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137 許容(きょよう)


はじめに

9月14日昨日、阪神が9月負けなしの11連勝を飾り、リーグ制覇を成し遂げました。実に、18年ぶりの優勝に阪神ファンの皆さんは大いに盛り上がっていることと思います。9月14日でのリーグ制覇は、球団史上最速で、チーム11連勝はなんと、1982年以来の41年ぶりの快挙だそうです。
リーグ優勝を決めた試合の相手は、宿命のライバル巨人でした。しかも、阪神ファンの聖地である甲子園で決めたとなっては会場のボルテージは最高潮だったことでしょう。
そんな優勝から一夜明けて、こんなニュースが目に留まりました。それが、阪神電鉄の車内で六甲おろしの大合唱が行われたという記事でした。また、この行為に対して迷惑行為であるか否かを論ずるツイートが盛り上がっているということについても取り上げられていました。
さて、そんな記事を読んで感じたことを今日の教育コラムでは、少しお話ししたいと思います。

迷惑行為とは

阪神電鉄では、甲子園球場で試合があるたびに臨時電車を出しているそうです。その本数については、甲子園へのお客さんの入りの様子で決めているそうです。
阪神が優勝した昨日は、甲子園と梅田両駅間の往路が3本、復路が7本で、復路は神戸方面が2本だったそうです。このことだけを見ても、それだけこの地域は阪神と共に喜びそして泣き、勝利の美酒を分かち合いたい人々が多いことを意味しているのではないでしょうか。
さて、迷惑行為とは何であるのかを考えてみます。周囲に居合わせた人や、関係者などにとって迷惑となるふるまい全般を迷惑な行為として考えてよいでしょう。わかりやすいものとしては、暴力的な行動や言動があります。これらは周囲に恐怖や不安、不快な心理や物理的な状況を与えるため時々大きな問題としてとりあげられます。

考えもの

では、今回の阪神優勝の日に起きた阪神電鉄の車内における大合唱は迷惑行為に当たるのでしょうか。この日、臨時電車は何のために出されたのか、それは、阪神戦を観戦するお客さんのために出されたものでした。
そして、阪神が優勝したことをともに喜びたいという人々が電車のみならず一帯の地域にあふれていたことでしょう。18年という歳月を経てつかんだ歓喜の瞬間に誰が合唱をとめることができるでしょうか。

紙一重

日本には、様々な祭りや催事があります。特に祭りでは、時々ではありますが参加者の命に係わる事故が起きます。起こるべくして起きているような気もします。こうした事故も、もしかすると迷惑行為と紙一重なのかもしれません。また別の話ですが、民家の近くに幼稚園を建てようとすると、子どもの声がうるさいから迷惑だということで反対運動をする人がいます。
迷惑行為へのとらえ方は千差万別であり、その本質には「許容の違い」があるように感じます。「許容」とは、ある事をすること、ある状態にあることを、許して認めることを意味します。
時代と共に価値観が変わるように許容の幅も少しずつ変化するのかもしれません。もしも、あなたが今の社会が、様々なことに対して「許容可能な幅が少し狭くなってきている」と感じたとしたら、あながち間違った感覚ではないのかもしれません。

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