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読むのウンザリするから短編を書け

「エモい小説の書き方」というのを観てウンザリした。
これは小説の初心者が陥りがちな罠なんだが、小説は長ければ長いほどいいと思いこんでいる。情景描写に心象描写を重ねてふんだんに盛り込んで、困難に立ち向かう主人公が居て、魅力的な悪役を描写してとか…

正直ウンザリやねん、そういう想像力に。


長編なんか書くな、短編を書け。

読むのウンザリなんだよ。そういう作家の凄い物語作ったった感に付き合ってるほど暇じゃないんだよ。おいらの身近にも小説家志望みたいな人間が居たんやけど取材して資料集めて勉強して、で、その成果をふんだんに小説の中に盛り込みたくなって気がついたらもう延々と情景描写をしていたという。そういうの書いてる方は「どや!こんなにふんだんに情景描写に凝りまくったぞ!」って気分なんやろうけど正直どうでもいい。無意味や。作者のオナニーや。

おいらも自分で小説書いていた頃があったんやけど、せいぜい8ページで完結するような話ばっかり書いてたぞ。8ページでも十分短編になるし読んでる方も長いとウンザリするやろ?そんな80ページくらいの小説を目の前に叩きつけられて「さあ!感想をくれ!」と言われても、そんなもん読んでられっかってのが本音だ。
おいらが敬愛する中島らもの短編小説「お父さんのバックドロップ」なんかも20ページくらいの短編なのに十分ユニークだったし起承転結あったし面白かったぞ。そんくらいのページ数なら読む気にもなるだろ?

なんか少年ジャンプの長編バトル物みたいなもんばっかり書こうとする。主人公の戦う意味だとか悪役との価値観の衝突とかユニークな世界観の構築だとか何もかもがどうでもいい。そんなもんよりクスッと笑えたりスカッとするような短編を目指せ。重厚長大な物語は世の中に溢れすぎている。そんなものは要らない。そもそも10代の子が読むようなジュブナイル小説でもページ数もそんなに無いし文字のサイズも大きいし改行も多いしガキンチョでも読めるくらいの作品やないのか?これもおいらが敬愛するコードウェイナー・スミスのSF小説も基本的に短編しかないし1本1本は短いのにそれらが束になると壮大な人類補完機構シリーズの1万年の世界観が広がるようになっている。短いのにユニークな世界観を描いているし奇抜なアイディアは込められているし、こういう作品を読むと無駄に長い小説なんかクソみたいに思える。作家が印税を稼ごうとわざと内容を水で薄めてシリーズ化してるようにしか見えん。そういう長大な物で長く食っていこうとするような浅ましさ。小説家志望の人間が最初からそんなスケベ心を抱いて日々「エモい小説」とか言うてるのはアホらしいと思うな。

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