欲望年表を書く

 欲望年表については『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版』(千葉雅也 2020年 文春文庫)を読んでほしい。簡単に言えば自分の当時の関心やマイブームを含む「生い立ち」と、その時世の中で起こっていた出来事を組み合わせたいわば自分史の一覧表である。そこから自分が今まで何に興味を持ってきたか、つまり「欲望」を抱いてきたかについて掘り下げて考えるための、自分を振り返るツールが欲望年表であると言っていいだろう。
 昨日枕元に積んでいたこの本を読み返してふと欲望年表を作ってみたくなった。作っていると意外と楽しい。というのはこれまで恥ずかしすぎて言語するのも躊躇われるような自分のあれこれの言動も、「欲望年表」といういわば客観的な分析としてであればすらすらと書けてしまったからである。ここには詳述しないが、まあ色々ありましたなぁ、と思いながら自分の「欲望」をつらつらと書き連ねていった。
 ざっと書き終わったので今度はその掘り下げに移る。『勉強の哲学』では記した欲望からその時の自分の心情を想起したり、当時の社会と自分の欲望の関連性を考え、そこからキーワードを抽出することで「自分を無意識的なレベルで衝き動かしてきた、何か大きな「人生のコンセプト」(151頁)」が分かるという。
 色々「人生のコンセプト」が出てきたが、一つだけ今の自分と直結しそうな点でいえばどうやら私には一貫して「周囲とは違うことへの憧れと居心地の良さ」があるらしい。高校は中学生の知り合いが一人もいないところを選んだとか(中学生の時の人間関係が嫌になったからだ)、その高校からはあまり実績のない大学に進学したとか、大学生になって読書を始めると周囲と話のノリが合わなくなってきたとか、そうした周囲とは違うことをしている(理由は異なるが)、そしてそれを特に直そうとしない自分がいるということが分かってきた。
 上記の点は個人的な(ここに書いていないことも含めた)様々な出来事に依拠している点が多いのであって、まだそれが世の中のマクロな出来事と充分関連付けられているわけではない。もう少し自分がうけてきた(うけている)社会的影響について考えてみたい。

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