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236 りんごの不作

はじめに

物事には、その発生理由に何らかの原因があります。今日の教育コラムでは、リンゴの不作によって生じている現象とその原因について少しお話してみたいと思います。

贈答品がない

私の地元の長野県では、この時期と言えば、リンゴが旬を迎えている時期です。家庭によってはコンテナ買いする家もあるほどです。仕事の合間や夜になるとテレビを見ながらこたつでリンゴと野沢菜を食べながらお茶を飲むのが小さい頃は楽しみの一つでした。
そんな、名物のリンゴが今年は不作なのです。長野県の北信濃では信州の特産・リンゴが、通常であれば盛んに売られます。長野市から豊野、中野と呼ばれる地域では、大きな通りの両サイドに林檎農園や直売所が立ち並んでいる場所もあるほどです。
店頭には等級別に蜜のたくさん詰まったりんごが売られているはずなのですが、先ほども述べたように、今年は不作で「贈答用」が一つもないという事態になっているのです。
サンふじという品種が人気で、酸味も甘みも香りもよく、歯ごたえもシャキシャキと心地よく、道の駅の直売場ではお手頃価格で手に入るのですが、今年はそうはいきません。

悩み

直売場などに行くと「特秀」「秀」「赤秀」の順にランク分けがされたリンゴが箱で売られています。大きさや形、甘みなど様々な要因でランク付けされます。地元の人は、他県で過ごす親類や友人にこの時期になると贈答品に買い求め、リンゴを贈ります。
しかし、買い求めようとしても赤秀は置いてあっても、秀や特秀が置いてないのです。今年は、春先に凍霜害が生じました。また、追い打ちのように夏の猛暑が続き、リンゴが不作となったのです。例年に比べて3割減ということですから、手に入らないのも無理はありません。
また、物価高も重なり例年よりも500円ほど値上がりしています。味は良くとも見た目に乾燥していたり、赤みが薄かったりと贈答品として売るのが難しいようなのです。
しかし花袋はそろっていなくともさすが信濃のリンゴと言ったところでしょうか、赤秀を買い求めた方々の味の感想は、例年通りとても甘くておいしいという声が大半なようです。

原因

霜害(そうがい)という言葉を知っているでしょうか。この被害は、霜が霜が降ることで生じるものです。霜が降りるほどの急激な気温低下が生じます。ですから冷害に近いのですが、霜が付着しますので、農作物が枯死してしまいます。
今年の信州のリンゴには、中でも被害の大きい春の発芽期から開花・結実期に発生する晩霜害が発生したのです。これにより果実のなる雌しべが実を付けることが出来なくなったわけです。場所によっては、5割減にまで上る被害が出た農家もありました。
また、この状況に追い打ちをかけるように、夏は猛暑が日本列島を襲いました。高温によって変色が多数発生し贈答向けなどの良品が激減したり、収穫前に実が落ちてしまうといった現象が起きたのです。
加えて、降水量の少なさと夜間の気温低下が進まないために、リンゴの木の根にダメージが蓄積されていきました。葉が枯れ落ちるなど生育状況だけではなく果樹そのものに被害が出ていたのです。

結果

このように甚大な被害というものは一要因であれば、人的な努力や対策でその問題に応じることができるのですが、その問題が多重化している場合においては、人界の理を超えた影響が発生するのです。
結論とすれば、こうした気候絵変動による食物への影響は、今後も継続する可能性があるという見方ができるわけです。最新の研究では数十年後の日本では、リンゴ、ぶどう、もものような果樹が北海道で栽培するのに適したものになるという研究もあるくらいです。
私たちは、変化の激しい世の中に生きています。このことは情報化社会を意味しているだけではなく、数万年かけて変化してきた地球の気候の変化を数十年の間に生じさせてしまう現在の気候変動の状況にも言えることなのかもしれません。

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