりターゲットに合わせた製品やサービスを提供できるようになります。また、データを活用することで効率化や品質向上が可能となり、競争力を高めることができます。
インターネットの情報の偏りによる弊害が発生しています。、まずその具体的な例を挙げてみましょう。ひとつ目は、ソーシャルメディアのアルゴリズムによる「エコーチェンバー」現象です。これは、FacebookやTwitterなどのプラットフォームがユーザーの過去の行動や好みに基づいて情報を提供するため、ユーザーが多様な視点や情報に触れる機会が減少し、自分と同じ考えの人々だけの情報空間に閉じ込められてしまう現象です。

二つ目の例は、大手検索エンジンのGoogleが情報の可視性を左右するという問題です。Googleの検索アルゴリズムは、特定のウェブサイトを他のサイトよりも優先して表示するため、情報提供者間の競争が生じ、情報の公平性が損なわれる可能性があります。

このような問題を解決するために、Web3.0とDAOの技術が注目されています。DAOはブロックチェーンという分散型技術に基づいており、透明性、公平性、参加型を実現することが可能です。これにより、一部の大手企業や権力者が情報を制御することを防ぎ、より公平で公正な情報共有の場を提供することができます。

具体的な事例として、Steemitというソーシャルメディアプラットフォームを挙げてみましょう。Steemitはブロックチェーン技術を利用した分散型ソーシャルメディアで、一般的なソーシャルメディアとは異なり、ユーザーが投稿したコンテンツに対する報酬を自分たちで決定することができます。このように、SteemitはブロックチェーンとDAOの要素を活用して、中央集権的なソーシャルメディアの問題を解決しようとしています。

また、Uniswapという分散型取引所(DEX)も注目すべき例です。Uniswapはブロックチェーン上に存在する自律的な組織で、全ての決定はそのコミュニティメンバーによる投票によって行われます。これにより、一部の大手企業や個人が市場を支配するのではなく、全ての参加者が公平に取引できる環境を提供しています。

これらの事例を見ると、Web3.0とDAOの活用は、現在のウェブにおける情報の偏りや中央集権化といった問題を解決する有力な手段となり得ることがわかります。Web3.0の時代には、誰もが自由に情報を提供し、それを評価し、公平に報酬を得ることが可能になるでしょう。そして、その一環としてDAOは、新たなインターネット社会の運営体制を形成していくことになるでしょう。

さらに、データを収益源とすることで新たなビジネスモデルも生まれています。データを利用した広告やマーケティング、データの売買、データ解析のサービスなどがその例です。これらの分野では、データを収集・解析する能力やデータの正確性・セキュリティの確保が重要な競争要素となっています。

ただし、データを収益に変えるにはいくつかの課題が存在します。データの収集方法やプライバシーへの配慮、データの正確性と信頼性の確保などが重要な要素です。また、データを活用するための適切な分析手法や専門知識も必要となります。

総じて言えることは、データが経済において重要な要素となっていることは間違いありません。従来の経済モデルに固執せず、データを活用することで新たな収益源やビジネスモデルを模索することは、現代のビジネスにおいて重要な戦略となるでしょう。しかし、データを利益に変えるためには、適切なデータ戦略やデータ管理の枠組みを構築する必要があります。

そして、平井卓也氏の「今、私私のところで作ろうとしているのは「DAO」と言われるもの。たとえて言えば、新しい法人格というか、株式会社でいう社長がいない一つの意思決定の組織のことです。アメリカでもいっぱい作られて、ワイオミング州とか、そんな所では法律もありますが、日本人はもの凄く物事ういうものを真面目に取り組み人が多いので、日本は非常に面白くなってます。」という記事があります。

記事から読み取れる平井卓也氏がDAOを作ろうとしている理由は、日本の真面目で粘り強い取り組みの特性と、DAOの透明性と分散性が合わさることで、新しい種類の組織と社会貢献が可能になるという期待感があると思われます。

DAOは、ブロックチェーン技術を使って設計された分散型の組織で、その運営は全てのメンバーによる投票で行われます。これにより、透明性と公平性が確保され、組織の運営に全てのメンバーが積極的に関与できます。また、スマートコントラクトと呼ばれる自動実行契約により、意思決定の過程や結果がブロックチェーン上に永久に記録され、誰でもその内容を確認できます。これは、従来の中央集権的な組織では達成できなかった透明性と信頼性を実現しています。

一方、日本人は真面目で物事を深く掘り下げて考える傾向があり、誠実な取り組みを尊重する文化が根付いています。この特性がDAOの運営に結びつけば、新しいタイプの組織が生まれ、それぞれのメンバーが自身の意見やスキルを最大限に活用し、組織全体としての目標達成に貢献することができるでしょう。それぞれのメンバーが個々の意見を尊重され、その結果として組織全体としてもより強固で、透明性の高い組織が形成される可能性があります。

平井卓也氏がDAOを作ろうとしているのは、このような新しい組織形態が日本の社会や経済に大きな利点をもたらすと考えているからだと推測できます。具体的には、より多くの人々が組織の運営に参加し、その結果として組織の活動がより広範で多様な意見を反映するようになるでしょう。また、ブロックチェーンの透明性により、企業の決定過程や活動が公開され、それにより信頼性が増す可能性があります。

これに比べて、現在の株式会社は中央集権的な運営が一般的で、一部の人々(経営陣や株主)が組織の重要な決定を行います。しかし、この中央集権的な運営は、全ての関係者の意見が反映されないことや、意思決定過程が不透明であることにつながることがあります。この点で、DAOは新しい可能性を提示しています。

株式会社とデジタル自律組織(DAO)という二つの組織形態は、その運営の仕組みと目指す価値観に大きな違いがあります。以下にその主な違いをわかりやすく説明します。

まず、株式会社とは何かを簡単に説明します。株式会社は、一定の事業目的を達成するために設立される法人組織の一種です。一部の人々(株主)が資本(株)を提供し、その代わりに利益の一部(配当)を受け取る権利を得ます。株式会社の運営は、経営者や取締役によって行われ、大きな意思決定は株主総会で行われます。この構造は中央集権的であり、一部の人々が決定権を持っています。

一方、DAOはブロックチェーン技術を利用した新しい形の組織で、完全に分散型の運営が可能です。DAOは「スマートコントラクト」という自動化された契約によって運営されます。これは一連の規則と手続きをコードとして記述し、それが自動的に実行される仕組みです。大きな意思決定は、DAOのメンバー全員が投票によって行います。これにより、DAOは誰もが平等に参加でき、透明性が確保された組織となります。

さらに、株式会社とDAOはその法的地位でも違います。株式会社は国家によって認知され、法的な保護を受けています。一方、DAOは新しい組織形態であり、その法的地位はまだ確定していません。しかし、ブロックチェーン技術によって、契約の履行は自動的に保証されます。

最後に、株式会社とDAOは目指す価値観にも違いがあります。株式会社は主に利益の最大化を目指しますが、DAOはそのメンバーが共有する特定の目的や価値観を追求します。それは社会的な問題の解決や特定の技術の開発など、利益だけではない目標を含むことがあります。

以上が、株式会社とDAOの主な違いです。それぞれが持つ特性を理解することで、それぞれが適している状況や目的、可能性を理解することができます。

インターネットは我々の生活における重要な基盤となっており、情報交換、ビジネス、教育、エンターテイメント、政策決定など、多くの分野で活用されています。しかし、現行のWeb2.0は情報の一元化やプライバシーの問題など、いくつかの課題を抱えています。Web3.0とDAOは、これらの課題を解決する可能性を秘めています。

Web3.0は分散型のネットワークを用い、情報を個々のユーザーがコントロールすることを可能にします。これにより、大手企業が個々の情報を一元的に管理し、利用するという現状を改善できます。また、DAOは組織の意思決定を分散化し、透明性と公平性を確保することができます。

以上の理由から、日本政府はWeb3.0とDAOを活用することで、より公平で透明性の高い社会を実現する可能性を見出しています。また、これらの技術を積極的に採用することで、国内のデジタルインフラを強化し、新たな経済成長を促進することも期待されています。

それでは、具体的な取り組みについて見ていきましょう。日本政府は、Web3.0とDAOに関連する研究開発に対する支援や、これらの技術を活用した実証実験の推進を進めています。これにより、実際にどのようにこれらの技術を活用できるのか、どのような社会的影響があるのかを詳細に理解することを目指しています。

また、日本政府は、これらの新たな技術に対応した法制度の整備も行っています。具体的には、ブロックチェーンやスマートコントラクト、DAOが社会に与える影響を検討し、それに対応した法律や規制の整備を進めています。

さらに、教育の面でも取り組みが進められています。Web3.0やDAOの理解を深めるための教育プログラムが導入され、これらの新しい技術についての理解を広め、次世代の技術者を育成することに力を入れています。

以上が日本政府がWeb3.0技術やDAOを国家戦略として活用しようとする理由と現在の取り組みです。これらの技術はまだ発展途上のものであり、その可能性と課題が完全には解明されていません。しかし、それらが持つ可能性を追求し、新たな社会の形成に取り組むことで、日本は新しい時代の先頭を走ることを目指しています。

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