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290 政と教

はじめに

宗教法人の所轄庁は原則として、その宗教法人が所在する場所の都道府県知事です。複数の都道府県に境内建物を備える宗教法人などの場合には、文部科学大臣が所管します。
今日の教育コラムでは、ここ近年に様々な報道でも明らかになってきた文部科学省とある特定の宗教法人のつながりから見えてくる政教分離上の問題について少しだけお話してみたいと思います。

政教分離とは

日本には2大宗教と呼ばれるものがあります。それが神道と仏教です。日本全国にある多くの寺社仏閣をみれば、その広まりはよくわかります。ほかにも様々な宗教が存在しますが、最も多いのが無宗教の人々です。約7000万人ほどの人が実質無宗教だったように記憶しています。
最近話題の旧統一教会問題ですが、この問題の根はとても深く現職の文部科学大臣、その前任者、さらにその前任者と近いところでも複数名の文部科学大臣が旧統一教会の選挙応援を受けたり、講演会に参加したりしています。
では、こうした問題の大きな論点はなんなのでしょうか。それが、中学校の公民でも学ぶ、「政教分離の原則」なのです。
政教分離の原則とは、次のように憲法に書かれています。「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」という内容です。

国からの特権

国からの特権をどのように解釈するかが重要で、例えば、文部科学大臣が宗教法人を所管するにもかかわらず、ある特定の宗教法人から選挙の支援を受けていたとしましょう。
その宗教団体がカルト教団で問題を起こした場合、いち早く、その問題の調査をしたり、必要な対応を講じたりする必要があります。しかし、それができなかった場合、特権が与えられているに等しいのです。また、その宗教法人の講演会や式典に参加し、国務大臣が参加しているという事実が周囲の信者や参加者に与える影響は、公務に関わる役職のもつ特権を発揮してしまうのです。また、そうした画像や事実が広報活動に使われれば、国からの特権が働いた状態に等しくなるのです。
政教分離を原則とする我が国において、特定の宗教法人と密接にかかわっていること自体も留意すべき点ですが、政治家がその宗教団体の存続や正当性に加担する行為全般を禁止しているのです。

政治不信

自民党の政治家であり、過去に文部科学大臣を務めた3名は、旧統一教会と選挙応援を受けるという形でつながりがありました。旧統一教会の問題が大きく取り上げられた時期に、名称変更を認めその後の2世、3世問題が表面化するに至るわけですが、私たち国民は行政のこうした公平ではない対応や国権を私的に流用する政治家に嫌気がさしています。
しかし、こうした政治家は次の選挙でも国民の支持を集め当選するわけですから、民主主義というシステムは大変難しく、それにかかわる人間の力量を試されるものだとしみじみ思います。
日本は、三権分立がまだ機能している方だと言われていますが、どの国にも表と裏の世界があることを国民は、ここ数年改めて実感しているのだと思います。こうした裏の面を子どもたちがどのようにとらえているのか、私の心配はいつもそこにあります。社会の構造に飽き飽きしている子どもたちは実は少なくないのではないでしょうか。

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