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90年代に数々のクラブヒットを生んだUKの伝説的ダンスレーベルhooj choonの魅力 [Trance Classic Archives 05]

hooj choonsとはどんなレーベルだったのか?

hooj choonsはUKロンドンを拠点にしたダンスミュージック専門レーベルで、DJ / アーティストとしても活躍したRed JerryとPete Tongと共にFFRR(こちらは現在でも存在するメジャーなダンスレーベル)を立ち上げの為に離脱したPhil Howellsの両者によって1990年に設立されました。

初期には設立当時世界的なムーブメントを巻き起こしていたハウスミュージックやコマーシャルなダンスポップを中心としたリリースを手掛け、その流れからレーベルが見出したJake WilliamsのプロジェクトJXの大ブレイクで躍進。

最大のヒット作"There's Nothing I Won't Do"は何と50万枚の大ヒット!!

90年代中期から2000年頃にかけてはシーンとしての黎明期であったTranceやProgressive Houseシーンを牽引するレーベルとして数多くの新曲や名曲の復刻を手掛け、DJ達やダンスミュージックファンから熱烈な支持を獲得しました。

サブレーベルにはハウスやテクノに特化したProlekult (Kultという型番と星形のロゴで有名)、トランスレーベルとしてのhoojの流れを引き継ぎ、現在でも活動を続けているLost Language, プログレッシヴハウス専門レーベルのPrecinctなどがあります。

こういった運営方針は現在のArmada Musicに近いスタンスだったと言えるかもしれません。

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また、レーベルのアイコンとしてHooj manというコミカルなキャラクターがアイコンとして使われているのが大きな特徴。

オールドスクールが好きなDJやレコードコレクターであればレコードショップや自身のコレクションでこのHooj Manを目にしたことがあるかもしれませんね。


レーベルの終焉。そして復活へ

いくつもの大ヒットを世に送り出し、当時としてはいち早くレコードやCDR、mp3を販売する為のWEBサイトを運営するなど、100タイトル以上のリリースと経営を行ってきたhooj choonsですが、様々な要因により会社は倒産し、レーベルとしては2003年に活動を停止。好調だったLost Languageなど一部のレーベルのみ独立して存続する動きをみせました。

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L.S.G. - Netherwoldのラベル絵はこの事を予言していた?!


その後は2006年に過去作のデジタルカタログの復刻を中心にいくつかのニューリリースと共に復活を遂げ、数年後に再び活動休止するなど何かとシーン界隈を騒がせてきたhoojですが、なんと2021年にレーベルとしての活動を再開。

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レーベル後期のヒット作 "West On 27th"のNew RemixをイタリアのプロデューサーGai Barone & Luke Brancaccioが手掛けるなど当時のファンにとって嬉しいニュースが飛び込んできました。

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hooj choonsの代表的なヒット作10選

ここからは名レーベルの活動再開と成功を願いながら、hooj choonsの代表的なヒット作をみていきましょう。特にTranceシーンにおいては現在でも高い人気を誇る曲がいくつもありますね。


Felix – Don't You Want Me

1992年にリリースされたこの曲はその特徴的なフレーズがオールドスクールの定番になっているほど絶大な支持を獲得し、UKシングルチャートで最大6位(ダンスチャートでは1位)、フィンランドやスペイン、スイスのナショナルチャートでは1位を獲得するなど世界的な大ヒットをみせたhoojの初期作。ボーカルはGarage Houseの名曲"Don't You Want My Love"からのサンプリング。

後に世界各国のレーベルからもライセンスされ、2021年現在でもArmadaやKontorから新たなRemixが作成されるなど30年に渡って愛され続けている1曲ですね。


JX - Son of a Gun

レーベル最大のヒットメーカーとなったJX。そのデビュー作である"Son Of a Gun"は後にソロシンガーとしても活躍するBillie Godfreyをボーカルに招き、作成された底抜けにハッピーなダンスポップ。

JXはデビュー後のいくつかの楽曲で世界的なブレイクを果していますが、特にイギリスとオーストラリアでの人気は高く、この曲はUKナショナルチャートで最大6位を獲得するなど商業的な大成功も収めています。

2017年にはMat Zoが原曲リスペクトなBootlegを作成しているので気になる方は是非チェックしてみてください。


Energy 52 - Café Del Mar '98'

オリジナルはDJ Kid PaulCosmic BabyHarald Blüchelと共に1993年リリースし、EYE Q Recordsからリリースされたトランス最初期の作品。90年代のTrance Classicといえばこの曲という人も多いのではないでしょうか?

1997年にhooj choonsからのライセンスに伴った際、"Cafe Del Mar 98"と銘打ってリリースされた本作では、後の代表的なバージョンと言えるThree 'N OneのRemixが登場。多くのMix CDやレコードにも収録され、世界中からライセンスされるなど"Cafe Del Mar"の大成功を牽引しました。


同時期にはOliver LiebNalin & Kane, SolarstoneHybridなど多くのアーティスト達によってRemixされたレコードが世界各国から発売されており、2002年には Marco V, John 00 Fleming, Michael Woodsらが手掛けてその人気が再燃。

その後もDeadmau5Dabruck & Klein, Ricardo Villalobos, Tale Of Usら人気プロデューサー達が手掛けるたびにリバイバルヒットを巻き起こし、2021年にはPaul Van DykによるRemixが登場しました。

リリースから30年近くが経った今もなお多くの人達に愛されている名曲中の名曲と言えるでしょう。


Lost Tribe - Gamemaster

Matt DareyのプロジェクトLost Tribe名義の大ヒット曲 "Gamemaster"は1997年にhooj choonsからリリースされた"The Distant Voices E.P." の収録曲。(同EPの収録されているAngelという曲もかなりお薦めです)


1999年にシングルカットされた際に作成されたSignumによるRemixはパーティー受けするコマーシャルなサウンドとトランス特有の哀愁のメロディーのバランスが絶妙。90年代後半のパーティートランスを象徴するような1曲と言えるでしょう。

後にDigital BlondeMark SherryらのRemixも発表され、2010年代にはProtocultureが自身のLive Setの為にセルフRemixを作成するなどトランスシーンで根強い人気を誇る名作。



Lustral - Everytime

The Space BrothersChakra, Ascensionとしても知られる
Rick SimmondsとStephen JonesのプロジェクトLustralの1st Singleである"Everytime"

1997年にリリースされた最初のレコードにOriginalやレーベルオーナーのRed Jerryと共に収録されたNalin & KaneのRemixがPaul Oekanfoldらの後押しを受けて高い人気を獲得。

1999年にはWay Out WestMike KoglinTimo MaasらのRemixで再ブレイクし、Lustralにおける最大のヒット作になりました。


2007年から2008年にかけてはLost LanguageやBaroque RecordsからFunkagendaPig & Dan, Glenn Morrison & Bruce AisherらのRemixが新たに発表。

近年でもSneijderPaul Thomas & DylhenSultan + ShepardらのRemixが毎年のようにArmadaグループから発表されるなど時代を超えて愛され続けてきた名曲ですね。


Three Drives  - Greece 2000

オリジナルは1997年にThree Drives自身のレーベルMassive Drive Recordingsから。hoojからは1998年にライセンスされ、Man With No NamePeace Division, Farmatronic によるRemixが。同年後期にはボーカル入りのMiro Vocal VersionがOriginalとLost TribeのRemixで制作されました。

"Greece 2000"はhooj盤以降も様々なレーベルからRemixが作り続けられた為、各国からライセンスされたレコードやCD、海賊盤や自主制作、カバーを含め一つのタイトルから100種類以上のリリース(販売されていないものも含めたらそれ以上)がされています。

Tranceをはじめとするクラブシーンにおいてはもはや古典のような題材となっており、House, Techno, Progressive, Breakbeats, EDMに至るまでここで挙げきれないほど素晴らしいRemixが大量にあります。

そのほとんどはタイトルで検索すればチェックすることが出来るので気に入った方は是非チェックしてみてください!


Solar Stone - Seven Cities

Solar Stone (現Solarstone)の代表作でリリースから20年以上に渡って現在も愛され続けているスーパーアンセムの"Seven Cities"も Hoojレーベルを代表する大ヒット曲の一つ。

神秘的なボイスサンプリングと美しいメロディーが織りなすドリーミーなサウンドはまさにEpicという言葉がマッチしています。

1999年にhoojからSolarstone自身によるいくつかのバージョンとAirwaveによるV-One Remixと共にリリースされた後、2000年以降はhoojのトランスカタログを引き継いだLost Langugeやライセンスを取得したArmadaから多くのRemixがリリース。

Armin本人が節目のパーティーでは欠かさずプレイし続けているベストワークArmin Van BuurenによるRemixやPure Tranceを設立した後にそのフラッグシップ的なアンセムとしてSolarstone自身の手でRebootされたPure Trance Mixなどいくつもの名Remixも生まれてきました。2020年から2021年にかけてもTom StaarFerry Tayle, Alex Di Stefanoらによって新たなRemixが発売されており、その人気はまだまだ衰えることを知りませんね。

Solarstoneが2007年に来日した際に本人にこの曲について話を聞く機会を得たのですが「リリース後、瞬く間に2万枚のCDが完売したんだ!本当に信じられなかったよ!」と言っていました。

後にhooj choonsを含むグループを買収したSolarstone(これも本人が言っていました)ですが、初期作をはじめとする多くのリリースはhoojからリリースされてきたのでレーベルに対する強い拘りがあったのかもしれませんね。


Space Manoeuvres - Stage One ‎

John Graham (a.k.a. Quivver)のプロジェクトSpace Manoeuvresのデビュー作"Stage One"は1998年に発表された本プロジェクトの初期作。文字通り宇宙的なサウンドが特徴で、後のProgressive Trance人気の先駆け的存在だったトラックと言えるでしょう。

翌1999年に新たなRemixにSolar StoneTilt(当時はPark & WilsonJohn Grahamのユニット)を収録し、hooj choonsからライセンスリリースされました。

その後もLost Language関連のレーベルからMarkus Schulzy, Orkidea、Leama & Moor, Guy J, Lisa Lashesなど多くのDJ達によってRemixされ続けてきました。

Progressive系のMNix CD名盤として知られるSasha & DigweedのMix CD "Northern Exposure: Expeditions "にも収録されていましたね。


Tilt – Invisible

Space Manoeuvresとしても知られたJohn GrahamとPark & WillsonのプロジェクトTiltが商業な成功を収めたのが1999年に発表された"Inbisible"。

1997年にPaul OakenfoldのレーベルPerfectoからリリースされたPaul Van Dykとの合作 "Rendezvous"にDominique Atkinsのボーカルがfeat.されたボーカルトランスで、Matt DareyによるLost TribeのRemixも人気が高いですね。

2021年にはAnjunabeatsの人気アーティストJaytechによって新たなRemixも作成されていますが、製作した本人も大ファンだったようで喜びのコメントをしていましたね。

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Pete Lazonby - Sacred Cycles

Pete Lazonbyの"Sacred Cycles"は1994年にリリースされたトランスでブレイクで用いられているストリングスがあまりがあまりにも有名すぎる1曲。

2000年にCass & SlideMedwayらの新たなRemixesを収録してライセンスリリースされたhooj盤はレーベル後期であるプログレッシヴ時代の代表的なヒット作で、特にQuivverのMixがかなり人気が高いですね。

後にLost LanguageからProbspotDerek Howell, Pete MartinらによるProgressive TranceのNew Mixesも出ましたし、2019年にはフェスティバル向けテクノとしてリブートされたAdam Beyer, Bart Skils, Layton Giordaniによる合作Remixの大ヒットが記憶に新しいですね。


もっと知りたい人向け

Beatportでは2021年現在過去の殆どのリリースが購入可能ですね。
復活したhoojの新リリースもここからチェックできるようになるはず。

https://www.beatport.com/label/hooj-choons/2433

また、SpotifyにはBest Of hooj choonsのプレイリストもあり、ここで紹介されていない曲もたくさん収録されていますよ。

至れり尽くせりなラインナップ!


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