レバ刺し

昔、蒲田で毎晩のように飲み歩いていたときはレバ刺しを出すお店にもよく行った。トロっとした食感にごま油とにんにくの香りが最高で、ビールや焼酎が最高に合うあの味。不幸な事故をきっかけに禁止されてしまったが、お金を出して食べたもので死んでしまったら意味がない。なにより、厚生労働省がそうお触れを出したのだから、それに従うのはお店も客も当然のこと。

とはいうものの、規制が出てから最初の頃は割とザルだった。どう見てもレバ刺しなんだけど、アリバイ作りのコンロを一緒に出しておいて、
「生で食べられる品質ですので安心してお召し上がりください」
なんてお店で言われるのは普通にあった。

やきとんでも、中がレアというか生。表面だけさっと炙ったような串を出すお店があったりして、これがまた美味しかったのだけどもよくよく考えたら脱法行為だよなと思いながら、喜んで脱法行為に加担していた(笑)

あれから10年。外飲みすることも殆どなくなってから、「低温調理のレバ刺し!」という看板を見かけたり、飲食店の多くが完全禁煙になっていたり、コロナ禍で多くの店が営業自粛してるのに平気で破る店があったり、生肉を売りにする店が Twitter で炎上するようになった。そんな時に流れてきたのが
件のまとめ。

今でもそういう脱法行為的なことをするお店もあるのだろうけど、表立ってそれを聞くというのは、街を歩いてるコギャル風 (死語) 女子高生にいきなり援助交際 (死語) の値段を聞くようなものだなと思った。

そういえば、レバ刺し禁止より遥かに前、住宅街にあるこぢんまりした焼き鳥屋さんへ初めて行ったら、カウンター越しに鳥刺しが横切った。お店のご主人に聞いたら、
「ごめんなさい、メニューに載せてなくて、常連さんだけなんですよ…」
と言われた。リスクがあるものだとわかっていたし、そういうものだよねと思って見なかったことにして、
「じゃあ、常連になれるようにこれからも通います(笑)」
と返した。そんな感じで上手いこと受け流さないと、あれこれ規制が増えてしまって、結局チェーン店ばかりの面白くない世の中になってしまうんじゃないかなとも思った。

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