スポーツはカラダに良くない?!2023/2/1

スポーツの名称がついた傷病というのはいくつもあります。「野球肘」とか「テニス肘」なんかが有名なところでしょうか。テニス肘が実は手の使い過ぎによって発生することが多く、テニスプレイヤーよりもむしろ家庭の主婦に好発するということは、いつか記事にした記憶があります。
 
同じテニスの名称がついていても「テニスレッグ」というのもあります。legは脚のことで、テニスレッグはふくらはぎ(下腿三頭筋)の肉離れのことを指します。ふくらはぎの筋肉は急激に引き延ばされると部分的に断裂します。断裂した筋肉は元に戻ることなく瘢痕性の組織に置き換わります。瘢痕組織は筋肉のような伸縮性がありませんから筋肉が引き延ばされたときに瘢痕組織との境界で再び筋肉の断裂が起きます。同じところを何回も肉離れするのはこういう理由からです。特に寒冷時は筋肉のストレッチをすることで予防になります。
 
手の甲のところの骨を中手骨と言います。指と同じように5本ありますが、中手骨の先端、頚部骨折のことを「ボクサー骨折」と呼びます。拳を握って何かを殴った際に発生するからこの名前があるのですが、ボクサーと素人のパンチでは、折れるところが異なります。素人のパンチでは小指側、第4,5中手骨が骨折しやすいのですが、まっすぐパンチを繰り出すことのできるボクサーでは人差し指側、第2,3中手骨が骨折しやすいです。かつては後者のことだけをボクサー骨折と呼んでいたのですが最近では中手骨頚部骨折はみんなひっくるめてボクサー骨折と呼ばれます。
 
上腕骨の骨折にもスポーツの名前がついています。腕相撲をしていて目いっぱい力を入れると上腕骨がねじ切られるような骨折が発生します。ちゃんと「腕相撲骨折」という名前がついています。ただし、この骨折を起こすのはアームレスリングの選手ではなくて、素人がゲームセンターの腕相撲マシンで頑張りすぎて起きることが多かったといいます。現在はゲーセンの腕相撲マシンそのものをあんまり見なくなりましたね。
 
野球の投球時にも、腕相撲骨折と同じところが骨折することがあります。こちらはちゃんと「投球骨折」と呼ばれます。ただし投球と言っても外野からのバックホーム時に発生しやすく、ピッチャーの投球時に起きることはまれであるとされます。投球骨折を起こした投手として挙げられるのは板東英二さんで、現役時代に投球骨折を起こされたことがあるそうです。逆に言うと板東さんがいまだに例に出てくるくらいピッチャーの投球骨折は少ないのでしょう。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?