寝違えとパーミング(手当て)と   2023・3・1

寝違え、ご経験ありますか?朝、起床すると首が痛くて動かせない。ものすごい激痛というわけではないけれど何かの拍子に「ぴりっ」と痛む。朝から何か憂鬱ですよね。東洋医学では「落枕」と呼びます。起き抜けの頸の痛みに古人も辟易していたのでしょうね。
 
さてこの寝違え、痛むのは確かに首なのですが、普通頸椎には問題はありません。頸椎を調整しても効果のないことのほうが多いです。それでは寝違えの原因はどこか、というと、
 
肩甲骨の間です。
 
寝違えの患者さんの背中をさわってみると、肩甲骨の間の筋肉がカチカチに緊張しているのがわかります。ここを調整すると首の動きはいっぺんに楽になります。胸椎部を調整するとバリバリ骨の鳴る音がします。慣れないとちょっと怖そうですが、術後に一種の爽快感があってこの手技を好まれるクライアントも時折おられます。
 
さて、ちょっと昔の話です。日曜日に施術所で事務仕事をしていると幼稚園に行く前くらいの子供さんを抱っこしたお父さんとお母さんが入ってこられました。こういう時はたいてい肘が抜けた(肘内障)ケースなのですが、伺ってみると朝から首を痛がってぐずるといいます。
 
背中をさわってみると肩甲骨の間がちょっと緊張しています。昨夜、お兄ちゃんがゲームをしているのを横から熱心に見ていたそうです。もちろんこんな小さいお子さんの背骨をバリバリ鳴らすわけにいきません。それでお父さんに抱っこされている背中に手のひらを当てました。
 
「パーミング」という手技です。そうやってしばらくしていると、お子さんの背中の緊張が緩み始めました。頸を動かしてもらうと、もう痛くないようです。痛みはなんでもそうなのですけれど、「痛みが出るんじゃないかな」という恐れがストレスになって、余計に痛みを増悪させます。手を当ててリラックスしてもらうだけでうまく悪循環が断たれたことでした。
 
ちなみに「パーミング」とかたいそうな名前がついていますけれど誰でもできます。ただ、手のひらを当てるだけです。子供さんに手を当てるのであれば、親御さんの手が一番だと思います。その際には無念無想で行ってください。「こんなので本当に治るのかな」とか「早く治してやろう」とか邪念が入るとうまくいきません。
 

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