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ダンスミュージック大国オーストラリアのダンスミュージック事情。シーンとパーティー、活躍するDJ / アーティスト達をピックアップ


5月17日に大阪、5月18日に兵庫のパーティーへ出演するメルボルン出身のDJ / アーティストのAhmet Atasever

Armin Van BuurenやAbove & Beyond, Ferry Corsten, Paul Van Dykなどトランス系トップDJがオーストラリアで出演する際にDJとしてサポートを務め、彼もまたProgressive / Tranceを中心としたDJやリリースで活躍する存在です。

私自身、多くのオーストラリアのDJやアーティスト達のファンでもあるのですが、今回主催からの依頼でAhmetさんの大阪公演のサポートとしてパーティーに出演させて頂くことになりました。

私が出演するのは大阪心斎橋のクラブYe Lai Xianで開催される5月17日の夜21時スタートのパーティーNight Tronic(私は24時頃からの出演)です。

関西でProgressive / Melodic系やTranceが好きな皆様、良い音に溢れたパーティーになることは間違いないですので一緒に遊びましょう!!


という告知だけでは申し訳ないですし、せっかくなのでオーストラリアに敬意を表した私なりの知りうるシーン事情や世界で活躍するDJ / アーティストのピックアップ記事を書かせて頂きました。

結構ボリュームのある内容となっております。特にProgressive Houseがお好きな方は是非読んでいってください。



オーストラリアのパーティー事情

こちらは先日来日してくれたSpencer Brownのアジア・オーストラリアツアーのフライヤーです。通常、多くの著名なDJ達は1年の中で1~2か月ほどの期間を設けてアジア圏をツアーするのですが、オーストラリアは広大な国土の中で主要都市が多く、1つの国で2~4本のギグをシェアリングできるのが強みです。(これはインドも全く同じ状況ですね。)

国を移動して公演を行うのは体力的にも手続きにおいても大きな負担を伴うので、1つの国で多くの公演が行えることは来訪するDJ / アーティスト達にとって大きな魅力と言えますね。

また、オーストラリアは多くのフェスティバルや巨大な野外パーティーの開催や誘致にも積極的でアジア圏内においては最も大きなマーケットを持つ国でもあります。

2023年末~新年に開催された野外フェスBeyond he Valleyは錚々たる顔ぶれ

季節が日本をはじめとする北半球の国々と真逆なので10~2月期にフェスを積極的に行えるのもこの国の強みなのかもしれませんね。

オーストラリアのダンスミュージック事情

私自身がトランスやハウスミュージックのライターなのでそれらが中心の知識を前提とした記事になりますが、オーストラリアのダンスミュージック市場は1990年代から現在に至るまで大きくヨーロッパの影響を受け続けています。

古くはKyle Minogue、近年ではEmpire Of The Sun, Tones and Iなどダンスポップの著名なアーティストを多く輩出しており、世界的な成功を納めたDJやアーティストも多いです。特にハウス系は結構強い印象がありますね。

ダンスポップやメジャー系アーティストのリリースが多いオーストラリアのレコード会社Central Station。ライセンス物も多く、日本のAVEX TRAXのような会社ですね。

また、メルボルンバウンスというEDMムーブメントから発生したサウンドも勿論オーストラリアが発祥。代表的なアーティストWill Sparksは日本でもとても人気がありますよね。

オーストリア発、シーンで活躍するProgressive系DJ / アーティスト


オーストラリアといえばメジャー系だけでなくアンダーグラウンドなムーブメントも強く、特にProgressive系は良いDJ / アーティストが多いですね。レジェンドからライジングスターまで。歴代のオーストラリアから世界で活躍すうProgressive系の重要人物をピックアップしていきます。

Anthony Pappa

Progressive HouseではJohn DigweedやSasha、Hernan Cattaneo, Dave Seamanらと並ぶシーンのパイオニアの1人で1990年代から絶対的な地位を確立するレジェンドAntony Pappa。オーストラリアでProgresive Houseシーンの土壌を作り出した最重要人物とも言われています。

Nu BreedやBest Of Platipusでの印象が強いPappaですが、Freefallというプロジェクトで手掛けたProgressive Tranceのアンセム"Skydive"はトランスシーンが生き続ける限り語りつがれていくであろう名曲ですね。


Kasey Taylor

オーストラリアのアンダーグラウンドなダンスミュージックを発信するレーベルVapour Recordingsの主催者であるKasey Taylor。

90年代後半から2000年代中期にかけて多くのリリースを重ねたVapourはProgressive House / Progressive Tranceを中心としたレコードを流通させていました。ちょうどレコードからデジタル音源中心の流通に切り替わった2000年代中期にはVapouRiseやEvapour8といったサブレーベルも設立。

Kasey自身もアーティストとして多くの作品をリリースし続けており、Hernan Cattaneo主催の名レーベルSudbeatやCID INCのReplugなど影響力の大きなレーベルからのリリースもありますね。

多くのProgressive系レーベルがデジタルへの移行やシーンの変動で活動が上手くいかずにクローズしてきた中で、Vapourは休眠期間はあったものの現在でも活動が続くレーベルとして精力的なリリースを行っていますね。特にここ数年はDeep Progressiveシーンの復興もあって元気な印象を受けます。Kasey本人もDJとして活躍中ですが大ベテランの域ですね。


Jamie Stevens (a.k.a. Infusion)


Deep ProgressiveシーンのDJ / アーティストとして近年再び注目を集めるJamies Stevensも00年代にオーストラリアから世界的な大ブレイクを果たした伝説のProgressive BreaksユニットInfusionのメンバー。近年でもJohn DigweedやHernan Cattaneoらが最も信頼を置くDJ / プロデューサーの1人でリリース量も作品も最高です。

プロフィールに2000年代のWOMB(渋谷にあるクラブ)でプレイしたことを2024年現在でも記述しているなど、日本でのパーティーにも思い入れがあるのかもしれませんね。

Luke Chable

この世代だと語らずにはいられないLuke ChableもオーストラリアのProgressive House / Breaksシーンの重要人物。2023年にFSOE UV NOIRからリリースしたOrange ThemeのカバーがArminにプッシュされてヒットしたり現在も活躍中のプロデューサーです。

"One Day"や"Ride"は当時のパーティーでもめちゃくちゃ流行りましたね。

Jaytech

Melodic Progressive / Progressive Tranceの人気プロデューサーJaytechもオーストラリア出身。DJ / アーティストとして初期Anjunadeepの立役者でもあります。現在ではAnjunabeatsへ移籍。自身のレーベルPositronic Digitalと並行して多くの作品を発表しています。また、Above & BeyondやAnjuna系で制作するフェスティバルの現場監督的存在ですね。


大の親日家で日本へは実に6度の来日を果たしています。そのうち5回は私が関連するパーティーというのは誇れることの一つ。めちゃくちゃ良い人です。ラーメンが好きすぎて日本各地で食べるために1週間来日したことも。

Jaytech界隈だとMatt Rowanもオーストラリアのアーティストですね。

GMJ & Matter

現在のDeep Progressiveシーンにおいて一大勢力の1つとなっているMeanwhileグループの主催GMJ & Matterは2人共オーストラリア出身のプロデューサーユニット。DJに楽曲にハイクオリティなものを世に送り続ける2人はオーストラリアにおいても多くのパーティーのヘッドライナーや著名なDJのサポートを務めており、その勢いは世界各地へと飛び火しています。

タッグが多い両者ですが、ソロでの楽曲制作やDJ出演も行っていますね。特にMatterの方は2022年にNick WarrenのレーベルThe SoundgardenからAlex O'Rionとの合作で大ヒットした傑作"Yugen"のプロデューサーでもあります。

いつか日本でもみてみたい2人でもあります。誰か呼んでください!!

Taglo

現在オーストラリアでのProgressive Houseシーンで最も強い輝きを放つTagloはArmadaやBlack Hole Recordings系を中心にDeep / Melodic / Organic系を中心に多くの作品を世に送り続けるDJ / アーティスト。

以前はSilk Music (現Monstercat Silk)での活動が活発だったこともあり、Melodic ProgressiveやProgressive Trance系のファンが多いですね。近年ではAVA Deepでのリリースが多め。

2023年には日本へと来日していましたね。
私もかなり好きなアーティストです。


Blake.08

Progressive BreakをメインサウンドとするBlake.08はAnjunadeepの2人の偉大なボスJody WisternoffとJames Grantが猛烈にプッシュする若きライブアクトでAnjunadeepの次期ライジングスターの1人。エモーショナルで美しいプロダクション、爽快感のあるベース&ブレイクスサウンド。今年のAnjunadeep Explorationsにも出演が決定していますね。Jodyとは合作"BLAM"を2024年4月に発表。

私自身の印象としても今世代のWay Out West(Jody WisternoffとNick Warrenによる伝説のBreaksユニット)的サウンドを担うクリエーターとして間違いのない存在だと確信しています。



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