VintageFormatChampionship調整録

MOでVintageをプレイしているdiscoverNと申します。VintageFormatChampionship調整における思考のメモのようなものを書きました。

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1.デッキ選択

結果としては下記の中からリーグで最も勝率が良いデッキを選択。

検討したデッキ
・MUD系(ラベジャーショップ、STAX)
・ドレッジ
・青系コントロール(ジェスカイ、テイムール、グリクシス、墓荒らし)
・青系ストーム(逆説、TPS)
・オース
・サバイバル
・白単エルドラージ、人間

デッキ選択において、重要視した3つの事。

★ヴィンテージにおいて安定して勝つ為には相手に理想の動きをさせないことが必要。(=《Force of Will》が必須)それを前提に考えるとサバイバル、MUD、TPS、MUD、白単エルドラージ、人間は選択肢に無い。カーンフォージのようにそれを跳ね返すだけのデッキパワーがあれば別だが。

★青系に安定して勝つ為には《紅蓮破》が必要不可欠である。
《Ancestral Recall》《修繕》《時を越えた探索》《宝船の巡航》《覆いを割く者、ナーセット》《逆説的な結果》は通したらほぼ負ける。《Time Walk》《Timetwister》《王冠泥棒、オーコ》《ダク・フェイデン》《時を解す者、テフェリー》《瞬唱の魔道士》《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》《トレストの使者、レオヴォルド》もできれば消したいカードで、《紅蓮破》は複数枚抱えても困らない。相手も《Force of Will》を使う為、これらの脅威には《Force of Will》だけでは対処できない。赤以外のカウンターには《狼狽の嵐》《呪文貫き》《神秘の論争》等があるが、終盤の浮きマナあり状態から消せず《紅蓮破》と比べカードパワーが及ばない。《紅蓮破》は《紅蓮破》で消せない、《精神的つまづき》の制限化により、通りやすく守りに長ける。

★安定したデッキを使用する。
経験則として、安定しないデッキでは勝率70%以上は出せない。
・オース
不要牌が多すぎて引きムラが大きく全く安定しない。《神秘の聖域》をとれずフラッドへの受けがない不安定さもある。
・白単エルドラージ
色マナが安定しない。
・ドレッジ
相手要因(墓地対策どれだけ積まれているか、引かれるかどうか)で勝率が決まる為、安定しない。

以上より、候補は逆説、UR系コントロールとなった。但し逆説は前環境で回し続けた結果勝率70%に届かなかった為断念。テイムール、ジェスカイ、グリクシスの三択で調整を行った。また、途中から墓荒らしも流行り始めた為、合わせて検討した。MOにて制限改定後の2か月弱で約400マッチ調整。

■ジェスカイ
・メリット
《僧院の導師》でどんなデッキにも一枚でゲームに勝てる。《剣を鍬に》は裏目がなく《タルモゴイフ》《マナ喰らいのハイドラ》《石とぐろの海蛇》《難題の予見者》《復讐蔦》を除去できる。《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》でストームに強い。《封じ込める僧侶》でドレッジに強い。
・デメリット
デッキパワーが高くなく、押し付ける動きが《僧院の導師》しかない。4色コントロール等デッキパワーを押し付けられるとジリ貧になる。

■テイムール
・メリット
《レンと六番》で青系フェアに対し非常に強い。打ち消せしづらく、非常除去しにくい。青系フェアでありながら《Time Walk》を連打し強引に無限ターンへ持っていく嵌めパターンがある。
・デメリット
《タルモゴイフ》を筆頭に大型クリーチャに対して弱いのが難点で、メインから壁として《タルモゴイフ》を積まざるをえない。サイドに《水没》をとることもできるが、サイドを圧迫する結果、墓地対策が甘くなる。ループ用に《神秘の聖域》を2枚とるので初手が安定しにくい。

■グリクシス
・メリット
《Demonic Tutor》で《Ancestral Recall》の水増しができ、《思考囲い》で安全確認と《紅蓮破》を落とせるので青系フェアに強い。
・デメリット
フィニッシャーがない為、《夢を引き裂く者、アショク》《精神を刻む者、ジェイス》等を入れないといけない。《致命的な一押し》は《稲妻》より範囲が広いが、《剣を鍬に》と比べ範囲が狭く裏目が大きい。(《復讐蔦》《虚ろな者》《現実を砕くもの》《搭載歩行機械》等)なお、《概念泥棒》は重い、《紅蓮破》されるだけ、青にしか効かないで選択肢にない。

■墓荒らし
・メリット
《トレストの使者、レオヴォルド》が対青最強。《不毛の大地》《死儀礼のシャーマン》でメインからドレッジに勝てる可能性がある。
・デメリット
やはり《紅蓮破》がとれないことが大きすぎる。青いカードを止める為に《Force of Will》を切らざるをえないことが多く、カウンター合戦が安定しない。《精神的つまづき》が無制限の頃は、《死儀礼のシャーマン》に《精神的つまづき》を使わせ、《トレストの使者、レオヴォルド》への《紅蓮破》や除去を《精神的つまづき》して蓋をする勝ちパターンがあったが、今は《紅蓮破》が止められないので従来の青頼りの構築は安定しない。《溜め込み屋のアウフ》《闇の腹心》等で青に頼らないバージョンはもっと安定しない。※ドレッジとカーンフォージ全盛期は赤系では両者に対抗できずメインから墓地に触れ、《溜め込み屋のアウフ》《活性の力》がある墓荒らしが選ばれていた。《王冠泥棒、オーコ》は苦手だった《荒廃鋼の巨像》を止められるがそれだけ。出した次のターンに《紅蓮破》当てられるだけでヴィンテージでは弱いカード。

最終的に勝率及び丸さからジェスカイを選択。

2.構築

画像1

特筆すべき点のみ述べる。

■全体
単体のカードパワーを落としてはダメだが、選択肢の広さはデッキパワーとなる為、ブルーカウントは非常に重要であり、非青のカードをぎりぎりまで削って30とした。MOではブルーカウントが25~27程度のデッキがよく見られるが、青系コントロールにとっては少なすぎる。《Ancestral Recall》《ギタクシア派の調査》《Time Walk》《覆いを割く者、ナーセット》等は基本的に追放したくない為、実質的なブルーカウントをよく考えることが大切。

■土地
探査、色マナ安定を目的に最大限フェッチをとった。これ以上フェッチを増やすとフェッチ先が足りなくなる為、これが限界。
・《神秘の聖域》
2枚入れるとデッキパワーは上がるが、初手が安定しないので1枚。

■クリーチャー
・《戦慄衆の秘儀術師》
重ね引くと墓地に1マナスペルが無くて役に立たない場面が発生する為1枚。非青なので枚数は抑えられるだけ抑える。ただし除去されなければテンポを取りつつ継続的にアドが取れる為1枚は採用。立っているだけで《ファイレクシアの破棄者》を止められる為、茶色系に非常に強い。
・《ヴリンの神童、ジェイス》
カードパワーが高いカードを探しにいけ、探査用の墓地肥やしができ、《剣を鍬に》や《紅蓮破》のように特定のデッキには不要なカードを変換できる為、ヴィンテージではルーテイングが非常に強い。このカードに《紅蓮破》使ってくれるならそこまでのテンポロスではないのでOK。奥義は貴重な価値手段。変身により重ね引きも許容される為2枚もありだが、起動が遅い為ドレッジに弱く《瞬唱の魔道士》と散らした。《ダク・フェイデン》と並べるのが強い。
・《瞬唱の魔道士》
《ヴリンの神童、ジェイス》と違い受けに使える。即効性がある為、ドレッジ相手に《外科的摘出》使いまわしが間に合いやすい。
・《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》
ストームに強い。絶対に重ね引きたくない為1枚。青系コントロールには《Ancestral Recall》を止められない《紅蓮破》含むあらゆる除去で倒される為、信頼性は低い。

■非クリーチャー
・《紅蓮破》
赤を入れる最大の理由。5枚目も取りたいが、非青にサイドアウトしきれなくなる為4枚が限界。
・《否定の力》
青系相手の分回りを止める為のカード。MUD系にも《抵抗の宝球》等を止められる為、どのマッチでも裏目がない。《Ancestral Recall》を追放できるのも重要。
・《呪文貫き》
追加の《紅蓮破》。《狼狽の嵐》との選択だが、《抵抗の宝球》系《ドルイドの誓い》《適者生存》各種PWを消せる。特にテイムールとSTAXを見てこちらを採用。
・《目くらまし》
手札コストの無い《Force of Will》のようなもの。重ね引くと腐るので1枚。《神秘の聖域》使い回しが強い。ドレッジに有効。
・《ダク・フェイデン》
ルーティングが強い。このカードのおかげでフラッドが発生せず、このデッキを支えている。2枚では安定して引けずフラッドになりがちの為、3枚。奥義が様々なマッチで勝ち手段となる。《覆いを割く者、ナーセット》との嵌め技が強い。
・《神秘の教示者》
入れていないデッキもあるが、ジェスカイにおいて必須のカード。このデッキの思想は自分だけアドのとれるドローを通してアド差をつけてコントロールすること。《神秘の聖域》のおかげで《Ancestral Recall》を2回打てるので、1回打ち消されてもアド損を容易に取り戻せる。

■サイド:4《破壊放題》《冠雪の山》、墓地対策7は確定枠
・《精神壊しの罠》
TPSに対する最大の負け筋である《ネクロポーテンス》止める追加カード。先手逆説に分回られない為にも必要。オースとのカウンター合戦で有効。《夏の帳》を貫通する。
・《破壊放題》
赤を入れる2番目の理由。これの枚数でMUDやSTAXに有利が取れる為、UR系では4枚固定。青系コントロールでは手数の差がゲームを決める為、腐るこのカードはサイドの枠を消費してでもサイドのみ。
・《冠雪の山》
キープ基準にならない、《神秘の聖域》のカウントにならないのでメインには入れられないが、MUD系相手には必須の為。
・《粉みじん》
STAXに相性が良くない為。《神秘の教示者》からの一発逆転の選択肢として。サイドの中で最も自由枠。
・《虚空の力線》
《Force of Will》《暴露》にかからないの最も信頼できる墓地対策。今のドレッジは《活性の力》込みでグリーンカウント9~10枚と甘い構築が多い為、初手では打たれにくい。初手で重ね引くと完全に無駄になる為、4枚積む必要は無い。2枚だが本来は3枚積むべき。
・《外科的摘出》
ドレッジ他サバイバルにも効くカード。《精神的つまづき》以外の裏目がない。《瞬唱の魔道士》等で使いまわせるので《Force of Will》《暴露》に耐性有り。
・《封じ込める僧侶》
ドレッジ他オースにも効くカード。ドレッジ相手に後手で間に合わない為2枚以上入れても意味がないので1枚。
・《貪欲な罠》
ドレッジ他TPSにも効くカード。とりあえずの延命が出来る為、丸い。《神聖の力線》の裏目あり。

■入れなかったカード
・《時を解す者、テフェリー》
ジェスカイ、墓荒らしにそこそこでそれ以外に強くない。MUDや逆説に無力。他の3マナの方が優先順位高い。
・《狼狽の嵐》
《呪文貫き》と比べ、STAXに効かない、PWや《ドルイドの誓い》が止められないなど範囲が狭い。
・《Library of Alexandria》
今のヴィンテのスピードについてこれない。《精神的つまづき》制限で弱体化。
・《露天鉱床》
環境に《Library of Alexandria》がいなくなり同系で必要がなくなった。《神秘の聖域》でマナを伸ばすメリットが出来たのでマナフラ受けにもなるこのカードの価値が下がった。
・《耳の痛い静寂》《石のような静寂》
ストーム系には初手で決められ無ければ《紅蓮破》等でなんとでもなる為、《精神壊しの罠》の方が優先。
・《安らかなる眠り》
こちらの動きに影響する。ドレッジに2マナの墓地対策は遅いので信用できない。
・《摩耗+損耗》《断片化》
主に対オースサバイバルだが、数が少ない。無くても勝率良い。
・《墓掘りの檻》
《虚空の力線》と並べられない。自分の動きを阻害する。
・《水流破》
《レンと六番》に強いが範囲が非常にせまい。
・《水没》
テイムール墓荒らしサバイバル人間に効くがサイド枠が取れない為。
・《真髄の針》
ドレッジ相手に後手で意味がない。サバイバルにはエンチャ破壊を取った方が強い為。

3.各マッチ詳細

■マッチ別相性
概ね青系に有利が付き、大きく不利が付くデッキが無い。
()内は制限改定後~VintageFormatChampionshipまでのLeague・Challengeの勝ち数/マッチ数。

有利
・逆説:勝率87%(13/18)
・墓荒らし:勝率78%(18/23)
・オース:勝率75%(6/8)
・サバイバル:勝率73%(11/15)
・ラベジャーショップ:勝率72%(13/18)
微有利
・ジェスカイ:勝率67%(6/9)
・グリクシス:勝率67%(10/15)
・TPS:勝率67%(4/6)
5分~微不利
・STAX:勝率60%(9/15)
・ドレッジ:勝率54%(14/26)
・テイムール:勝率50%(3/6)

・その他も含めた合計:勝率71%(138/195)

■マッチ別サイドーボーデイング・プレイング
・MUD
out:4《紅蓮破》《精神的つまづき》《覆いを割く者、ナーセット》
in:4《破壊放題》《粉みじん》《冠雪の山》
※後手は追加で《呪文貫き》を《精神壊しの罠》に入れ替える。
《破壊放題》等は出し惜しみせずに使ってゲームを長引かせ、トップ《歩行バリスタ》で負けないようにし、《Ancestral Recall》等を引くまで耐えることが大切。

・ドレッジ
out:4《紅蓮破》《精神的つまづき》《稲妻》《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》
in:3《外科的摘出》2《虚空の力線》《貪欲な罠》《封じ込める僧侶》
メイン勝ち筋はほぼ《僧院の導師》+《Black Lotus》のみ。サイド後墓地対策の無いハンドはほぼマリガン。《虚空の力線》維持、《封じ込める僧侶》、《外科的摘出》で《ナルコメーバ》と《イチョリッド》抜くのどれかを狙う。

・ジェスカイ、テイムール
out:無し
in:無し
青のアドカードを通さないことが大切で、仕掛けるのは慎重にする。長期戦にして構築の差でアドを取っていく。

・墓荒らし
out:無し
in:無し
青のアドカードを通さないことが大切。《Volcanic Island》の状態で構えると《不毛の大地》で打ち消せないことがあるので注意。

・逆説
out:2《剣を鍬に》《戦慄衆の秘儀術師》
in:2《精神壊しの罠》《破壊放題》
緑が見えたら《マナ喰らいのハイドラ》ケアで《剣を鍬に》ではなく《稲妻》を抜く。相手の方がマナソースが多い為、長引かせれば相手がマナフラして勝てる。

・TPS
out:3《剣を鍬に》《稲妻》《戦慄衆の秘儀術師》《僧院の導師》
in:3《破壊放題》2《精神壊しの罠》《貪欲な罠》
《防御の光網》ケアで《破壊放題》をサイドイン。常に構える必要があるので非青はすべて抜く。

・オース
out:2《剣を鍬に》《稲妻》
in:2《精神壊しの罠》《封じ込める僧侶》
メイン勝ち筋は《ダク・フェイデン》奥義か《ドルイドの誓い》打ち消しきって殴る。サイド後は《封じ込める僧侶》ビートも勝ち筋になる。《覆いを割く者、ナーセット》がいれば《パルン、ニヴ=ミゼット》《グリセルブランド》を無力化でき、《剣を鍬に》で倒せる。《夏の帳》に注意。カウンター溜め込みゲーとなる為、《精神壊しの罠》を使ってアドを取る。素出し《パルン、ニヴ=ミゼット》に注意。

・サバイバル
out:4《紅蓮破》《覆いを割く者、ナーセット》
in:3《外科的摘出》《封じ込める僧侶》《破壊放題》
後手は特に厳しめにマリガンする。《外科的摘出》が強い。

・白単エルドラージ
out:4《紅蓮破》《覆いを割く者、ナーセット》《精神的つまづき》
in:4《破壊放題》《精神壊しの罠》《冠雪の山》

4.結果


2位でした。
R1:○○ 4CPW
R2:×○○逆説
R3:×○○MUD
R4:×○×ドレッジ
R5:○○ STAX
R6:×○○ドレッジ
QF:×○○ドレッジ
SF:○○ ジェスカイ
F :×○×ドレッジ

負けはドレッジのみ。墓地対策を7枚しかとっていないのは、これ以上ドレッジ対策を増やしても、サイド枠に対する勝率上昇期待値が低い為。但し、39人中7~8人はドレッジ使用者だと事前に分かっていた為、あと1~2枚は墓地対策をとるべきだった。

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