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大麻取締法改正への反応②

続きです。

【GREEN ZONE JAPAN 代表理事 正高 佑志氏】
 医療大麻についての正しい知識の普及のため活動している医師を中心とした団体です。政令改正(パブコメ)に対して意見を発信されています。
 CBD製品中のTHCの濃度基準について、きわめて厳格であり「CBD原料」についての濃度基準が示されていないことを問題視しています。原料の濃度基準は「その他0.0001%」が適用されると思われますが、これだと現在輸入されている多くのCBD原料が通関しないことになるようです。また、THCをゼロに近づける段階で他のカンナビノイドやテルペンも失われるため、CBD単体ではなく様々なカンナビノイドが含まれる「ブロードスペクトラム製品」を作ることも難しくなるとのこと。これは、当該製品により効果を得ていたてんかん患者が不利益をこうむるということでもあります。
 加えて検査費用の高騰と、CBDは自然にTHCに変化してしまうことから、在庫管理の困難さなどを問題点として挙げています。
 これらのデメリットを解消するためには、CBD原料についての濃度基準を設けるべきと提案されています(現状通関している「0.02%」以上とするべき)。
 今回の大麻取締法の改正は、改正後5年を目途に見直しがされることとなっていますが、5年は長いです。パブコメにも意見されたのでしょうから、公布される政令に反映されるかどうか、見守りたいところです。
 なお、正高氏はYouTubeでも医療大麻などについてたくさん発信しておられ、大麻系ユーチューバーさんたちも「既存のCBD商品がなくなる!」といったように同氏の意見を参考に動画作成しているようです。同団体の動画は医療大麻推進の立場の情報として参考になると思います。

【湘南大学薬学部教授 舩田 正彦氏】 
 薬学部の先生が「大麻取締法改正の意義を考える」との論文を書いていらっしゃいました。
 大麻がこれまでの「部位規制」からTHCを規制する「成分規制」となったことについては、これにより大麻由来医薬品の輸入、製造、流通、施用がスムーズになるため、難治性疾患で苦しんでいる患者にとって有益な改正、と評価されています。
 また、医薬品の施用が可能となったことについても同様の評価で、法改正により大麻成分の基礎研究が進むことについて期待を寄せています。
 一方で、厳罰化については、薬物乱用者に対する支援を推進し、薬物依存症の治療等を含めた再乱用防止や社会復帰支援策も併せて充実させるべきとのことです。

 以上、関係者や有識者の反応を探してみましたが、まとめると、産業と医療分野の改正内容については肯定的、課題が残るものとしては医薬品以外のCBD製品(業界)への影響と今後が不透明、そして厳罰化でよかったのか、の2点と言えるかと思います。
 このあたりは今後の議論の推移をみていきたいですが、改正案の策定経過にあたってみるのもいいかもしれないなと思いました。

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