連載② Pitchforkが高く評価したBad Bunnyとは?
こんばんは。今回は初回ということで、まずはMMMさんと同様に自分と同い年のBad Bunny(1994年生まれ)を紹介します。
プエルトリコ生まれで、ラテン・アーバンと称される領域で大活躍する彼。Pitchforkは特に彼を高く評価しており、2019年のベストアルバム&ソングの両方でトップ10に入っています。 この記事では彼がここまで批評方面からも高く評価される理由を自分なりに紐解いていこうと思います。
まず、ラテン曲=スペイン語曲は純粋に人気が高いです。特にYouTubeではスペイン語曲は英語曲の再生数を凌駕しており、2017年以降YouTubeの年間再生数のトップ10の過半数を毎年ラテン曲が占めています。これらのラテン曲の多くはリズム性に富む「ラテン・アーバン」という分野に属しています。YouTubeはストリーミングの中でも特にアクセスが容易なため、スペイン語圏の人口の多さが再生数にダイレクトに反映されているのです。
そしてこれらはスペイン語圏で人気なだけではなく、USでも頭角を表しています。特にBad BunnyはCardi B・J Balvinとの”I Like It”がUS1位、そして彼がDrakeを迎えた”MIA”も5位に入り、抜群の存在感を発揮しています。
アルバム”X 100PRE”も同様にUSで人気でした。週間チャートでの最高位は11位と地味なものの、ストリーミングで長く人気を保ち続けロングヒットとなり、最終的に2019の年間チャートでは43位まで食い込みました。
このような人気ぶりから、ラテン・アーバンという「界」、そしてBad Bunnyという存在がメインストリームの重要なパーツであると見なされたことがまず高評価の一つ目だと思います。
そして理由の2つ目は、当たり前なのですがアルバム・曲の内容が良いという点です。ラテン・アーバンでは多くの客演を迎えて豪華な布陣で構成され、アルバムもそのようなシングルに準じた曲を並べる……という作品が多いように個人的に感じるですが、それに対してBad Bunnyのアルバムは「客演少なめ・多彩なサウンドプロダクション」が際立っていると思います。その中でも特にダイナミックな展開を見せる”Caro”がPitchforkのベストソング上位に入っています。
MMMさんの前回の記事でコラボの話題が登場しましたが、彼も昨年にラテン・アーバンのエース格のJ Balvinとのコラボ作”OASIS”をリリースしました。この作品もUSのSpotifyで全曲がランキング圏内に入るなど、同様にヒットしました。
さらに大手メディアRolling Stoneの「ベスト・ラテンアルバム」では”X 100PRE”と”OASIS”でトップ2を独占するなど評価も高かったようです。
(ちなみに、相棒J Balvinの前アルバム“Vibras”も比較的批評家からの評価が高かったです)
ラテン圏だけではなくUSでも人気浮上中。さらには批評方面からも注目を集め始めたBad Bunny。2020年代、彼が「ラテン・アーバンの王」ではなく、「メインストリーム全体の王」になる可能性もある。私はそう考えています。
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